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ほぼ日刊イトイ新聞

2021-12-03

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・温泉につかったとき、ゆっくり体を沈めて、
 ぷふぁぁあっああみたいな声を漏らしますよね。
 周囲にだれもいなければ、なおさら声を大きくします。
 なんでこういう声が出ちゃうのかねぇと思いながら、
 いやいや待てよ、この露天風呂のこの目に見える庭の、
 この大きな湯船の、このなんとも趣のある景色があるから、
 気持ちがいいなぁとばかりに声を出しちゃうんじゃないか。
 そうだよ、きっとそうだ。
 と思う間もなく、いやいや待てよと。
 もっと狭くても、庭なんか見えなくても、天井はあっても、
 いい湯だなぁと感じてぷわぁあああぁあと声は出るなぁ。
 温泉という「ことば」に反応しているのだろうか。
 いやいや、そんなことないふつうのお風呂でも声は出るよ。

 ただ、満足感というようなものにはかなり差はあるな。
 いい旅館のいい温泉はいいに決まってるとして、
 粗大ゴミとして捨ててあったような小さな浴槽で、
 よく洗っても落ちないんだよというような汚れがついてて、
 犯罪映画のロケで使うような廃工場でお湯に浸かっても、
 たぶんいい気持ちにはなれないな、命の危険もありそうだ。
 でも、キャンプで、ドラム缶に川の水を少しずつ運んできて
 それを薪の火で沸かしてお風呂にするなんてことなら、
 いい気持ちだねぇとニッコニコしちゃうんだろうね。

 なんか、わかったような気がするよ。
 ムードってやつだよ。ムード。
 「ムード歌謡」のムードっていうのとはちょっとちがうよ。
 訳せば「雰囲気」っていうことなんだろうけれど、
 広義の「デザイン」と言ってもいいかもしれない。
 そのもの、そのことが置かれている環境まるごと、
 人はそれを、いいだのわるいだのと
 判断したり、味わったりしているわけでさ。
 ムードがおろそかにされたら、すべてぶち壊しなんだ。
 「そんなことわかってたよ」と言われてしまいそうだけど、
 その「わかっていた」何倍もムードが大事なんだと思うよ。

 温泉に入って、いま夕食の前のちょっとした時間に、
 明日の「今日のダーリン」を書いてやれと思って、
 お気楽に書き始めたら、こんなことになっちゃいました。
 さて、これからスッポン料理をいただく予定です。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
まだ湯上がりで、考えたり書いたりする力はないみたいです。


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