ほぼ日カルチャん

浅田撮影局

ミュージアム

0112-2

何気ない日常が愛おしくなりました。

あいみ

0112-2

開催前に、写真集「浅田家」、
小説「浅田家!」を読んでとても楽しみにしていました。

渋谷パルコ4階
PARCO MUSEUM TOKYOさん
で開催中の「浅田撮影局」に行ってきました。

「浅田撮影局」という架空の写真館の世界が
会場に広がっています。
父・章さん作った写真館で、
浅田政志さんはそこの二代目です。

展示作品は大きく3つに分けられています。

1つ目は、浅田政志さんが
ご自身のお子さんを撮られたシリーズ
「まんねん」です。

『新しい試みをもって我が子と向き合ってみたかった』
という政志さんの言葉の通り、
こんなにも生まれたことを
祝福しているのが伝わる写真を、
私はじめてみました。

「千年、万年と末長く幸せに過ごしてほしい」
という願いを込めているとのこと、
まさにという感じです。

自分が、赤ちゃんのときのアルバムを
見返そうと思いました。
政志さんの真っ直ぐな作品をみた後なら、
シャッターを切った父と母の愛情を
感じ取ることができるはずです。

2つ目は、父・章さんの
遺影写真を撮られたシリーズ
「せんねん」です。

政志さんの遺影写真は
『真の故人を感じさせる』
一枚への挑戦です。

父・章さんと実家のリビングで二人きり、
会話なく、シャッター音とテレビの音だけが
響く部屋で撮影されたそうです。
二人の息遣いまで聞こえてきそうでした。

父・章さんの体調や気分に合わせて、
寄り添いながら撮影されている姿を想像して、
私も優しく、政志さんから遺影写真に対する考えを
教えてもらっているような感覚になりました。

そして、印象に残っているのが
”これまでの写真を
どうやって物に
残すか模索した”シリーズ
「一点」です。

ご両親が撮影した、
幼少期の政志さん写真が
骨董市で見つけた、入れ物におさめられています。

「写真は複写ができるし
たくさんプリントができるので
一点という概念があまりありません。」
しかし、入れ物次第で、
一枚そのものが特別になって
「一点物」になるのではと考えられたそうです。

入れ物たちはどれも、不思議な形で
歴史を感じさせるものばかりです。
そこに、政志さんという唯一無二の存在と
ご家族との思い出が入り
ものすごいパワーを放っているように感じました。
「生命が宿る」という言葉がピッタリでした。

浅田政志さんの、澄み切った心で考えられた
自分なりの家族写真は、
まっすぐ私にも届いてきました。
家族と自分、そしてこの日常が
愛おしくなりました。

会場には、写真を見るだけではなく
写真館風フォトスポットが設置されています。
「まさに、架空の写真館がここに現れた」
というのを体感できる展示になっています。

基本情報

浅田撮影局

会期:2020年9月26日(土)~10月12日(月)
時間:11:00-21:00
※入場は閉場の30分前まで
※最終日18時閉場

会場:PARCO MUSEUM TOKYO(渋谷PARCO 4F)

公式サイトはこちら