ほぼ日カルチャん

特別展「翁─大名細川家の能の世界─」

ミュージアム

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能の幽玄な世界に誘われて。

せいじ

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この度、カルチャんWEBショップにて、
展覧会「翁─大名細川家の能の世界─」の
キーとなる演目である「翁」を
楽しむガイドブック『翁の本』を
お取り扱いすることになったので、
この展覧会をご紹介させていただきます。
(東京ではすでに終了した展覧会ですが、
現在は金沢能楽美術館で開催中です)

そもそも、能とはなんぞや。

ざっくりと言えば、
室町時代に観阿弥・世阿弥という父子が
大成したとされる舞台芸能です。
基本的に、
演者はシテ(主役)とワキ(シテの相手役)に分かれ、
舞を舞うように芝居をします。
能装束をまとい、面を被ったりした姿が思い浮かぶでしょう。
それに加えて、節のついた謡(うたい)と、
笛や太鼓などの囃子(はやし)という音楽の要素が合わさって、
独特の雰囲気がかもし出されます。

能舞台は基本的に背景が簡素なので、
必然的に演者のパフォーマンスへの比重が高くなります。
しかもシテは多くの役柄で面を被るので、
表情による芝居もできません。
そのため、演者の身体の動きで
感情の機微をも表現することになるのです。
一挙手一投足に奥深い意味が込められていると思うと、
実はものすごいことをしているんだな…と、
呆然としてしまいます。

そんな能の源流とされている演目が「翁」です。
古くは一日の演能のはじめに必ず演じられたほど、
大切に伝えられてきた演目。
それにもかかわらず、
「翁」はしばしばこう評されます。

「翁は能にして能にあらず」

他の演目とは異なり、
「翁」には具体的な物語の筋がありません。
シテの「翁」(おじいさん)が
めでたい舞を舞う、神事のような演目です。
実際、儀式のようなものでもあったようで、
現在では簡略化されているものの、
かつては、この曲を勤める者は
一ヵ月以上も前から身を清めるほどだったといいます
(『国史大辞典』「翁」の項より)。
どうです、興味深いでしょう…?

この展覧会の会場、永青文庫の所蔵品は、
細川家という大名一族のコレクションに由来します。
細川家は、歴代当主自らも舞台に上がるほど、
能に強い関心を持っていたそうです。
この展覧会では、
そんな細川家に伝来した名品たちが、
「翁」を中心とした能の幽玄な世界に誘ってくれます。

展覧会は、「翁とは」、「細川家の能装束」
「細川家の能面」、「細川家と能」の4章構成。
特に第3章では、
永青文庫の所蔵する能面がずらりと並んでいます。
能面は、その固有の表情のほかに、
わずかに伏せたり左右に動かしたりすることによって、
微妙に表情を変えるそうです。
(『新版 能・狂言事典』「能」の項より)
展覧会場で実物をいろいろな角度から眺めてみると、
思ってもみない表情に出会えるかもしれませんね。

「翁─大名細川家の能の世界─」は、
2020年7月23日から8月30日まで、
東京・永青文庫で開催された展覧会です。
東京での展示は終了してしまいましたが、
金沢能楽美術館では1月31日まで同展を開催中です。
もし金沢に行く機会があれば、
足を運んでみてはいかがでしょうか。

基本情報

特別展「翁─大名細川家の能の世界─」

会期:2020年12月12日(土)〜2021年1月31日(日)
会場:金沢能楽美術館
開館時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで)
休館日:毎週月曜日(休日の場合は火曜)

翁プロジェクトの公式サイトはこちら