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ほぼ日刊イトイ新聞

2023-10-03

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・日曜日に、横須賀に行ったのは強い好奇心からだった。 
 当日開催されるムエタイの試合に、
 吉成名高選手が出場するということで、最も短く言えば、
 「伝説的な選手」をこの目で見たいという気持ちだった。
 タイの国技であり、立ち技世界最強といわれる格闘技で、
 2階級の王座に立つ日本人選手であるとかについても、
 ぼくは失礼ながらまったく知らなかったのだが、 
 「とにかくむやみにとんでもなく強い」らしいのだ。
 領域はちがうけれど、ある意味では、
 大谷翔平や井上尚弥と並べられる男だと言う人もいる。
 その強さをこの目で見られる機会が、この日だったのだ。
 さぁ、逃すわけにはいかない。
 そして、現実に観戦した試合は、なんと1ラウンドだけ。
 ゴングが鳴って48秒で、相手のガードしていた腕が、
 吉成選手のミドルキックを受けて折れてしまい、終了。
 まるで事故のようだが、こんな話は聞いたこともない、
 「とにかくむやみにとんでもなく強い」とは、これか
 (ぜひ付記しておきたいのだけれど、
 リングを下りた吉成名高選手は礼儀正しい好青年で、
 所属するジムでは青少年のコーチなどもしています)。

 で、その48秒を見ただけで帰ってきたわけではない。 
 13時30分から18時30分まで、12試合を観戦してきた。
 しかも格闘技ドクターの二重作拓也さんの解説付きで。
 これが、まぁ、一試合一試合、すべて個性がちがってて、
 試合展開もなにかをきっかけにクルクルひっくり返ったり、
 戦っている選手の狙いが見えたり見えなかったり、
 読み取ること、たのしむことが豊富で飽きなかったのだ。
 ほんとうにいろいろ勉強になっちゃうことも多かったが、
 そんななかで「イニシアティブ」ということが、
 どれほど大事かについてつくづく感じさせられた。
 アイディアのある側はイニシアティブをとりやすい。
 主導権は提案でもあり攻撃でもある。
 相手は、それに「対応」をすることになるから、
 一歩後ろからついてくるというかたちになってしまう。
 ホームの側も、イニシアティブをとりやすい。
 「おれんち」にいる状態で「おれ」のやりたいことをする。
 ここでも、相手は「ひとんち」のルールに一歩遅れる。
 すべての試合が、イニシアティブの取り合いだった。
 これ、あらゆる場面で応用できる考えかもしれない。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
あ、そうか「後の先」というカウンターもあるんだよなぁ。


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