ほぼ日カルチャん

ゴッホ展

ミュージアム

0071

東京での展示を思い出してみました。

PARCOスタッフ

0071

昨年11月、「ほぼ日カルチャん」がスタートして
おすすめの展覧会として
最初におおきくご紹介していたのが
上野の森美術館の「ゴッホ展」でした。

「ゴッホ展」は今年の1月25日から
兵庫県立美術館に巡回していましたが、
新型コロナウイルス感染拡大防止のため
この展覧会も会期半ばで閉幕となってしまいました。
多くの方の見られる機会が少なくなってしまったこと、
残念でなりません。

上野での開催中には
ほぼ日カルチャんのスタッフの
何人もが足を運びました。
そして、お店にお越しくださった方々に
どんな展示だったか、なにがよかったか、
とじぶんの感想を交えながらご案内をしていました。

そこで、いま「ゴッホ展」の感想を
あらためて4人のスタッフに聞いてみました。
また営業再開後の店頭で
こんなおしゃべりができるのをたのしみに、
どうぞお読みください。

わかば
去年の暮れに、
ゴッホ展東京会場へ行ってきました!
実物の迫力が大きいだけに、
兵庫での巡回展が中止となってしまったのが
本当に残念なのですが、
感想だけでもシェアできたらいいなと思い、
東京での展示を思い出してみました。
すると、観に行ったのは数ヶ月前なのに、
絵のタッチや雰囲気が
頭にありありと浮かぶのです‥‥!
ゴッホの絵には、そのくらいインパクトがありました。
なんと言っても、色彩が綺麗です。
空の色ひとつとっても、
ジーンズのような薄い水色、クリーム色、
サーモンピンク、山吹色‥‥。
そのせいか、絵画なのに、
イラストのようなかわいらしさも感じました。
ほぼ日カルチャんで販売されていた
『ゴッホ最後の3年』という漫画を事前に読みました。
精神病を患ったり、ゴーギャンとの共同生活、
弟テオとの絆やサンレミ療養所のことなど知ってから見ると、
描いているときの心情まで伝わってくるようでした。
麦畑や糸杉をみると、
ゴッホは心からその景色に
感動したんだなあ~というのがわかります。
そして、その場に自分もいるような気持ちになれました。
かず
ゴッホが色々な人から影響を受け、
試行錯誤と変化を繰り返して、
独自の絵を生み出していった過程が分かる展示でした。
実際に目の当たりにすると、
絵の具の凹凸から、描く事に対する
(執着とも言えるくらい、もの凄い)エネルギーを感じます。
色々な角度から観て、
その感情のうねりに圧倒されました!
事前に原田マハさんの
『たゆたえども沈まず』を読んでいた事で、
ゴッホの生涯と彼が出会った人々にも
思いを巡らせながら展覧会を堪能できました。
わたしが展覧会で得た豆知識をひとつ。
ゴッホは800通手紙が残っていて、
その内600通は弟テオとのやりとりだそうです。
かなり筆まめ! と思いました。
展覧会では、そのやりとりも
一緒に見る事が出来て印象に残っています。
くりもと
ゴッホは勉強家、ゴッホは素直。
心のハイ&ローが作品に表れていて、
展示全体でゴッホの心の動きが伝わる展示でした。
私が思っていたいわゆる
ゴッホ的な作品は
ホントに晩年なんだなぁ、と改めて。
個人的には初期の鉛筆とか
チョーク作品が良かったです。
浮世絵に影響を受けたと言われていますが、
めぐりめぐって、日本でも
こんなにもたくさんの人がゴッホと向き合うとは、
もちろん思ってもみなかったことでしょう。
(私が上野で観た日もとってもたくさんの人でした!)
いまは、ゴッホみたいに、
心の声を聞いて自分自身を見つめるとき。
20年前の別のゴッホ展の図録を
のんびり眺めながら、
また観られる日を想っています。
図録って、こういう時にとてもいいですね。
今回の展覧会図録はとても美しい装丁なので、
それも魅力です!
やっぱりほしいなぁ。
さとう
ヒマワリはないけど、
「ゴッホ? ああ、ヒマワリの画家ね!」
という人にこそ見てみてほしい。
わたしがまさにそうで、
ゴッホといえばヒマワリ、
ゴーギャンと住んでたときに耳ちぎっちゃった人、
存命中は全く評価されなかった悲劇の画家、
というイメージしかなかったのです。
でもゴッホ展に行った日、
上野の森美術館を出るころには、
その認識は大きく変わっていました。
今回の展示で紹介されているのは、
ゴッホの絵だけではありません。
彼が影響を受けた画家やその作品、
弟との手紙のやりとりから、
ゴッホがどんな絵を描きかさね、
どのように生きたのかという一面を
垣間見ることができます。
それは今まで単色だった
ゴッホという人物像に
たくさんの色が入っていくような感覚で、
順路に沿って進むうち、
目の前の一枚一枚へ向きあう気もちに変化がありました。
「悲劇の天才画家の作品」ではなく、
「ゴッホという人間が真摯に描いた絵」を見ているのだ! という発見です。
明るく力強い油絵の筆致が、
今までよりも生々しくみなぎってくるように感じました。
美術館で、ていねいに額装され、
ライトアップされた絵画を観ることは
得がたい体験なのだなと、
いまあらためて身に染みています。
百数年前にゴッホが立っていた、
その同じ距離で作品と対峙できるのって
やっぱりすごい! 
でも次の大切な機会をこころまちにしながら、
その養分になる情報をたくわえる期間なのかもと
前向きに考えています。
ゴッホはこのときなにを考えていたんだろう? 
なにを描きたかったんだろう? 
図録をひらいて、彼の人生を想像しながら
またもう一度はじめから見たくなる展覧会でした。

基本情報

ゴッホ展

<東京展>
会期:2019年10月11日 (金) 〜 2020年1月13日 (月)
場所:上野の森美術館
開館時間:9:30〜17:00(金曜、土曜は20:00まで開館)
*最終入場はそれぞれ閉館30分前まで
休館日:12月31日(火)、1月1日(水)

<兵庫展>
会期:2020年1月25日 (金) 〜 2020年3月29日 (月)
※3月4日〜16日の休館後に
数日間の再開ができたものの
3月20日から再度の休館が決定し、
残念ながら会期半ばで閉幕となりました。
場所:兵庫県立美術館

この展覧会の図録やグッズが買える
「ほぼ日カルチャんWEBショップ」はこちら