その1900

あるところに甲と乙があって、
甲の言ったことを乙はうまく聞き取れず、
曖昧な返事を返したのだが、
その乙のことばを甲もまた誤解した。
そして、ここにおいても
両者は互いのことばを互いが
理解していないということに気づかず、
なおもしばらくはっきりしないやり取りを続けた。
これが、いわゆる「かみ合わない会話」である。
両者の会話はいったいどのあたりから
かみ合わなくなったのか。
そのあたりにも注目しながら
最後までお楽しみいただきたい。

20年来の友人が
「俺のじいちゃん、バカだったんだ」
と真面目な顔で告白。
とりあえず、
「‥‥バカだったんだ」と答える私。
「そう。バカだったんだ」
「‥‥すごいバカだったの?」
「うん。結構売ってたよ」
「‥‥バカって売れるの?」
「はぁ??? 画家なんだけど」
しばらく、笑いが止まりませんでした。
(私がバカです)
腕の毛に小さな虫がからまって
死んでいるのをジーっと見ていると、
後ろから先輩が話しかけてきた。
先輩「○○ちゃんって、毛足が長いよね〜」
私 「ええっ! やっぱり目立ちますぅ?」
先輩「うん」
私 「実は虫がからまって死んでたんです。
   ショックだわ‥‥」
先輩「ええっ!?」
私 「やっぱ脱毛した方がいいかなー」
先輩「何言ってんの!
   手足が長いって言ったんだよ!」
私 「えっ?
   腕の毛足のことじゃないんですか?」
先輩「毛足って‥‥犬じゃないんだから‥‥」
(腕毛も手足も長い女)
職場のAさんは、
同期のハマノさんのことを「ハマノっち」と呼ぶ。
以前、ばりばり働くハマノさんの外出中に、
Aさんと私の間でこんな会話が。
A「いやー、ハマノっちはすごいねぇ」
私「ああ、死んじゃいましたけどね」
A「は!?」
私「ニュースでやってたじゃないですか」
A「え? ニュース??」
私「見ませんでした?
  パヴァロッティ‥‥あっ」
子音が似てるんですってば、もぅ。
(キング・オブ・ハイC)
子供の頃、テレビで巨人戦を見ていたのですが、
当時怪我で休んでいた原選手が復帰し、
出場した時のことです。
巨人ファンのおじいちゃんが
お風呂から出てきたので、
「おじいちゃん、原、出てるよ!」
と教えてあげると、
おじいちゃんはなぜか自分のおなかを見ています。
私も意味がわからなかったので
「おじいちゃん!
 原が出てるから見てよ〜!」
と強めに言ったのですが、
やっぱりおなかを見つめるおじいちゃん。
「出てねーぞ」
「だーかーらー!」
しばらく二人で同じことを
繰り返していました‥‥。
(腹さん)
ある日のこと。なにげなく、
トラの生態についてのテレビ番組をみていました。
すると隣の部屋でゲームをしていた息子(小3)が
「これライオン?」と聞いてきました。
どう見てもトラなのにと思いながらも
「トラだよ」と返事をするとまた、
「これライオン?」と。
「トラだよ」
「これライオン?」
「トラだよ」
すると切れ気味の息子
「僕だってトラぐらい見ればわかるよ〜」
息子はずっと「これやろ〜」と
一緒にゲームをやろうとさそっていたのでした。
(難聴母さん)
「こないだ、宇都宮さん
 会ったんだって?」
と、ある人から聞かれました
でも、会ってなかったし
宇都宮さんは苦手なタイプの人だったので
「会ってないよ。会いたくもないけど」
と言ったら、すごーく微妙な表情に。
しばらくして、記憶をたどっていったら
「うちの嫁さんと」
って言ってたらしいと、気づきました
ごめん!
(とんこ)
海外ドラマが好きな私。
知り合いに
『24(TWENTY FOUR)見た?」
って聞いたら
「明日は雨だよ〜」と返された。
最初、ハテナがいっぱいだったけど
すぐにわかったよ。
「天気予報見た?」って聞こえたんだね〜。
(こぐま)
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イラスト:しりあがり寿


2009-04-28-TUE
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