ほぼ日カルチャん

ポレポレ東中野

映画

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駅から見える線路沿いのちいさな映画館

あやこ

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JR東中野駅のホームから見える
ちいさな映画館があります。
「ポレポレ東中野」です。

「ポレポレ」とは、
スワヒリ語で「ゆっくり」という意味だそうです。
そんな名前がしっくりくるような
あたたかな雰囲気で、
わたしはこれまでになんども足を運んでいる
お気に入りの映画館です。

ここで上映される映画は
ドキュメンタリーが中心です。

たくさんのチラシが並ぶ階段を
地下に降りていくと、
座席数に対してかなり大きいスクリーンがあります。
ゆったりと席に座って
わたしたちは個々に、静かに人間を味わう。
ポレポレ東中野での映画体験には
そんな印象があります。

トークショーも頻繁に開かれているので
監督の話をいっしょに聞けることも。
こじんまりとしていて
スタッフのみなさんも気さくで、
なんとも居心地のいい空間なんです。

先日、観に行ったのは
『島にて』という
山形県の離島・飛島(とびしま)で
住民の暮らしを撮った作品でした。
小さな島の集落に
ずっと暮らしてきた老人たちと
この島を選んだ若者たち、
中学校にはたったひとりの生徒。
飛島での人々の営みを
1年間にわたり淡々とうつしています。

過疎化や高齢化など
社会問題を提示する、という
襟を正すような演出はありません。
むしろ、島のおじいちゃんおばあちゃんが
なにを言っているのかわからなくても
とくに字幕もなく、時間が進んでいきます。
この島の佇まいを併走するような
とても心地のいい映画でした。

いま、ポレポレ東中野にかぎらず
どこの映画館も座席を少なくしたり
1日の上映回数を減らして
さまざまな対策をされたりと
これまでどおりの営業と異なっています。

わたしにとっても、この『島にて』は
数ヶ月ぶりの映画館での鑑賞でした。
スクリーンにうつる世界と
流れる音に意識をぐっともっていきながら
いろいろ考えを巡らすのは、
自宅で見るのとはまったく違います。
映画館の空間がそうさせるんだろうと思いますが
しみじみといい時間でした。

映画館に人が集まって、映画を体験する。
かつては当たり前だったことが
いまはよりうれしく思えてきます。
ミニシアターだからこその体験も
たくさんあるはずです。

基本情報

ポレポレ東中野

JR東中野駅より徒歩すぐの
ちいさな映画館。
ドキュメンタリー作品など、
単館系作品を上映しています。

・各回入替制(整理番号順)
・全席自由席
※新型コロナウイルスの感染拡大防止のため
期間限定でネットの入場予約を受け付けています。

公式サイトはこちら。