その1967

「もしもし、○○さんのお宅ですか?」
「いいえ、違いますよ」
「失礼しました」ガチャン。ツー、ツー、ツー。
これが、世間一般でいうところの
間違い電話ですけれども、
私たちがおもしろがっている
「まつがい電話」というのは
ひと味もふた味も違います。
ずばり、もっとドラマティック!
そういうこともあるんですねぇ、と
感心するくらいに劇的です。
どうぞ、最後までお楽しみくださいませー。

私がまだ実家にいた頃、
今のように携帯もない時代のお話です。
凍てつく寒さの冬の夜。
9時をまわって、1本の電話が‥‥。
私が受話器を取った瞬間に
怖そうなおじさんの声で
「俺だ! 今○○(駅名)に着いた。
 すぐ迎えに来い!
と一気ににまくしたて、
一言も口を挟めないまま、
一方的に電話は切れました。
受話器を持ったまま振り返れば
家族全員コタツで一家団欒中。
‥‥っつーか、「俺」って誰!?
おじさん、明らかに
まつがい電話に気づいてなかったよな〜。
寒いわ迎えが来ないわでキレただろうな〜。
(てとてと)
会社での出来事。
向かいの先輩が電話をかけている
‥‥と思ったら、
「あっ! すみません、
 間違えました! すみません!」
と全力で謝っていました。
事情を聞いたら、内線と外線を間違え、
なんと110番通報してしまったらしいのです。
内線110番がある会社の方、
お気をつけくださいね。
(内線110は社長です)
今日、帰りに公衆電話が鳴っていた。
恐る恐る、出てみると‥‥
「あ、もしもし?
 ○○さんのお宅ですか?」
「あの‥‥、公衆電話ですが‥‥」
「あ、失礼しました!」
間違い電話が公衆電話につながったのは奇跡??
(間違い公衆電話)
姉は会社に勤めはじめた頃、
自宅にかかってきた電話に
「はい、株式会社○○です」
と言って出たことがあります。
しかも、相手の
「えっ、○○さん(ウチ)のお宅では‥‥」
の言葉にも、
「いいえ、株式会社○○です」と言い切り、
相手に電話を切らせてしまったのです。
そして弟は中学生の時、出先の父からの
「お父さんだよ」の電話に
「父はいません」と言い、
父の、何度も繰り返す
「だから、お父さんだよ!」の言葉にも
「だから、父はいないんです」と言い続け
「‥‥もういい‥‥」と
父に電話を切らせたことがあります。
(お笑い家族)
社会人1年目の出来事です。
その頃、一人暮らしをはじめたばかりの私にとって、
誰もいない部屋に帰って、留守電が点滅しているのは、
なんとなく嬉しいものでした。
が、ある時から、無言電話が続くようになり、
気持ちがへこんでいたところ、
ある日、思いつめたような女性の声で、
「○○さん、きちんと
 話をしてください‥‥」

というメッセージが。
あの〜、どちらかにおかけ間違いではありませんか?
と尋ねたくても、残業続きで帰宅の遅い私には無理な話。
再び無言電話が続いて、ある日曜日。
ひさびさにのんびり過ごしていたら、
知らないおばさんから電話が。
「○○はどこッ?!
 そこにいるのは、
 わかってるのよーッ!!」

話を聞くと、○○というのは、
そのおばさんの娘(=思いつめた女性)と
つきあっていて、妊娠させたあげく
姿をくらましたトンデモナイ男のようでした。
しばらく電話も通じなかったが、
ようやく通じたと思ったら女の声(=私)だというので、
娘を捨てた挙句、別の女と暮らしているのか?!
とお怒りだったのです。
おばさんはいくら説明しても、
まつがいだとは信じてくれず、
ようやく、私の住所が、○○の住所から
3駅も離れていることがわかり、納得してくれました。
赤ちゃんも生まれて、
しっかり話し合いがしたかったんだと、
最後はがっくり声をおとされていました。
その後、その電話は二度とかかってくることはなく、
それでもこの季節を迎えると、
どうしているかなぁと思い出します。
その時の赤ちゃんは、今年20歳を迎えているはずです。
(めたくりん)
私のケータイに留守電が。
聞いてみると
「ようこですっ。
 あははっ、
 ようこやって〜〜」

(ぷーっ、ぷーっ‥‥)
母よ、ようこは私です。
用件も入ってないし。
(わたしは誰?)
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それでは、また、明日ー。

イラスト:しりあがり寿


2009-07-04-SAT
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© HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN