HABU
ハブの棒使い。
やればできるか、晴耕雨読。

その55 奄美の寒い冬

冬に遊びに来た人が決まって言うセリフがあります。
「奄美って、思ったほどあったかくないね」
沖縄と比べても確実に2℃くらいは低いので、
常夏のイメージを期待して来てみたら意外と寒く、
風邪ひいて帰るなんてことにもなりかねません。
「奄美に常夏の島を求めることが間違っているのだよ」
そう答えることにしています。

名瀬市の平均最低気温は1月が12.1℃、2月が12.3℃。
これだけ聞けば、とても寒いはずはありません。
朝方でも10℃を下回る日はほとんどないのですから、
寒いなんて言ったら本土の人から笑われるに違いない。
事実、わたしも昨シーズンは笑っていたのです。
こっちは薄手のフリース一枚なのに、
島の若者がダウンのハーフコートなんか着ているのを見て。
こっちは暖房器具なしで元気一杯なのに、
島の人が寒くてこたつから出たくないと言うのを聞いて。
それがこの冬は、寒さが身に染み、
家に帰るなりエアコンの暖房をつけるようになりました。
どうやら体質が奄美化してしまったらしい。

寒さを感じる要因のひとつは天候。
冬は長雨の季節なのです。
まるで梅雨のようにじとじとと雨が降り続きます。
空には厚い雲がたちこめ、
東シナ海というよりも日本海みたいな海の色。
季節風も強いので、体感温度はぐっと下がります。
要因のふたつめは家の構造。
奄美は湿度が高いのです。
だから風通しのよい開放的な家が好まれます。
夏には涼しい風が通り抜け、
昼寝をするのにふさわしい快適な居住空間。
冬には逆にすきま風を招き入れることになるのです。

奄美の冬にすら寒さを覚えるようになったわけですが、
この冬、小淵沢や松本に行ったところ、
ちっとも寒いとは感じませんでした。
久々の雪を見て小躍りしたくらいです。
最初から寒いだろうと心して行っているので、
体が「どんとこい氷点下!」モードになっているのです。
気温が0℃を越えてしまうと、むしろ拍子抜けする感じ。
正月、福岡に帰省したときも同じ。
九州とはいえ日本海沿いの福岡は東京よりも寒いのですが、
はなから着こんで帰っているので、
体が「まかせなさい北風!」モードになっているのです。
風がなければ、あったかくて仕方がないくらい。

わかったこと…結局一番寒いのは奄美の自宅。
奄美に常夏の島を求め続けているのは自分だったのです。


奄美の冬を彩るサクラツツジの花

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2002-02-12-TUE

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