ほめ道を往く。
「ほめられて伸びる派」のためのページ。

フランソワーズさんは広島に住んでいる。
広島の、有名な場所のそばに住んでいる。
早い話が、世界遺産のそばに住んでいる。
思えば、日本三景のひとつに挙げられる
名所のそばに住んでいる。
そりゃ、ほめたくなって当然である。
てなわけで、今週は「宮島」。



第五十回
宮島をほめる。
〜「国際交流」のできる神の島〜

こないだの台風18号、怖かったですねー。
わたしの住む広島は大被害に遭いました!

全国のニュースでも大きく取り上げられてた
「宮島」の世界遺産「厳島神社」。
ただでさえ、最近は潮位が上がってて回廊が何度も水浸しに
なったりしてたのに、そこにこの台風。
海の中にあるって、リスク高すぎよね、本当に心配!

「宮島」というのはわたしにとっては
すごく、関わりの深い場所なの!
今は「宮島」の対岸に住んでいます。

みなさんは来たことある?
「宮島」ってねー、小さな「異国」なのよ!
外国人観光客がものすごーーーく、多いの!
「ヒロシマ」っていう土地柄もあって
「原爆ドーム」と「宮島」はそうなの。
外国人大好きなわたしにとっては、とても魅力的な場所!
だって「世界」と繋がる窓口って感じなんだもん!
「世界好き」なわたしとしてはほっとけないねー!

そんなわたしは高校2年の夏
その「宮島」でアルバイトしてました。

そこは「水族館」の近くで、小さな食堂。
おばさんがふたりくらいで暇に任せてやってるような
「儲け」とかを考えてなさそうなお店でしたよ。

通りに面していて、ガラスの大きな掃き出し窓をガラガラと
開けて、どっからでも入れるようなオープンな食堂。

アイスクリームのボックスが外に置いてあって
メニューのショーケースの中に蝋でできた
「カレーライス」とか「ラーメン」とかが
飾ってある、昔ながらのおしゃれじゃない食堂。

着いたらすぐにビスケットを小さな袋に5枚くらいつめて
「鹿のえさ」を作るのが、わたしの一番重要な仕事でした。

その「鹿のえさ」を狙ってやってくる「鹿」を
バケツに入れた水をかけて、追い払うのが
二番目に重要な仕事。

おもしろいでしょ!?
気に入ってたんだーー!!

そんなある日、外国人観光客さんが
3人くらいで店のショーケースの前でもめてるの。

チラッと顔を出すと「ヘイ!」みたいな感じで
黒人の男性が手招きするので
「ハ〜イ!」と調子よく出て行くわたし。

その男性はショーケースの「親子丼」を指差して
「これは何?」と聞いてきました。
「え? 親子丼じゃん‥‥」と思いながら、軽く
「チキン アンド エッグ オン ライス!」
と笑顔で答えると
「オオーー!」となんとも大袈裟なリアクションで大喜び!

で、今度は「カレーライス」を指差して「何?」と聞くので
「見てわかるでしょ!カレーよ!」と言いたかったのですが
そこまでの英語力があるはずもなく
「カリー」と言いました。
そしたら、それだけで大喜びして
「肉は何か?」って聞くのよ!
「肉? なんだっけ‥‥」と考えてると
「ビーフ? チキン?」と矢継ぎ早に聞くから
とっさに「ノー! ピッグ!!」って言っちゃったのー。
「豚肉」って言いたかったんだけど、
「ポーク」が出てこなくて。
その上、鼻を人差し指で押し上げて「ブーブー」って
ジェスチャーもつけました。

そしたら、外国人男3人が大爆笑!

なにやら、バックから小さな本を取り出し
ページを探し始めて
そこに書いてある一行をわたしに見せました。

「what your name?」→「あなたのお名前何ですか?」

はー? このくらい英語で聞いてよーー!
今まで散々、難しいこと聞いといて、
これ中1の英語じゃん!
「ニューホライズン」じゃん! と内心ご立腹なわたし。

でも、もちろん笑顔で
「フランソワーズよ!」と答えました!
てか、本当はめっちゃ「べた」な本名を名乗ったわけだけど。

その外国人たちはどうやらわたし気に入ったらしく
店内で食事をし始めたのですが
その後、店が混んできてわたしはひとりで大忙し!

なのに、その外国人さんってば
「ヘイ! フランソワーズ!」と何度もわたしを呼んで
行ってみると「箸の使い方を教えろ」とか
また本を広げて「おいしいです」とか‥‥。

まあ、満足して帰っていただきました。

また別の日、こんなこともありました。

あるアメリカ人男性(かっこいい)が
店の前でボーっとしてるわたしに
困った様子で声をかけてきました。

何言ってるのかさっぱりわからなくて
「モア スローリー」などと変な英語で聞き返すと
何かを手に持ってるの。
見ればそれは「ビール券」!
何で、このアメリカ人は「ビール券」を
たった一枚持ってるんだ!?
って、それがなんだか「ツボ」にはまったわたしは
「これ、使いたいの?」と日本語で聞きました。
なかなか、ふたりの会話が通じなくて本当にもどかしい!

でも、きっと使いたいんだろうと察しをつけ
「カモン! レッツゴー ウィズ ミー!」と
めちゃくちゃな英語で
親指で「カモン」のポーズを決めました。
すると、何故かホッとしたようすの
イケメンアメリカ人。

歩きながら彼は嬉しそうに、わたしの顔を見て
「ホット!」と言って手のひらで自分を仰いたので
わたしも「ホット! ホット!」と言って
両手で自分を扇ぎました。
確かに暑い日だったわー。

言葉が通じない者同士、最小限の「共感」。

酒屋に連れて行き、そこでお別れ。
「グッバーイ!」
「サンキュー!」って。

ね、みごとな「国際交流」でしょ!?
きっと、このイケメンアメリカ人は日本人のこと
好きになったはずよ!
こういう個人個人の交流が本当の意味での
「国際交流」で大袈裟に言えば
「国」と「国」の「外交」なのよ!
外務省じゃないわたしたち個人の「外交」が
真の平和な社会を作っていくのさ!
たとえ、言葉が通じなくても、
「ハート」で繋がるのが人間なのさー!
ラララーー♪

「宮島」は日本に居ながら「外交」できる素晴らしい場所。
外国人観光客さん方は「旅」の途中ですから
現地の人との交流も楽しみのひとつ。
だから話しかけても全然平気よ!
みんなも、やってみてね!

神の島「宮島」。
観光地だけど、じっくり居ると
「島唄」みたいな雰囲気もあるのよ。
「宮島弁」もあるし、独自の生活文化もある。

橋を架けることができないらしく
どことも繋がっていないの。
なんだか、神秘的でしょ?

海の満ち引きによっては
海の中を歩いて渡れたり、鹿がいたり、猿がいたり。

かつて、仕事でご縁のあった
THE BOOMの宮沢さんに2年前再会したとき
「どっか、ライブするいい場所知らない?」
とおっしゃるので
「絶対、宮島!」と言いました。
「どんな感じ?」
「島唄みたいな感じ」
「やっぱり、そうなんだー」

そうなのよ! 本当に、そうなんだってば!
「沖縄」とか「屋久島」とか「佐渡島」とかとは
また、全然ちがう趣だけど
絶対「島唄」に通じる「島」独特の感じがあるんだから!
その後、スタッフの方が下見に来られてたけど
その時は実現しませんでしたねー。残念。

いつか「宮島」で「宮」の「島唄」聴きたいなー!!

みなさんも「宮島」に来んちゃいね!(広島弁)




文中にあるように、
台風の直撃を食らった厳島神社。
現在、回廊の復旧作業を行っていて、
なかからの拝観ができるようになるのは
10月ごろになる予定だそうです。
「海の中にあるって、リスク高すぎよね」と
フランソワーズさんは書いてますが、
ほんとうにそのとおりだと思いました。
また来週。

イラスト:さとうみどり

2004-09-21-TUE


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