堺屋太一さん、
どうしましょう?

経済企画庁に出張しての鼠穴対談

第6回 堺屋さんが俺を口説いてくれないとな

堺屋 だからね、日本人の発想、空間的な発想から
概念的に変えなければいけない。
糸井 ほんとにそうですね。
堺屋 これはね、日本人を、
一億総不動産屋から解放することです。
糸井 そうです。
堺屋 一億総不動産屋になったから、
何を言うても、何百万平米とか、
後楽園何個分とか、そういう面積で言いたがる。
糸井 入れ物だけに値段がある。
堺屋 そのとおりですね。
値段でも言う。総工事費何兆円とか。
そういう、円と平米から逃れたいんです(笑)。
糸井 (笑)何の単位になるか、わからないですけどね。
単位のつかないものでしょうね。
堺屋 単位のつかないニューユニットが、
おそらく何年かのうちにはできるんでしょう。
糸井 はい。バリューということですね。
堺屋 それはね、万国博覧会だったら、
どのパビリオンがよかったかと、
入場者数と感動度をかけあわせるんですね。
糸井 感動度っていうのは何ですか?
堺屋 出てきた出口のところでアンケート調査をして
5段階に書かせるんです。
それでおそらく、感動度というのは、
くりかえしでわかるんじゃないかと。
糸井 その感動度というか、拍手の分量を
表示するシステムができればいいですね。
いやだけど拍手を思わずしてしまう、
という場合もあるじゃないですか。
それも感動ですよね。
「やなやつだったよねー!」とか。
心拍数に近いような、心の揺れとかを
それをビジュアルで、どのボタンを押したら
どのくらいの音量なり、見える分量で
自分の気持ちがフィットしたかを試してみて、
「これだな!」というところにクリックするとか、
そういうような、
言葉にしないほうがいいんじゃないかと思います。
堺屋 それができたら、視聴率が変わるけどね。
糸井 ですね。変えたいですね。
今までのは数字なんですね。
今までの土地の広さだとかつくってるという実感が、
あれは「広大な敷地」でシンボルになったけれども、
今度のシンボルは、大きく言うと、
「笑い顔」だとか「拍手」とか、
そういうものになるんじゃないかなあ。
堺屋 あのね、巷でもてはやされる話題だと思う。
学校や職場や公園で
「お前、あれ見たか」
ということだと思う。
インターネットのパビリオンに、
どれだけのひとがつくかなあ、と。
糸井 じゃあ、堺屋さんが、俺を口説いてくれないとな(笑)。
既にあって、ある種のコミュニティのあるところが
どれだけ乗ってくれるかなというのが
非常に大事なんですよね。
堺屋 そうです。
糸井 今は、企業とまったくの個人しかないですから、
もう少し、
コミュニティをつくっているひとたちの動きが、
「やっぱり、インパクで、あの舞台で踊ろう」
という気分にさせる、
何かこう、動機が必要ですよね。
堺屋 「踊り踊るなら、花のお江戸」というのと一緒で、
「踊り踊るなら、あのインパクで」と。
そうするとやはり、代表選手がね。
あれがやってるこれがやってる、
というところで、そこですぐ糸井さんに
参加してもらいたいところなんですけどね。
糸井 ああ、やっと口説かれた(笑)。
堺屋 口説きたい人が何人かいますよね。


(つづく)

2000-04-03-MON

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