ほぼ日カルチャん

"最果タヒ展  われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。"

ミュージアム

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私が読んではじめて意味をもつ言葉たち

あいみ

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私が最果タヒさんの存在を知ったのは、
2017年に公開された
「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」
を観たことがきっかけです。

詩を原作に作られた珍しい映画だ!
ということで、なんの気なしに観に行きました。
上映後、存じ上げていなかったことが
悔しくなるくらい、虜になりました。
すぐに原作となった詩集と
これまで出版された詩集を購入しました。

最果タヒさんの詩は、
感覚的に読み進められて、
知らぬ間に、
言葉が自分のものになっていって、
心にしみてきました。

PARCO MUSEUM TOKYO
で開催されている展覧会

「最果タヒ展
われわれはこの距離を守るべく生まれた、
夜のために在る6等星なのです。」

に対して寄せられた
最果さんご本人からのメッセージに

『読むことは、
与えられた言葉を受動的に読むのではなく、
その言葉を自分だけの言葉へと
変容させていく行為だと思う。』

という一文がありました。
映画を観て、詩集を読んで
私が体感したのは、
このことだったのだと、
3年の時を経て、はじめて理解しました。

そして、メッセージはこう続きます。

『そのとき、言葉の変化は、
読むその人の予想を、
そしてその人自身を、
時に追い越していくだろう。』

今回の詩の展示は、まさに!
ものすごい勢いで
『言葉が、わたしを飛び越える。』
体験ができるものでした!

最果タヒさんによる
「詩になる直前」の言葉たちが
佐々木俊さんのデザインによって
見たことのない形になり、
会場中に広がっています。
それらを、自分の心が動くことを原動力に
追いかけていきます。

そっと抱きしめられているような言葉だ
と思って追いかけていたら、
急にひんやりと冷たくなって
思いもよらない方向へ
飛んでいってしまったり‥‥!

 

《詩と身体》

立体になった詩は、読むために、
しゃがんだり、顔を横に傾けたり

《ループする詩》

円の中に入って、ぐるぐると回ってみたり、

《詩の存在》

透明の詩の影を一生懸命にみていたり、
必死になって詩を追いかけました。

奥の展示室に進んでいくと、
2019年2月に横浜美術館で開催された

「氷になる直前の、氷点下の水は、
蝶になる直前の、さなぎの中は、
詩になる直前の、横浜美術館は。
―― 最果タヒ 詩の展示」

で展示されていた、
インスタレーション作品が
渋谷PARCOバージョンになって展開されていました。

《詩になる直前の、渋谷パルコは。》

無数の詩になる直前の言葉たちが、
詩のさなぎとして天井からぶら下がっています。

『作品があなたに読まれ、
初めて意味を持つものであってほしい』
という最果タヒさんの願いが
込められられた言葉たちです。

ちらりと、他のお客さんたちをみると
私とは違う言葉の前で、立ち止まっていました。
そうか、この言葉とこの言葉の組み合わせが
ビシビシと響いてくるのは、
私だけのものなのだ!

最果さんがおっしゃっていた

『自分だけの言葉へと
変容させていく行為』
をまた体感できていることが
嬉しくなりました。

自分の心との対話をたくさんして
詩を読んでいると
私は世界で1人だけの存在
であることを実感して、
なんだか、誇らしくなってきました。

この展覧会は、
その日によって、言葉の感じ方が変わって
何度でも新鮮な気持ちで
楽しめるものだと思いました。
そして、会場でしか味わえない
言葉との新しい出会い方ができます。
最果タヒさんの詩の展示、本当に素敵です。

最後、展示室に入ってまずこの言葉の前で
立ち止まりました。
みなさんもぜひ、自分の心が動く言葉を見つけてみてください!

基本情報

"最果タヒ展  われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。"

会期:2020年12月4日(金)〜12月20日(日)
※会期中休館日なし
時間:11:00 – 21:00
会場:PARCO MUSEUM TOKYO
※入場は閉場の30分前まで。
※営業日時は感染症拡大防止の観点から変更の可能性もあります。
※イベント実施等により、開館時間を変更する可能性がございます。
※渋谷PARCO営業日時をご確認ください

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