ほめ道を往く。
「ほめられて伸びる派」のためのページ。

お知らせしたとおり、
フランソワーズさんが先日、
イラストレーターのさとうみどりさんとともに
表参道で個展を開催されました。
で、会場にご挨拶にうかがったのですが、
そのときフランソワーズさんは、
「灰皿です! 灰皿はすごいです!
 次回はもう、灰皿で行きます!」と、
ものすごい勢いで主張されました。
というわけで、今回のテーマは「灰皿」です。
愛煙家受難のこの時代、
フランソワーズさんは「灰皿」を
どのようにほめてくださるのでしょうか?



第六十四回
灰皿をほめる。
〜「灰皿」の今と未来を見詰めて〜

みなさんはタバコを吸いますか?

最近は全国的に公共の場での「禁煙」が常識になって
むかしのように「どこでも吸える」ということが
なくなりました。

「吸わない人」にとっては
「吸う人」の出す煙は本当にいやなものだし
そんなことで健康を損ねたくないもの。
当然のことでしょう!!

そんな世の中になって久しいのですが
わたしはつい最近、そんな世の中だからこそ
生まれた「灰皿」の新しいパワーに気が付きました!!

このあいだ、表参道のギャラリーで一週間「展覧会」を
したのですが、そのギャラリーの細い道を挟んだ向かい側に
ほんのわずかなスペースしかない公園があったの。

遊具もないから、公園というより「空き地」。

そこにはベンチがふたつ並べて置かれ
その間に「灰皿」がありました。

でね、驚くことにその公園、すごい人気なの!!

毎日、朝11時から夕方7時まで
ガラス張りの向かいのギャラリーから
いやでもその公園が目に入るわけなんだけど。

そこは大通りとかメイン通りじゃなく
どっちかというと「裏道」みたいなとこなのに
ぞくぞくと、ひっきりなしにそのベンチには
誰かが座り、しかも滞在時間がめっちゃ長い!!
その上「お弁当率」も極めて高い!!

「一体、ここって何?」というくらい!!

こんな公園は初めて見ました!!

「遊具がない」ということは子供がいない。
なので、大人が落ち着いて
「お弁当」を食べることができるのでしょう!

でも、それだけじゃない!
この公園の人気の最大のポイントは
絶対に「灰皿」!!

お昼休憩の時間に近くのコンビニに行くと
いろんなオフィスビルの下で
たくさんの「愛煙家」のみなさんが
一服されていました!!

その時間のストリートは「愛煙家」の集会のよう!!
中には「携帯灰皿」を持っている人もいますが
タバコの自動販売機の横にある
「灰皿」を使う人がすごく多くて
みんな「見ず知らず」の仲なのに
「しゃべらなくても、あんたの気持ちはわかる!」みたいな
空気がストリート中に溢れているの!!

なんという「一体感」でしょう!!

これって「灰皿友の会」じゃん!!
「タバコ友の会」というより
「灰皿」を求めている人たちなわけだから
「灰皿友の会」なのさ!!

そこでわたしは思ったの。

「灰皿の集客力ってすごい!!」

たぶん「灰皿」という名目でイベントを打ったら
すごい人が集まるでしょう!!

イベント内容は各国の「灰皿」がたくさん展示してあって
どれでも自由に使用OK!!
これだけ!

とか、ちょっと集客力の弱げなイベントをするとき
注釈に「灰皿有ります」って
ひとこと呪文のように入れるの!
すると、きっとぞくぞくと人が集まるでしょう!!

「灰皿」のあるところに人が集まる時代なのです!!

で、そんなことを考えていて
ショックなことに気が付きました!

「灰皿」ファンには悲しいお知らせですが
きっと「灰皿」はそのうち
「携帯灰皿」が主流になってしまうでしょう。

「灰皿」絶滅の危機!!

ですが、この「灰皿」はひとつの文化でありますので
きっと「灰皿記念館」が建立されることでしょう!!

そのときのために、みなさんの周りの
「灰皿」を是非、保護しておいてあげてください!!

「禁煙にも成功したし、もう灰皿は捨てちゃえ」
という、そこのあなた!!

♪ちょっと待って!! プレイバック! プレイバック!
今の言葉、プレイバック! プレイバック♪

きっと、その「灰皿」、いつか高値で売れるはずです!!
「灰皿記念館」に!!

「灰皿長者」になるのはあなたかもしれない!!

そんなわけで「健康のため吸い過ぎに注意しましょう」♪



あいかわらず、見事なほめっぷりでした。
たしかに、愛煙家は、
年がら年中「灰皿」を求めています。
「灰皿を探す者どうしの連帯感」も
ものすごくあると思います。
そして、
「いつか灰皿はなくなってしまう」
という鋭い予言‥‥。たしかにたしかに。
ほとほと感心する今回の「ほめ道」でした。
余談になりますが、
『プレイバック・パートII』という
懐かしい歌のフレーズを引用した部分、
替え歌になっているかと思ったら、
きっちりそのまんまの歌詞でしたね。
勢いに乗って気分よく口ずさむ、
フランソワーズさんの姿が目に浮かぶようです。
次回もまた、勢いよくお願いいたします。


イラスト:さとうみどり

2005-04-26-TUE


戻る