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ほぼ日刊イトイ新聞

2020-10-31

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・まっすぐ立って、片足を後ろに上げる。
 上げた足のかかとを、お尻の山のてっぺんつける。
 簡単そうですよね、だれでもできそうな気がするでしょ。
 でも、実際に立ち上がってやってみてください。
 あれれ、こんなはずじゃなかった? 
 できるまで練習してください、というお話じゃない。
 足のかかととお尻、がんばってもつけられないんです。
 でも、がんばらないで足をぶらぶら振ってみてください。
 ぶらーんぶらーん…はい、かかとを振り上げて。
 あっ、お尻についちゃった。
 あんまり簡単につくからインチキみたいに思える。
 でも、じぶんでわかるよね、ぶらぶらしたらついただけ。
 これ、ぼくも最初やったときには驚いたんだよねー。

 どうしてそういうことになるんだろうと、考えてみた。
 ぼくは、人体の構造について詳しくないから、
 ちがっているかもしれないんだけど、たぶん、
 こういうことだと思うんだ。
 足を曲げて、かかとをお尻につけようと力を入れると、
 身体が自然にそれをやめさせようとする。
 つまり曲げさせまいとする力が加わってくる。
 ところが、足をぶらぶらさせると、
 曲げさせる力も、それをやめさせる力も働かずに、
 骨がブランコみたいにフリーにぶらぶらするんだよね。

 おそらく、人体って、ある方向性の力が
 過度にかかりすぎないように、それを抑制する力をかけて
 壊れないようにしているんだろうと思うんだ。
 そして、そのストップさせる力もけっこう強いんだよね。
 つまりこのケースで足をぶらぶらさせるのは、
 クルマでギアをニュートラルに入れてる状態なんだ。

 なんとなく、このことって、いろんな問題を
 考えるときの参考にしているんだよね。
 「ゴー」に対して「ストップ」をかける力や考えは、
 だれの身にも自然に備わっているんだ。
 「ゴー」ばかりが肯定されるわけでもないし、
 なんでも「ストップ」ではなんにも動かない。
 いったん、ぶらんぶらんとさせてみるってことが、
 答えにつながる、と考えるようにしているんです。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
冒険と安定も同じことだ。どっちの力も備わっている。


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