ほめ道を往く。
「ほめられて伸びる派」のためのページ。

『ほめ道をゆく』がポプラ社より
すてきな本となって発売されているのは
みなさまとっくにご存じかと思います。
えっ? ご存じない! そりゃまずい!
まずは、今回の「ほめ道」を読んで、
ぼんやり頭をしゃっきりさせてください。
しゃっきり頭がぼんやりする
可能性もありますのでどうぞご注意ください。
フランソワーズさん、今回も大爆走です。



第六十九回
ちくわをほめる。
〜なんにもないような気がしても〜

今日はおそらく、わたしはin東京です!
やっぱ、たまには東京に来たいですよねー。
広島もいいけど、東京もいい♪

「日本なんて狭いぜい!」って感じで
ひゅるひゅるひゅる〜と自由でいましょう!

こないだ、一円玉を見てふと考えていました。

「きっと、いつしかこの一円玉も
 これまでの通貨のように、なくなっちゃうんだろうなー」

だって、昔は一銭とかっていうお金もあったでしょ?
一円だって、いつしか一銭のような運命を辿るであろうと
容易に想像がつくわけです。

いつのことかは知りませんが‥‥。

で、その時思ったのは

「一円がなくなるということは
 きっと5円もなくなって、
 一番ちいさい単位はきっと10円だろうな」

「政府だって『もう何円っていうのは面倒だ』
 とか言い出すだろうし」

「でも、5円がなくなるということは
『穴つながり』で50円もなくなる可能性もあるなー」

「50円のためだけに『穴』つくる機械を動かすだけの
 パワーはないんじゃないの?」

まあ、そのようにわたしの頭の中では
展開してゆくわけです。
頭の中は「言論の自由」が確保されてますんで。

その時にわたしはあるものを連想しました。

「ちくわ」

「穴」といえば「ちくわ」

まず、わたしは「穴」の価値を考えました。

5円にしろ50円にしろ「ちくわ」にしろ
作り方はしりませんが
「穴」というのは基本的に
「ある一部を抜き取る」わけですよね。

考え方としては

「空洞」=「なにもない」ものを
わざわざ作るわけですよね。

ドーナツもそうですが‥‥。

それって、深くない??

要するに
「ないものを作る」わけですよ!
「なし」を作るわけですよ!
「nothing」を作るわけですよ!

ねえ‥‥、本当に。

例えば「ちくわ」ですよ。

ニッスイの社員さん、いつもおいしい「ちくわ」を
食卓に届けてくださって本当にありがとう!!

ニッスイの社員さんといえば
きっと、家庭のあるお父さんや
これから結婚しようと思っている
独身男性やなんかでしょう。

世の中の経済を支えているパワーのある人たち。

その人たちが、ニッスイでは日夜
「ちくわ」に「穴」を作っているわけですよ!

どうやって作るのかは知りませんが
きっと一度は
「これ、『穴』どうしても作んなきゃいけんのんかい?」
って思ったことがあると思うんですよ。
ふつうに。

だって「穴」がないほうが、量も増えるしね。

だけど、そうはいかないでしょ?

わたしはそのことを周りの主婦に訊きました。
すると、想像通りみんな口をそろえて
「『穴』は絶対に必要よ!
 だって、きゅうりを入れたり
 チーズを入れたりできなくなるじゃん!!」
と、言いました。

ふーん、やっぱ君たちはそう言うと思ったよ。

でも、わたしはここでバシっと決めてやったのです!

「あんたね『穴』に何か詰めたくなるのは
 人間の性ではあるが
 『穴』の『穴』としての、
 ありのままの価値を無視しているぜ!!」

その主婦はポカンとしていましたが
そんなことはおかまいなしです。

「『穴』には『なにもない』という価値があるんだよ。
 だから『なにもない』を価値として認めてやってくれ!
 ニッスイの社員さんは
 『俺、でも『穴』わざわざ作ってんだよな』って
 家族の顔を思い浮かべて
 ちょっと複雑な気持ちになる瞬間があるんだから!
 あんたはその人の気持ちになったことあるのか?!」

とまあ、こういうことです。

ドーナツも然り。

「穴」は一見「無駄」なスペースに見えて
「穴」を含めて初めてドーナツなんだから!
あれは、「なにもない」んじゃなく
「穴がある」んです!!

数字の「0」が「なにもない」のではなく
「0がある」のと同じ。

だから、「あなたへの気持ち」が冷めたとしても
「なにもない」のではなく。
「冷めた気持ちがある」のだから
「気持ちはある」んですって!!

わかっていただけたでしょうか?
もう、クタクタです。

「穴」と言えば「虎の穴」
タイガーマスクの伊達直人さん。
すごく好きでした。

ちびっこハウスの女先生との恋は
一体どうなったのでしょう?

「ミスター・ノー」との戦いを忘れられません‥‥。

そういうわけで
ヒョードルもミルコも好きです!

また次回、お会いしましょう!!




ひーーー、読むほうもクタクタです。
しかし、このクタクタがくせになるのです。
「ちくわ」をほめながらも
なぜか「ドーナツ」に気をつかっている
フランソワーズさんの妙な優しさがすてきです。
エンディングあたりの、
「穴」→「虎の穴」→「タイガーマスクの思い出」
→「ついでに格闘技でヒョードル&ミルコ」
とつながる縦横無尽な連想をそのまま
つづっているあたりにも迫力を感じます。
これぞ「ほめ道」。これが「ほめ道」。
さて、次回はなにを?

イラスト:さとうみどり

2005-08-30-TUE


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