「ほめ道」を往く者、第1号の
フランソワーズちゃんが、
「今後は東海テレビをほめたいんです!」と言ってきた。
「???」と思ったが、
いつだって彼女の「ほめ道」は個性的。

どうぞ、おほめください、とお伝えしたところ、
力作が届きました。いやはや、ほめてます!



第三回
東海テレビをほめる。
〜女たちの一時半〜  (敬称略)

「一時半」。
このフレーズを聞いても男性の方は何も感じないだろう。

「一時半」は「女の時」。
理由は一つ。
東海テレビが全力投球で制作している
「お昼のドラマ」があるから。

このドラマを観るために女たちは
午前中の仕事に命をかける。

わたしがOLだった頃、
絶対にお昼休憩は一時半にとっていた。
だって、「愛の嵐」をやってたんだもん。
会社のさびれた食堂でお弁当を食べながら観たものよ。

その後、転職してからは全く観れない時期もあったけど、
結婚して、家庭に入ってからこっち、11年。
また、「一時半の女」になった。

東海テレビは今年、開局45周年らしい。
真におめでとうございます。

東海テレビ制作のドラマは本当に魅力的だ。
何が? ってそれはずばり、
「ストーリー展開」。

東海テレビ制作のドラマには「セオリー」がある。
まずは、「三角関係」。
必ず、ヒロインには夫以外に熱烈にヒロインに
想いを寄せる男性が存在し、
何故か、必ず夫は「浮気」をしてしまう。
だから、ヒロインは「仕方なく」もう一人の男性へ
愛の炎を燃やしてしまうのだ。
「母の告白」では
TBS「ふぞろいの林檎たち」でも恋人役だった
「高橋ひとみさん」と「トミー(国広富之さん)」が
今度は夫婦役で再会。にもかかわらず、トミーが浮気。
しかも、一人娘が「夫以外の男性の精子」で
体外受精してできた子で、その事実を娘が知ってしまう。
その上、同居の姑がボケ始め、夫は仕事で失敗。
で、お決まりの「自分を殺して家庭生活を営む妻」
に対しての「夫の裏切り」。
そこに何故か、「妻」を「女」として見詰める
一人の「男」。この時は「中原丈雄」さんでした。
視聴者もみんな何故かヒロインに同情。
遂には「うちも旦那が浮気してくれたら大きな顔して
恋人つくるのに‥‥」などと
妙に羨ましがる女性まで出てくる始末。
実に「女心」をわかってらっしゃるのだ。

次の「夫が実はホモ」。
これも、外せない大切な約束だ。
色々とストレスに耐えかねた夫は女性を作るのだが、
その後、何故か「男性」と‥‥。
その路線の代表作は何と言っても「幸福の予感」。
このときの「富家規政さん」のホモへ移行するあたりの
迫真の演技! お見事でした!
そして、「けんいちろうさ〜ん」と泣き叫ぶ
母役の「水野久美さん」なんて、
もうドラマなのに「舞台?」と見まがうばかりの
ダイナミックな演技もさすが!
「遂に、夫が男性と暮らし始めて、
 家には姑と妻の2人きり!」
これにはヒロインも視聴者も「どうすりゃいいのよ〜」。
と、その後必ず、
「家の旦那ホモじゃないよね」
と旦那に疑いを掛ける。
そしてこの頃、主婦どうしで
「どうしよう、家の旦那ホモかも」
という会話が日本中でされるのだ。
というわけで、「危機管理」が万全になる。

3つ目には「ヒロインが政略結婚」。
これはよくある話。
でも、東海テレビが凄いのは
「その夫がやや変態」だったりするのだ。
こりゃ、ヒロイン踏んだり蹴ったり。
代表作は言わずと知れた「真珠夫人」。
夫役の「大和田伸也さん」に
決して体を許さない妻「横山めぐみさん」。
ある日の放送で
「瑠璃子。わしゃ〜ナニをナニしたいんだよ〜」
と夫、勝平が妻、瑠璃子に詰め寄るシーンは
もう最高! だって、「ナニ」よ!
なんか、いい言い方だと思うでしょ!
それ以来「ナニ」は全国で大流行。
最近アンアンでも「ナニ特集」があったばかりですね!

4つ目には「子どもが実の子ではない」
これは、泣ける。
何回も同じ展開を観てきてるのに
やっぱり、「泣ける」。
「幸福の明日」では「清水由貴子さん」と共に
どれほどの女が泣いたことか‥‥。
女の「泣きたい気持ち」がわかってないと
こうはいかないでしょ。

5つ目は「最終回あたりでヒロインが不治の病」
「ああ〜。もう、せっかく幸せになれるって時に!!」
「女同士」も「砂の城」も「真珠夫人」も
あ〜〜多過ぎて書き切れない!
全国の女性が一斉に「号泣」。
これによって、
「ティッシュペーパー」の売上は一割上がる。
「痛みを伴わない経済効果」あり。

実際、色んな会社の社長さんは絶対観ておいた方がいい!
「真珠夫人」の時だって、
あれほど「コロッケ」という名前の「たわし」を
発売したほうがいい!って言ったのに。
誰もとりあってくれなくってさ、
結局「真珠夫人」のDVDとビデオの発売の
ノベルティーになってそれ欲しさに予約が殺到よ!

あと、「あんた」と言う名の
「らくだのシャツとももひきのセット」
これだってあの時なら絶対に売れたのよ!
いつも娼婦のりりーが馴染みの客のことを
「あんた〜」って呼んでたでしょ!
その「あんた」って人
いっつもらくだの上下着てたんだもん!
そうゆうの、家庭でも試してみたいじゃん!

それはさておき、
そろそろ「ストーリー展開」についての素晴らしさは
お分かり頂けたようですので、
さらに「キャスティング」についても
お伝えしなければいけません。私としては。

私は東海テレビの一時半のドラマに
よく出演される役者さん方を
「一時半の人」。と命名しています。

この方たちは本当に「役」になりきってらっしゃる
素晴らしい方ばかり!
だって、いざ、その方の本当のお名前を言おうとしても
出てくるのは「一時半の役名」。
でも、全国で通用します。特に夕方のスーパーあたりで。

そして、私たちファンの楽しみでもある
その方のその後のご活躍される姿。
まるで「我が子」を送り出したような心境になれるのも
「お昼のドラマ」で
「尋常じゃない試練を乗り越えてきた人の役」
だったからこそ、そこまでの
「母心」になれるってもんです。
「女優・杏子」できらりと光った「渋谷琴乃さん」の
兄役の「出光秀一郎さん」が
「刑事(デカ)貴族」(だったと思う)
に出演されているのを見た時は
思わず、友人に電話したほど!
そんな、楽しみの宝庫。
だって、東海テレビの「お昼のドラマ」って
登場人物みんなが絶対「不幸」なんだもん!

「東海テレビ」。
現代ものも、時代ものも、私たち女の期待通りに
展開してくれて本当にありがとう。
ちょっと無理のある展開。
それは最高のエンターテインメント!

これからも、世の中の女たちを満足させてくれる事でしょう!




今回も、たっぷりほめていただきました。
「東海テレビ」はもとより、
「高橋ひとみさん」、「国広富之さん」、
「大和田伸也さん」、「富家規政さん」といった
数々の俳優の方々まで。

よく考えたら、俳優の方々の
いわゆる「本職の演技」って、
じつはあらたまってほめられることが
ないような気がしますね。
本職じゃない人は
「意外にあの子の演技はイケる」なんて
ほめられるのに。

またひとつ、「ほめ道」を学んだ気がします。
さて、次回は何をほめてくださるのでしょう?

イラスト:さとうみどり

2003-10-21-TUE


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