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ほぼ日刊イトイ新聞

2021-03-08

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・ぼくは、よく「人生はあみだくじ」と言ってるけど、
 ほんとに、つくづくそう思うことが多い。
 いま、2021年のいまになっても、まだ
 「MOTHER」というゲームのことを語ってくれたり、
 その世界をたのしんでくれている人がたくさんいるけど、
 あれだって、あのゲームをつくったから存在するわけで。
 どうして存在しているかといえば、つくったからだけど、
 「つくろうと思ったら、つくれる」わけじゃないわけで。
 よくよく考えてみたら、当時の任天堂社長であった
 山内溥さんが、ぼくに会おうとしてくれたからだった。

 きっかけは、ぼくがテレビ番組でしゃべったことだった。
 「テレビゲームに若者が夢中になってけしからんとか、
 頭が悪くなるとか言ってる大人がいるけれど、
 10年以上も前にもそっくりなことがあった。
 学生が電車のなかでマンガ週刊誌を読みふけっていて
 けしからんとか、さんざん言われたものだった。
 マンガやアニメーションが、表現のジャンルであり、
 それが文化としても市場としても発展してきたら、
 だれも、けしからんとか言わなくなった。
 ゲームも、まったく同じ道を歩んでいると思う」
 いま聞いたら、あまりにも当たり前のことで、
 笑われちゃうだろうけれど、ま、ぼくはそう言った。
 このコピーライターだかなんちゃらいう人と話したい、
 と、山内さんが代理店の人に言ったから、
 ぼくが京都に出かけることになったわけで、
 その機会に「ぜひつくりたいゲームの話」を、
 聞いてもらおうという野望を、メモにしたためたわけだ。
 このスタート地点がなかったら「MOTHER」はないし、
 宮本さん岩田さんとも知り合ってないし、
 あれもこれも、それもどれもなかったのである。
 「MOTHER」のタイトルロールに、たしか、
 「エグゼクティブプロデューサー 山内溥」とあるのは、
 ほんとに、ただの社長の名前だったわけじゃないのだ。
 「江戸城をつくったのは誰?」「大工さん、とか?」
 「それもそうだけど、徳川家康だよ」みたいな感じ。

 昔やった仕事は、すべて「やってよかった」と思う。
 「人生はあみだくじ」なのだから、それがあったから、
 曲がり曲がってここにいて、生きているのだからね。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
「失意泰然 得意冷然」これが、山内さんの座右の銘です。


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