その1810
甲と乙という二人があって、
甲が乙に話しかけたが
乙は甲の言った内容をはき違えた。
乙は誤解したままことばを返したが、
たまたまそれは甲にとって意味が通った。
それで甲はまた乙に何か言ったが、
乙からするといよいよ意味が通らない。
というような状態を、
我々は「かみ合わない会話」と呼んで
ときどき楽しんでいます。
かみ合わない原因はどこにあるのか?
そのあたりにも注目しつつお楽しみください。
高校時代、剣道部に所属していた友人。
大会で遠征に行ったその日、夜空には
満月が出ていたそうです。
翌日、「昨日のは綺麗だったね」
と話をしていると、通りかかった部長が
「それ、どこの高校の試合?」と一言。
部長は
「剣道の試合で『突き』が見事に決まった」
という話だと勘違いしたようです。
(剣士)
部下と営業で
はじめての会社に行ったときの話。
商談もうまく行って、
お昼時だったのでご飯を食べることに。
私 「飯でも食おうか? 何食う?
部下「ちょっと待ってください‥‥
   え〜と、中央区です」
区の名産でも食べると思ったのでしょうか。
(呑打亭)
私がお風呂に入っていると、
母「ごめ〜ん。パンツ出すの忘れてた」
私「え? 自分で出したよ」
母「いつの間に? 新しいパンツやで!」
私「(ヒトの下着なんかほっといてくれよ)
  パンツやろ」
正解は「シャンプー」でした。
(カヨ)
駅で友人と話していた時のこと。
マフラーの話になり、友人が
「これもらいもんなんだよね〜」と一言。
私が「へぇ、ドラえもんなんだ」と返したら
「うん。友達からもらったんだ」と言われました。
正直そんな風には見えないなぁと思ったので
「それってドラえもんのマークでも入ってんの?」
と聞いたところすごい妙な顔で見られました。
その時はなんでこんな変な目で見てくるんだろ?
と思いましたが、後々
「もらいもんか!」と理解しました。
彼は「なんでドラえもん‥‥?」
って思ったんだろうなぁ。
(噛み合ってるようで噛み合ってない)
母が、友人と、父とともにお出かけしたとき、
友人と繰り広げた会話。
母「最近、私たまに
  コインロッカー使うんよ」
友「ああ、コインロッカー、
  私もときどき使うよ」
父「??? そんなん、いつ使った?」
母「この前も使ったやんか。
  でも便利やね〜、あれ。
  大きいものもいけるし」
友「すぐ乾燥できるからね。
  他の人が何を洗ってはるか、
  わからんけど」
ここでやっと父はそれが
「コインランドリー」であると気づき、
それでも話が通じ合う2人に、
友情の深さを感じたらしい。
(今は再び会社員な娘)
高校時代、彼と付き合い始めて
少したった頃の話です。彼が
菊池けいこってさあ、
 綺麗だよなあ‥‥」と話し始め、
私はまったく知らない女性の話を
楽しそうに語る彼に驚き、
話が耳に入りませんでした。
私の様子がおかしいと思ったらしく
「どうしたの?」と彼に聞かれたので
「何なのよ! 菊池けいこって誰なのよ!」
と動揺しながら私が言い返した所、
彼は大爆笑。
どうやら週末に家族で行った
熊本県の「菊池渓谷」の話を
してくれていた様です。
動揺したところを見られたのも、
何もかも悔しい思い出です。
(そんな私たちも子持ちの夫婦)
母  「あー電池切れてる。
    ○○ちゃん、単三4本持ってきて−」
妹4歳「(走っていって冷蔵庫を開け)
    コーラ1本もないよー」
母  「???」
姉7歳「それは炭酸」
(タンサンと言えばコーラだもん)
「かみ合わない会話」に限らず、
どのような「まつがい」でも
私たちにお送りください。
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できたところで送信してください。
『金の言いまつがい』と『銀の言いまつがい』
どうぞ、よろしくお願いしますー!

イラスト:しりあがり寿


2009-01-28-WED
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© HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN