その1816
すべての子どもたちは
美しい名前を持っています。
ひとりずつひとつ、かけがえのない名前を。
ところが、その、燃える命ともいえる名前は、
しばしば他者によって
あっさりと「まつがわれて」しまうのです。
そこで、「名前の言いまつがい」特集。
長い名前の人も、短い名前の人も、
最後までごゆっくりお楽しみください。
私の苗字は「滝澤」です。
社内メールの封筒が、
「滝滝様」宛て
だったことがあります。
妹は、「澤沢様」という
封筒を受け取っています。
手書きだとまつがうんでしょうか。
(ねこさん)
私の姓は「ノアキ」と言います。
地元では多い苗字です。
電話などで名乗ると
いつも聞きまつがえられます。
「えっと、ノアキです」
「イノアキさん?」
「ノアキです!」
「ナオキさん?」
「ノ・ア・キです!」
「ノガキさん?」
こんな具合です。
(直樹)
中学生のころ、クラスに
「ナカニシ」
さんと
「ナカヨシ」さんと
「マタヨシ」さんがいました。
先生が誰かを指名すると、
その先生の滑舌次第で、3人とも立ち上がったり、
誰も立ち上がらなかったりで大笑いになり、
必ず授業が中断してしまうので、
滑舌に自信のない先生には、
絶対に指名されない3人でした。
(3人のうちの一人)
高3の時、クラスメイトに
「ひらた」さんと
「ひろた」さんがいて、
とうとうどっちがどっちか
見分けられないまま卒業してしまいました。
(浅田さん)
私の苗字は
「上」と書いて「かみ」といいます。
「かみさま〜」
「うえさま〜」ぐらいでは
他人の視線は気にならなくなりました。
でも、ある日銀行で
「じょぉ〜さま〜」
「じょぉ〜さま〜」
との声が。
「女王ってすごいな〜、負けたわ‥‥」
などと思っていると、窓口のお姉さんは
あきらかに私を呼んでいるのです。
??? ‥‥あっ、
上中下の「上(じょう)様」か!
おかしくって腰がくだけてしまい、
なかなか立ち上がれませんでした。
(言いまつがい? 聞きまつがい?)
以前、仕事で
スイスのバーゼルに行ったときのことです。
空港で、迎えの方が私を見つけるために
呼び出しの放送を入れてくれたのですが、
アナウンスの方は私の名前を
「ジョーコ ジャマーダ、
 ジョーコ ジャマーダ」

と連呼してくれました。
Yをジと読むんでしょうかねえ。
トホホな気分でした。
(スイスでは邪魔者?)
わたしの名前はマキです。
インドネシアに行って自己紹介をしたら、
いきなり笑われました。
インドネシア語では、
「マキ・マキ」というのが
「まくしたてて怒る」
という意味だったのです。
その後、友達は
「ヨウコ」などと名前で呼ばれてたのに
わたしは「Hi、イマイ〜」
「ご飯たべましょう、イマイ」
などと苗字のよびすてで呼ばれました。
ちょっとぶっきらぼうなかんじで残念でした。
(配慮してくれた)
以前、ロシアのKGBの新しい長官に
バカーチン氏が就任した時のこと。母が
「えっと、あのKGBの新しい長官、
 なんて言ったっけ‥‥
 そうそう、アホーカン」と言いました。
お母さん、ヒドい‥‥。
(ぽんぽこ)
名前にかぎらず
あらゆる「言いまつがい」を
どうぞ我々にお送りくださいませ。
そのやり方というのが極めて簡単です。
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『金の言いまつがい』と『銀の言いまつがい』
どうぞ、よろしくお願いします。

イラスト:しりあがり寿


2009-02-03-TUE
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© HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN