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ハブの棒使い。
やればできるか、晴耕雨読。

その39 イボイモリに倫理を学ぶ

徳之島に行ってきました。
年末頃ほぼ日の「イナカモン座談会」で盛り上がっていた
あの徳之島です。
闘牛を見に行ったのではありません。
(確かに至るところで闘牛の看板を目にしました。)
高橋尚子を見に行ったわけでもありません。
(ここ数年Qちゃんが合宿しており今年も来島しました。)
もっと地味で目立たない生き物を探しに行ったのです。
その名は、イボイモリ。

イモリは両生類なので、普通は水陸両用ですね。
例えば、この写真のシリケンイモリ、
南西諸島に固有のイモリなんですが、
いかにも「井守」らしいルックスですよねえ。
皮膚なんかぬらぬらと濡れた感じでちょっとなまめかしい。
昔の人はイモリを黒焼きにして「惚れ薬」にしたとか。
ぬめぬめが効きそうな気がしませんか?


水溜りなどにいるシリケンイモリ

ところがイボイモリは成体になるとほとんど水に入らない。
だから見た目、かさかさと乾いた感じがします。
そのうえ全身いぼいぼなんですよ。
何といってもイボイモリですからねえ。
かさかさでいぼいぼ…まるで「恐竜」みたいな外見です。
両生類というより爬虫類のイグアナなんかの印象に近い。
ああ、写真でお見せしたい。
しかし無理なんです、ごめんなさい。
結局、会うことができませんでしたので。

イボイモリは原始的な性質を残したイモリです。
奄美や沖縄に分布していたのが近年では激減し、
奄美大島ではほとんど見かけません。
徳之島ではまだ見やすいというので、
方々探し回ったのですが空振りに終わりました。
徳之島でも森林伐採などによる生息環境の悪化と
人為的な捕獲により、数を減らしつつあるようです。

捕獲といっても「惚れ薬」にするわけではないのです。
世の中には両生類マニアなる人種がいて、
ペットにして飼育するらしいのです。
その36でとりあげたイシカワガエルも、
あるいはこのイボイモリにしても、
学術的に貴重な種であり、レッドリストに載っています。
そのため両種とも沖縄県では天然記念物に指定されている。
しかし残念なことに鹿児島県は何もしていません。
この格差が捕獲を助長する引き金になっています。
“天然記念物→入手困難→マニア心沸騰→密猟のプロ登場”
こういう構図ですね。
かくて沖縄で捕れない分、奄美での乱獲が進む。
鹿児島県、あるいは国の対応に大きな疑問を感じますが、
最終的には法の問題ではなく、
ひとりひとりのモラルの問題なのです。

先日新聞に東大の岩井克人教授が書いていました。
資本主義の論理は「すべてのものが売れなければならない」、
資本主義の倫理は「売れればよいというものではない」と。
買手がいれば臓器であろうが赤児であろうが売れる世の中。
本当に売ってもいいの?
本当に買ってもいいの?
それを考えるのが理性ってものでございましょう。


渓流で鳴くイシカワガエルにも密猟の手が…

2001-02-14-WED
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