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ほぼ日刊イトイ新聞

2024-10-06

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・「ぼく(わたし)は『MOTHER』で育ったんです」
 というようなことばをいただくことが、よくある。
 ほんとうに、よくある、日本でも海外でもよくある。
 もちろん、そういう人たちはすでに立派な大人になってて、
 逆に、こちらのほうが「この仕事はすばらしいなぁ」と
 尊敬して仰ぎ見ているような方もたくさんいる。 
 こんなにうれしいことはない。
 昔じぶんがやった仕事が、ある意味では
 遺伝子のように次の世代に受け継がれていって、
 あたらしい表現物を生み出しているわけだ。
 そういう新しい世代の人たちに会うと、
 たいていぼくは余計なことを付け加えてしまう。
 「でも、このゲーム、当時ヒットはしなかったんだよ」と。
 主観的な感想ではなく、数字的にもヒット作ではないのだ。
 それにしては、それなのに、いまでもずっと
 語り続けられているのがうれしい。
 じぶんの仕事と比べるわけにはいかないのだけれど、
 あんまりヒットしなかった(特に日本で)けれど、
 ある時代の象徴や道標のように語られる映画として、
 『ブレードランナー』(1982)という作品が有名だ。
 この映画、「ぜんぜん見てない」映画ファンと、
 「何度も何度も見た」映画ファンの両方がいたのだった。

 以上のようなことを書きはじめた理由は、
 『ビートルジュースビートルジュース』という映画が、
 うっかりしてる間に公開されていたことを知ったからだ。
 『ブレードランナー』という映画以上に、
 ぼくは『ビートルジュース』(1988)が好きだったのよ。
 これも有名な大ヒット作品ではないが、
 大好きだという人がとても多く、そのせいもあって、
 「続編も制作中」という情報が何度も何度も流れてきた。
 しかし、そんな話題はいつもやがて聞かれなくなって、
 思えばもう36年!も経っていた。
 続編をつくるはずのティム・バートン監督も、
 他の映画を何作も次々につくってきているし、
 もう『ビートルジュース』は撮らないのかなと思っていた。
 しかし、『ビートルジュースビートルジュース』が、
 ぼくになんの知らせもなしに公開されていたのである。
 えーっと、次の一行で話は急におしまいにします。
 うれしいです、急いで見に行きます。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
映画の出来がよかろうが悪かろうが、ぼくはよろこんでます。


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