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ほぼ日刊イトイ新聞

2024-04-20

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・「晴耕雨読」って、ひとつの基本のように感じられたけど、
 実際にはほとんどの人は、そんなことやってない。
 雨の日なら雨の日なりの「耕」のかわりの仕事をする。
 ドラマ『北の国から』の有名なセリフに、
 「夜になったらどうするんですか?!」
 「夜になったら眠るンです」というかけあいがある。
 しかし、ほんとに夜になったら寝るという人はいない。

 仕事の成果物は、「貯めておける」と考えられている。
 また、仕事の準備は「仕事の生産性を上げる」と思われる。
 だから、雨が降っても、夜が暗くても、
 できるときにはできることをやっておくほうがいい
 …とみんなが思っている。
 こう書いているぼく自身が、ついついそうやっている。
 しかし、なにか手仕事の内職でせっせと
 一本で何円の手間賃仕事をしているわけではないのだから、
 仕事の成果が「貯めておける」とはかぎらないし、
 細部まで念入りに準備したことだとしても、
 まるごと採用されずに無駄になることだって多いはずだ。
 世の中、努力の尊さは大いに語られるが、
 数多くの努力賞をもらって成功した人はいない。
 名言っぽいから、もう一度言おう。
 『世の中、努力の尊さは大いに語られるが、
 数多くの努力賞をもらって成功した人はいない。』

 ほんとは、「晴耕雨読」だとか、
 「夜になったら眠るンです」のほうが、
 うまく行くことが多いのではないだろうかと、
 このごろつくづく思うのだ。
 取引先のわがままにぜんぶつきあうような仕事だとか、
 夜の目も寝ずに仕上げたプレゼンテーションだとか、
 そういうものでの「努力賞」をもらおうとしなければ、
 それなりにけっこう「健康」な日々が送れるように思う。
 あの業界やさる業界の人は、早死が多いとかいうけれど、
 ちょっとそれを自嘲気味に得意そうに言ってなかったか? 
 でも、なんか、それはあんまりよくなかったんじゃないか。

 「晴れの日にまじめに耕して、雨の日は本を読む」、
 そして「夜になったらよく眠る」で、かなりいけると思う。
 こんな夜中に原稿書いてるぼくが言うのも、矛盾だけど。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
「雨読」って、愉しむであり学ぶでしょう。いいことだよね。


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