HABU
ハブの棒使い。
やればできるか、晴耕雨読。

その18 一緒に飲もうじゃないか!

前回食べ物の話題だったので、順当に考えれば今回は…
それじゃあ、始めましょうか。そう、酒の話。

鹿児島で酒といえば芋焼酎。
芋焼酎が飲めなくて薩摩隼人と呼ばうなかれ、
というくらい鹿児島ではごく当たり前の酒です。
最初はにおいが気になる人もいるようですが、
飲み慣れれば逆にそれがたまらないのです。
個性が強いほどクセになるのは、クサヤや納豆で証明済。

沖縄で酒といえば泡盛。
タイの長粒米を黒麹菌で熟成するのが特徴の蒸留酒です。
甕で寝かせば寝かすほどまろやかさが増し、
古酒(クース)のなめらかな舌触りと芳醇なこくは絶品。
与那国島にはアルコール度数60度の泡盛もあり、
調子に乗って飲みすぎると、たいへんなことになります。

で、奄美で酒といえば…これが意外と知られていない。
黒糖焼酎ですよ、こくとうしょうちゅう!
米麹に黒糖溶液を混ぜ、酵母を加えて仕込んだモロミを
蒸留精製して作ります。
砂糖を原料にした蒸留酒は、日本の酒税法ではラム酒に
該当するらしく、焼酎の優遇税率が適用できない。
(のだと思います。詳しいことはよくわかりませんが。)
このため、黒糖焼酎の製造が許されているのは、
なんでも奄美諸島だけの国の特例措置なんだとか。
そんなことを知って飲もうが、知らずに飲もうが、
黒糖焼酎のほのかに鼻腔をくすぐる甘い香りと、
実に爽やかで清清しい味は、他の焼酎では味わえません。
ロックでよしストレートでよし。
もちろん水やお湯で割ってもよし。
黒糖の甘い風味があるといっても糖度はゼロ。
こんなに飲みやすい健康優良アルコール飲料が
驚くほど全国的な知名度を獲得しえていないことに、
わたしは憤りすら覚えるのであります!
っと、力が入りすぎましたが、未体験の方はぜひ一度。

黒糖の原料はいうまでもなくサトウキビです。
奄美大島でサトウキビ畑が広がるのは北部の笠利町。
この畑には、ミフウズラという体長15cmほどの
小さなウズラのような鳥が生息しています。
鳥では珍しく雌のほうが美しく、一妻多夫制です。
雌は産卵がすんだらさっさと別の雄を探しに行き、
抱卵や育雛はすべて残った雄の仕事なのです。
夏のサトウキビ畑は日差しをさえぎるものが何もなく、
地獄のような暑さです。
それでも多少暑さがやわらぐ朝夕に、
ミフウズラの雄が雛を引き連れ餌探しです。
見事な主夫ぶりに感涙。

今日も良く頑張ったね、あんた。
冷えたロックの黒糖焼酎でもごちそうしたくなるよ、
同じ男として。
さあ、一緒に飲もうじゃないか!

2000-09-14-THU
HABU
戻る