『言いまつがい』装丁伝説!
あのへんな本をつくった人たち。
祖父江慎×しりあがり寿×糸井重里

第6回 いいダメ出し

── テキストの合間には
しりあがりさんの挿画が
じつに自由な感じで入ってますけど、
これはどういう行程で?
祖父江 うーんと、しりあがりさんに
描いてほしいページを渡して、
「空いてるところに直接描いて」って。
糸井 あ、そう(笑)。
しりあがり こうやって、テキストと絵を重ねるのって、
けっこうめんどうくさいんじゃない?
祖父江 そうそう。
絵があがってきてから
レイアウトを起こすのって
なんか違う気がするよね。
直接ならレイアウトしなくていいし、
楽チンだよね。
‥‥でも、
文字に絵がかかっちゃったところだけ
描き直してもらっちゃったね。
悪かったね(笑)。
しりあがり ああ、それはいいんだけど(笑)。
糸井 しりあがりさんとしては、
祖父江さんがデザインするわけだから
「へんなことをするに違いない」
と思って描いてるんですよね。
しりあがり そうですね。だから、こっちも
「ちょっとはへんなこと
 しなきゃいけないんじゃないか」
っていう感じで。
祖父江 そんな〜〜。
‥‥でね、描いたあとの
男っぷりがよかったんですよ。
まだ絵を見る前に電話がかかってきて
「大急ぎで描いたから
 5点か6点ほど、
 よくないのがあるはずなんで、
 描き直すから言ってくれ!」って。
心配でしょー?
でも届いたのを見てみたら、
すっごくよかったの(笑)。
糸井 へええ。でもこれ、
頼まれた絵描きはたいへんですよね。
祖父江 ね。「何描きゃいいんだ?」って思うよね。
しりあがり じつは今回、
いまいちゴールのビジョンがわからなくて。
しかも時間がなくて。
で、そのときどうするべきかと思ったら、
こっちで悩むのをやめて、いい加減に描いて。
で、強制的に5コか6コ、
ダメ出ししてもらうことにしとけば
すごい気が楽になると思って、
そういうつもりで気持ちよく描いたんです。
 
糸井 ああ。そういうのわかるわ。
あの、うまくダメ出しを
してくれる人に会うと
それだけでもうれしいですよね。
しりあがり ええ。
糸井 「いいダメ出し」ってね、
やっぱり、いいんですよね。
しりあがり うん(笑)。
祖父江 いいダメ出し(笑)。
糸井 それはね、オトナにならないと
わかんないことなんだよな(笑)。
あの、なんていうの、
本気なんだけど硬すぎないダメ出しって、
人を育てるんですよ。
どう言ったらいいでしょう、
ホームラン打ったのに、
「あそこは3塁打が
 おしゃれだったんだよなぁ〜」
なんて言われて、
「そぉだぁ〜!」なんてことがね、
あるんですよ。
(続きます!)

2004-02-25-WED

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