その1593

甲と乙が話している。
ところがやり取りは健全でない。
甲は乙の話を誤解したし、
乙は甲の言うことを把握しかねた。
したがって、両者の話はかみ合わない。
というわけで「かみ合わない会話」の特集です。
原因は、どちらにあるのか?
誤解は、どこからはじまったのか?
そのあたりにも注目しつつ、
どうぞ最後までお楽しみくださいませー。
我が家に長男が生まれた時、
名前を「祐太(ゆうた)」とつけました。
主人の関西の友人と、そのお母様が、
私たちの長男の名前について、
こんな会話を交わしていたそうです。
母「生まれた子の名前、
  (私に)言(ゆ)うた?
友「うん、祐太
母「いや、聞いてへん」
友「だから祐太やん」
母「だから聞いてへんて」
友「だから祐太や言うてるやん!」
しばらくこの問答が続いたそうです。
(モン吉)
ギター部に入っています。
私の学校のギター部では合奏の時、
Alto(アルト)Prime(プライム)Bass(バス)の
パートに分かれます。
この前、学校の帰り道に
「Tちゃんは今日バス(で帰る)だよね?」
「えっ?
 うちはバス(パート)じゃないよ!
 (この子はプライムのパートです)」
「そうなの? じゃあ、
 今日は一緒に帰れないんだね」
「えっ? あたしバス(で帰るん)だよ!
この「バス」でのかみ合わない会話は
ギター部の子は結構経験しているみたいです。
(なぜか冬に多発)
用事をひとつ終えて妹が言った事。
「次は服を買いに行くんだよね?」
すると今度は祖母が、
福岡には行かないよ?」と。
確かにそうは聞こえるけど‥‥。
(キョロ)
ダンナが
「今日勘が働いてた」
と言ったのを聞き流し、少し経ってから
「そう言えば、どんな勘が働いたの?」
と訊き直すと、全く話がかみ合わず。
よくよく聞けば、近所のコンビニで
巨漢が働いてた」そうです。
(ミズタ)
某有名ブランドの
自社ビルについての記事を読んでいた夫が
私に話しかけてきました。
夫「おっ、『○○ビル、売買合意へ』だって」
私「え? 『○○ビル、
  バイバイ、GO! Yeah!』?」
夫「‥‥」
何となく意味は合ってるじゃん。
(おかぱんつ)
新築マンションに引越した。なんと最上階!
ベランダに布団が干せないこと意外はすべて大満足。
いつもの美容院へ行った時も
頭の中はマンションのことでいっぱいで、
髪を切っている美容師さんから
上のほうは長めがいいんですよね」
と言われたとき、
「そうなの!
 すっごく眺め良くてー!」
って‥‥。
言ってから気がついた。ああはずかしかった。
(菅波優子)
塾の講師をしています。
海外旅行に行くという子が、
パスポート申請をした話を
みんなにしていました。
「それで、うちの母親とかも驚いてたんだけど、
 最近はパスポートに
 美味しいイチゴがついてるんだって!」
えええ?! と驚いて振り返ったワタクシ。
最近は地場産業保護の一環で、
地元の農産品をプレゼントしてくれるのねー。
(イチゴの名産地なもので)
お役所のがんばりぶりに感心しつつも
「へえ〜、最近は色々考えてあるのねぇ」
と言う私に、生徒が
「やっぱり偽造防止のためじゃないかなぁ」
と答えました。
え? 偽造?! イチゴが?!
パスポートについていたのは、
「美味しいイチゴ」ではなく
「ICチップ」だったのでした‥‥。
(夏なら美味しいスイカかしら)
オットがひとり、泊まりがけで遊びに行く、
という日の前夜。
晩ごはんを食べながら突然
「打ち明けちゃうけど‥‥
 ごめんね」

と、オット。
何を打ち明けるの?
自転車仲間との合宿、って言ってたけど
本当は違うの?
なにか、謝るようなことをしたの?
えっえっ、ホントは誰と泊まるの?
突然の激白にパニックのワタクシ。
頭の中、真っ白になりながらも
次のセリフを待っているのに、
オットは平然とゴハンを食べている。
おそるおそる訊いてみる。
「打ち明けちゃうって‥‥何を?」
「え? 
 家空けちゃうけど、ごめんね。
 って言ったんだけど‥‥」
うわーん。
ものすごくびっくりしたよー!
(ちこりん)
この、最後の、仲のよさそうなご夫婦の
「かみ合わない会話」はとってもいいですよねー。
なんだか微笑ましくって幸せな気分になります。
さて、それはそれとして、
どのような「言いまつがい」であろうと、
遠慮なく、私たちに送りつけてください。
その具体的な手順としては、
まず、下の「投稿する」ボタンをクリック。
心に残るその出来事をおおまかに書きつづり、
できたところで送信ボタンを押してください。
『金の言いまつがい』と『銀の言いまつがい』
どうぞ、よろしくお願いしますー。

イラスト:しりあがり寿


2008-06-25-WED
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© HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN