HABU
ハブの棒使い。
やればできるか、晴耕雨読。

その66 長寿の島

長寿の県といえば沖縄。
これはもう定番ですよね。
笑みをたたえたおじいやおばあがとてもパワフル。
事実女性の平均寿命は47都道府県で堂々のトップ。
近年男性の平均寿命は少しずつ下がってきたとか。
きっと泡盛の飲みすぎじゃないのでしょうか。
それでも10万人あたりの100歳以上の高齢者の割合では、
全国平均14人に対して、沖縄は39.5人。
平均の3倍に近く、さすがの長寿県です。
しかし沖縄で驚くのはまだ早い。
同じ数字が奄美群島では63人にはねあがります。
全国平均の実に実に4.5倍。
長寿世界一の泉重千代翁と本郷かまとさん、
ふたりのギネス記録保持者を出した徳之島を筆頭に
奄美はご長寿の島なのです。

鳥を観るために農園や耕作地を散策していると、
農作業に精を出す
高齢のおばあちゃんに会うことがしばしば。
近づくとにっこりと微笑んで、
見ず知らずのボクにもいだばかりのタンカンをくれます。
「おばあちゃん、ありがとね」と返すと、
嬉しそうにいろいろと語りかけてくれます。
傍から見たらいい感じの光景も、
実際は冷や汗ものの体験だったりします。
方言が強いおばあちゃんのことばが
まるで聞き取れないので。

車を走らせていると突然スピードが落ちることがあります。
50キロ制限の道を30キロとか35キロとか。
見ると3台前に驚くほどのろい軽トラックが走っている。
きっとよぼよぼのおじいちゃんが運転しているのでしょう。
優しい気持ちになってしばらくそのまま待ちます。
案の定軽トラは農耕地へと曲がっていきました。
「よーし、一気に加速して遅れを挽回」と思っても、
ちっともスピードがあがりません。
前のセダンもその前のワゴンも運転手はじいちゃんでした。

お年寄りの大群を見ようと思ったら病院に行くのが早い。
あらゆる年齢層の老人がいること、いること。
病院が老人の社交場であることは全国共通の現象のようで、
ですから奄美の病院はもう賑やかです。
内科の診察室前の長椅子で談笑するふたりのおばあちゃん。
なんとかやりとりを解読すべく耳を傾けてみると、
ひとりは目の調子が悪く、もうひとりは耳がちょっと……。
「だったらどうして内科なん?」
と突っ込むのはさすがにやめましたが、
あなたたちは素人のボクが診ても健康そのものですって!


鳥飼さんの新作が出ました!

本格推理 書下ろし
『桃源郷の惨劇』

三転、四転する推理
そして作中作に隠された<暗号>が明かす真相とは!?

そこはヒマラヤの奥地、
桃色の花々に煙る文字通りの桃源郷だった。
針金倫明(はりがねみちあき)ら日本人スタッフの目的は、
新種の鳥を世界に先駆けて撮影すること。
古老が出した条件は一つ
「神の領域を侵してはならない」だ。
通訳はさらに、神とはイエティ(雪男)だと訳した。
本当に実在する?
半信半疑のまま撮影を開始した直後、
カメラマンが惨殺され、遠ざかる巨人の影と足跡が!



『桃源郷の惨劇』
トウゲンキョウノサンゲキ
著者名:鳥飼否宇
祥伝社文庫
文庫判/144頁
定価:本体381円+税
ISBNコード:4-396-33094-4
2003年2月10日発売

 

2003-03-02-SUN

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