HARUOMI HOSONO DREAM DIARY
タヌキの神様
夢を見た・・・

世界の終わりだ。
さっきまで川沿いの公園で遊んでいたはずだった。

そこに建つ近代的なミュージアムらしきビルに
入ったのだが、その時世界が終わりを告げたのだ。
緊急警報が鳴り、スピーカーから避難勧告が流れる。
速やかにここから退去しないと
全ての出入り口が閉ざされ、
閉じこめられることになる。

ぼくと数人の少年少女の仲間達は
外に出ようとしなかった。
外に出ればそこが世界の終末だったからだ。
しばらくじっとしていたが、
特に何が起きたというわけでもなかった。
ロビーの大きなガラスから見える川沿いの景色も
変化はなかった。
しかし出入り口は完全に閉ざされ、
その窓ガラスも割れるものではない。
僕達はロビーに座り込み、
外の景色をボーっと見ていた。
するとその川に大きな船が
スーっと横切るのが見えた。
甲板に大勢の少年少女と引率者が乗っているのが見える。
ついさっきまで公園で仲良く遊んでいた人たちだった。
世界が終ったのに何故彼らは生きているのだろう?

仲間の誰かが言った。
「あの人たちは宇宙人だ。助けてもらおう。」
そういえば彼らはやけに無表情だった。
僕達は窓にかけより、
彼らに気づいてもらおうと合図を送る。
何か不思議な方法で合図が成功し、
宇宙人らしき引率の男性が気付いてくれた。
これで外に出られるだろう。
僕達は助かったのだ。

(2005/03/16)

イラストレーション:ウィスット・ポンニミット
解説
20世紀末はノストラダムスの影響が強く、
カタストロフィの夢もよく見ていたものだ。
でもこの夢は「何も起こらなかったねえ・・」と
気の抜けた21世紀に見た夢だ。
多分、油断してたんだと思う。
東海大地震も必ず起こると言われ続け、
未だ起こらないのも不安だが、
それもいつのまにか日常に埋もれてしまう。
この夢の中の自分は子供だったので、
多分その時代の脅威は核戦争だった。
子供の頃のぼくは、
恐ろしい戦争が終わった後に生まれた幸せを、
しみじみと噛みしめていたものだ。

このごろのハローミ
その昔は争いのない世界が実在したんだ。
縄文時代は争いを避けて移動を繰り返していたという。
土地を所有するようになって以来、
土地に縛られて移動できないばかりか、
利権を争うようになったんだ。
でも本当は誰も大地を所有なんかできない。
「美しい国」か・・気になるなあ、
最近の世の中の空気。


2006-09-28-THU
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