その1858

あるところに甲と乙の二者があって、
甲は乙に、あることばをかけた。
ところが乙はそれをうまく聞き取らず、
当てずっぽうで返したそのことばを
今度は甲が誤解した。
そのようにして、互いの理解はなくとも
先へ先へと進んでいく会話を
私たちは「かみ合わない会話」と呼んで
にやにやと楽しんでいるのです。
さぁ、今日の「かみ合わない会話」の
原因はどのへんにあるのかな。
のんびりさぐりながらお読みください。

美容室での隣のお客さんとスタッフの会話です。
スタッフ「お仕事は何をされてるんですか?」
お客さん「水族館に勤めてます」
スタッフ「え〜、水道管ですか?
     なんでですか?」
お客さん「好きだからです」
スタッフ「じゃあ、土日が休みなんですね。
     (考えぬいた末、
      水道課…公務員だと思い、
      話をあわせたらしい)」
お客さん「一番忙しいので、
     土日はあまり休めません」
スタッフ「? そうですか〜大変ですね」
お客さん「好きだから楽しいですよ」
スタッフ「本当に好きなんですね〜(水道管)」
あ〜〜、教えてあげたい。
あなた、まつがったままです。
(いのまてぃ)
彼氏が唐突に、
「ねえ、ヒロインやりたい派?」
と聞いてきました。
「へ? ヒロイン?」
「うん、ヒロイン」
(学芸会で主役を
 やりたがる子だったかってことか‥‥?)
「いや〜私目立つのは
 あんまり好きなタイプじゃないから‥‥」
「ほんと〜?
 俺もヒロインやりたくない派!」
「へ!? あんたヒロインはできないでしょ!」
「‥‥披露宴だよ?」
披露宴をヒロインと聞きまつがえました。
そういえば結婚予定でした。
(耳の遠い花嫁)
その日は珍しく早く
午後2時くらいに下校していたら、
友達がいきなり
「アゴ突き出てる!」
と言ってきたので、
「え? 誰の?」と聞くと
「何が?」と聞き返されました。
「あ、もう月出てる!」
と言ったんだそうで‥‥。
(あご美)
小学生の娘が聞いてきた
『ヒーローに敵』
 ってどういう意味?」
「は? 何?」
「ヒーローに敵」
考え中‥‥。
「んーと、ヒーロー?」
「に敵」
「ヒー、ロー、に、敵?」
「ヒー、ロー、に、て、き」
考え中‥‥。
「ヒーローって、何のヒーロー?」
「知らない」
「敵って誰?」
「知らない」
考え中‥‥。
「何に出てきた言葉なの?」
「テレビ」
「何の番組?」
「えーとね、ガリレオ先生」
考え中‥‥考え中‥‥考え中‥‥。
「そうかっ『非論理的』のことかーっ」
「わたし最初から
 『ひろんりてき』って言ってたよ」
実に面白い。
(よなよな)
一昨年、中学校1年生のときの話です。
社会の授業の時間。
先生の話を聞き、ノートに
黒板に書いていることを写していました。
その先生には失礼な事ですが、
40歳くらいなのに、
見た目にもフサフサとは言えず、
はっきり言って、
先生も自覚するほどの薄い毛なのです。
そして、黒板の内容を写しているときに
その先生は、まつがってはイケナイことを
まつがってしまいました。
「け」の字を書かないといけないところに、
「け」の字がなかったのです。
それを見つけた僕はこう指摘しました。
「先生、『け』がない!
そして教室内は大笑い。
すると、その先生がまつがいに気づかずに反撃を。
「毛がないとは失礼なやっちゃな!」
「いや、そっちの『毛』じゃなくて
 『け』の字‥‥」
そして僕はまつがっていたところを指で教えると
ようやくまつがいに気づき一言。
「あ、そっちか。
 お前、そーゆーときは
 『けがぬけてる』って言え!」
そう言ったってたぶん
「毛が抜けてる」と思われていたかも。
(Y)
東京で雪が降った日に
外出先から戻った時の会話。
私 「だいぶ積もってきたよ。」
同僚「‥‥え? 何の大仏?
大仏は持ってこられません。
(ゆいちょ)
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イラスト:しりあがり寿


2009-03-17-TUE
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© HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN