ほめ道を往く。
「ほめられて伸びる派」のためのページ。

今回の「ほめ道」は、
フランソワーズさんが
自己のアイデンティティーを見つめ直し、
掘り下げ、笑い飛ばし、しかるのちに、
高らかに宣言する決意に満ちた意欲作。
我々はこれを「フランソワーズ宣言」と
呼ぼうと思ったんですけど、
まあ、呼ぶこともないか、と思って、
やめちゃいました。



第四十五回
専業主婦をほめる。
〜「専業主婦」の素晴らしき実態〜

全世界の「専業主婦」のみなさーん!
ほぼにちわ!
「全世界専業主婦大会 広島県代表」
フランソワーズでーす♪

みなさん、わたしをただの「主婦」だと
思っているようですが、チッチッチッ!
「主婦」でなく「専業主婦」であると言えるでしょう。
毎日家にいるし、お金儲けもほとんどしていないし
今の日本における「主婦界」のカテゴリーで言えば
「専業主婦」という欄に○を付けることになるはずです。

かれこれ、11年「専業主婦」として生きている私。
最近なにやら「世間の目」が冷たいって感じるの。
世の中は「仕事を持つこと」こそが「生きがい」で
「家庭」に閉じこもっている人は「怠惰」か
「消極的」か時には「思い切れない人」かっていう
イメージがあるみたいで、
「子供も大きくなったら何か始めるべきだ」という
ムードが「専業主婦」を取り巻く世界には充満しています。
で、おせっかいな人はそんなわたしたちに
発破をかけてきたりします。

でもねー、正直迷惑してるのよ、このムード。
そりゃあ、世の中には
「仕事」で「自分」を表現するのが
合ってる人がいて当然だけど、それと同じように
「家庭」で「自分」を表現するのが
合ってる人がいるのも当然なのよね。

わたしはその中間的な感じだけど、それもアリでしょ?
あんまり、人の生き方をカテゴライズするのってねー。
何か、意味があるのかなー?

まあ、ボヤッキーになってる場合じゃないのよね。

「専業主婦」って偉いのよ!
もちろん「働く主婦」も偉いけど
どっちが上ってことでなく
「専業主婦」をほめます!

まず、暇だって思ってるでしょ?
これが、違うのよ!
「専業主婦」って「専業主婦」ゆえのプレッシャーと
日々闘ってるんだから!

だって、ぶっちゃけ時間はどうにでもなるわけだから
「PTAの役員」とか
「子ども会の役員」とか
「地域の活動」とか
断りきれないじゃない。

それに、「家事」もちゃんとしないといけない気がするの。
言い訳が何もないからさー。
だから、万一それでも家が散らかってるということは
己の能力のなさだというわけで
逃げも隠れもできないでしょ?
きついのよ、能力が目に見えるって。

毎日、洗っては汚し
汚しては洗い。
食べては出し。
出しては食べ。
の、繰り返しの中で、季節はめぐり
終わりと達成感のないパラレルワールドの中で
わたしたち「専業主婦」は夫の給料でやりくりし
「外で働いてもパートだし、節約したほうがいいのよ」
なんて、悲しい言葉を吐きながら、ひたむきに
生きて、生きて、生き抜く!!
しかも、子供を生んで、生んで、生んで
育てて、育てて、育てる!
これは、わたしのことだけど。

幼稚園や学校、地域のお付き合いは
働く主婦の分までも請負い、毎日おしゃべりには余念なく
仕入れた情報を分析し、結論を導く。
時には「評論家」のような方までいらっしゃるのよ。
芸能界から、近所のスーパーまで把握し
ちょっと声を掛ければ、
20人くらいは集まるネットワークを持ち
人が来れば、手作りお菓子でもてなし
帰りには「趣味で作った」「トールペイントの壁掛け」とかを
おみやげとして、お渡しするのよ!
すごいでしょ?

子供が学校から帰る前に帰宅し
なかなか宿題をしない子供にイライラしながら
電話がかかってきて、
「今日の『徹子の部屋』観た?」などと
重要な話をしつつ、たまねぎを刻む。

後ろでは冷凍庫から勝手に「チュウチュウ」を出す子供。
幼稚園児はなかなか自分で「ポッキン」できない。
ぐずぐずしてる間に溶け始め、そうなるともう大人でも
「ポッキン」できやしないのよ。
仕方なく、たまねぎを刻んでいた包丁を
一旦洗って切ってやるのよ。
で、「あー、もう溶けてるから床にこぼさないでよ!」
など、言いながら、電話に向かって
「ごめんごめん、で、何だっけ?」
といいながら、もう一度包丁を洗って、
また続きのたまねぎを刻む。

正直、この時点で
何を作っていたのかちょっとわからなくなります。

みんな、「家にいる」って思ってるから
あてにされちゃって、大変よ!
子供なんて、見なきゃ腹の立たないことも
目の前でいろいろやられたら、やっぱ腹も立つしさ。

でも、「お母さんは学校も会社もなくていいなー」なんて
言われちゃうし。
「行けるもんなら、行きたいわ!!」

でもね、そもそも「主婦」って言い方もうおかしくない?
なんか、時代遅れよね。
だって、社会じゃなんでも「横文字」じゃない?
「主婦」もここらで「横文字」にしてもらえないかねー?

だって、「保険のおばちゃん」だって
今では「ファイナンシャルプランナー」だし
「美容師さん」だって「ヘアーデザイナー」なんでしょ?

「主婦」は?「ハウスキーパー」? うわー、ダサッ!!

これは?

「シャチョウ」!

実はわたしの親友にわたしが「シャチョウ」という肩書きを
付けてあげたの。だってわたしたち「肩書き」ないし
「主婦」って呼ばれるのいやだし。

「専業主婦だって名刺持ってもいいんじゃない?」
ってことで名刺の内容はこうです。

シャチョウ 
 フランソワーズ

  住所 電話 e-mail
  特技 / 出産

どう?

「社長」みたいに聞こえるところがポイントです。

「専業主婦」のみなさん、これからは胸を張って
上を向いて歩きましょう!

「主婦」のみなさん、もう「主婦」と呼ばせない
新しい風を吹かせようではありませんか!
なんか、いい呼び方ない?




なんだか異様な迫力のある今回の「ほめ道」、
いかがだったでしょうか。
全世界の「専業主婦」のみなさん、
本日もありがとうございます!
洗濯物を出してばかりでごめんなさい!
いつも便器を汚してしまってすいません!
何気なく、「あ、麦茶ないんだ」とか言って
申しわけありません!
「爪切り知らない?」と訊くまえに
自分で探すようにします!
なんだかよくわかりませんが、
読後に感謝の念が満ちる
今回の「ほめ道」でした。

イラスト:さとうみどり

2004-08-17-TUE


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