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ハブの棒使い。
やればできるか、晴耕雨読。

その17 シマジュウリ

奄美の料理を「シマジュウリ」といいます。
島料理がなまったものと考えてよいでしょう。
本土の人から奄美の料理は沖縄と同じじゃないの?
と聞かれることがあります。
近いものもあるのですが、独自のものも多いのです。
沖縄の料理が宮廷料理のみやびさを感じさせるのに対し、
シマジュウリは基本的には素朴な田舎料理です。
沖縄と同じく鹿児島の影響も色濃く感じます。
今回はそんな奄美大島の料理をご紹介しましょう。

最も有名なものは鶏飯(ケイハン)でしょう。
江戸時代に薩摩のお役人を迎える際に供された料理です。
白いごはんの上に、裂いた鶏肉、刻んだシイタケ、錦糸卵、
ねぎ、海苔、パパイヤの漬物などの具を好きにトッピング。
その上から熱い地鶏のスープをかけていただくものです。
濃厚なスープと乾燥ミカンの皮の香りが絶妙で、
暑い夏にも二日酔いにもOK。食欲不振を吹き飛ばします。

鹿児島や沖縄と同じく豚やニガウリも良く食べます。
豚は塩漬けの塩豚にして保存します。
これをツワブキと一緒に煮込んだ料理がウヮンフネ、
豚の脂が落ち、実にさっぱりした味の煮物です。
骨付き豚肉を長時間煮込んで、味噌、黒砂糖、しょうが
などで味付けした薩摩郷土料理の豚骨もよく見かけます。
豚を味噌漬にした保存食の豚味噌も普通の家庭料理で、
ごはんと混ぜて食べたり、酒の肴にしたりします。
こちらの味噌はかなり甘いのですが、料理によく使います。
ニガウリも味噌と和えて食べたり、味噌を加えて炒めたり。
炒め物といえば、素麺を使った油ゾーメンがおいしい。
これは沖縄のソーミンチャンプルーを思い出させます。

海産物はさすがに沖縄に近いようで、
モズクやアオサ、赤ウルメ(グルクン)をよく食べます。
カツオ漁の基地もあるため、新鮮なカツオも豊富です。
このあたりはむしろ鹿児島の枕崎あたりと共通でしょうか。
奄美ならではの海産物の代表は夜光貝。
大きなサザエのような貝で、バター焼きがおいしいとか。

もうひとつ、忘れてはならないのがヤギ汁です。
ヤギはやせた土地でも良く育つのでよく飼われています。
逃げ出して野生化したヤギにもしょっちゅう出会います。
ヤギ肉を煮込んでトウガンや玉ねぎを加え、
塩か味噌のいずれかで味付けしただけのシンプルな料理。
滋養たっぷりということですが、
そうとうにおいがきついと脅され、実は未体験。
うまいと言えるようになれば立派なシマンチュだとか。
まだまだ先が長いかも……。

2000-09-08-FRI
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