へなちょこ雑貨店。
一寸の虫の五分のたましい物語。

第20回 開店前夜

毎度ご来店ありがとうございます。

天高く馬肥ゆる秋、
外出にはもってこいの季節となりました。
関東にお住まいのみなさま、
ぜひ東京・原宿までふらりとお越しくださいまし。
ひょっとしたら、ナイスガイ・ゴチョウや、
すげえかわいいと評判のシカちゃんに
会えるかもしれません。
あ、べつに嬉しくないですか。
では、「BOOK COVER」再発売の店頭予約なんて、
いかがでしょう。
とか言ってまだ、モノはできてませんけれども。
遠方にお住まいのみなさまは、
しばしお待ちいただけましたら、こちらの
「へなちょこ雑貨店」にて通販のご案内もいたしますので、
恐れ入りますが今しばらくお待ちくださいまし。

さて、お話は今年の1月まで戻りまして、
いよいよ26 two-sixは「開店間近!」でございます。
ケツの穴のでかいオオタケはともかく、
デリケートが売りのわたしは、
緊張して夜中に目が覚めてしまったり、
どういうわけか、長年患ってきた便秘が治ったりと
体調に変化をきたしておりました。

常夏の島から真冬の日本への帰国は、
油断をしたらすぐに風邪をひいてしまいそうです。
ただでさえイベントごとに「知恵熱」を出す
オオタケのこと、ここは気合い一発入れ直して
成田から原宿に向かいます。

店に着くと、空気がこもるのを防ぐため、
いつものようにシャッターの下を7〜80cm開けて、
ほかのメンバーが作業を始めていてくれました。
いや、よく見ると店は「ほとんど完成」していました。
あとは商品の大きさに合わせて
棚の位置をセットするダケという状態です。
「すごーい!」
オオタケとわたしは、まるでヒトゴトのような
歓声をあげてしまいました。
シャッターを開けているせいで、
暖房がまるで効いていない店内で作業してくれた、
ゴチョウ、シカちゃん、デザイナーK、本当にありがとう。
そこで相談というか確認なんだけど、
きみたちへの「報酬」は、
ひとつ「出世払い」ということで、よろしく頼むよ。

実際、彼らには開店後も
おんぶにだっこ状態が続いています。
ゴチョウは言うに及ばず、Kには
フライヤーなどのデザイン、印刷を依頼、
シカちゃんは店に遊びに来る「ついでに」
蛍光灯やら使い捨てカメラなどの
おつかいを頼まれてくれたり、
地方の友だちを東京に呼んでは店に連れてきてくれたりと、
まさに足を向けては眠れない人たちなのです。
んがしかし、現在に至るまで内輪からは
「オオタケ社長」などと呼ばれているものの、
社会的にはいっこも出世しておらず、
彼らへの報酬は未払いのままであります。
すまん。

大急ぎでちらかった店内を掃除し、
やるべきことを整理しなくては。
しかし、常夏の島で買い付けたおおかたの商材は
成田から宅配便で発送しており、原宿に届くのは明日以降。
じゃ、また、明日。
お疲れーと言って、その日は解散しちゃったりして、
気がつけば、あと4日。
今日こそやるべきことを整理しなくては。
商品が届いたら、買い値と照らし合わせて値付けをし、
陳列。
プライスカードはひとまず、後回しでもいいとして、
優先すべきことは、と思ったところで気がつきました。

あ。
レヂがない。

レヂを買うか買わないかではちょっと前に
オオタケとオガワ、必要以上にモメたんでした。
「レヂなんて、計算機があれば
なくてもやっていけるんだから、
多少でも売上げが出た時に買おう」という
ケツの穴の小さいわたし VS「そんなこと言ってたら、
いつになるか分からん」というケツの穴大将オオタケ。
結局、ケツの穴大将の
「金は稼げばいい(ヨソで)」という一言に軍配が上がり、
レヂの購入が決定していたものの、
実際に買うのは忘れておりました。



ものすごい高かったらどうしようと不安におののきつつ、
「神さまのくれた板っきれ・VISAカード」を持っていざ、
新宿の家電量販店へ。

「(求める機能は)足し算できて、
レシートが出ればオッケーです」と、
好感接客とは名ばかりの店員に希望を告げると
2万円くらいのレヂを見せてくれました。
すると間髪入れず、「コレください」と、ケツの穴大将、
即決。
しかもお持ち帰り。
持ち運べてどうすんだよ、レヂ。

さて、商材も届き、あとは陳列に次ぐ陳列です。
これが気がついたら「開店前夜」の物語。
かっこよく言うとオープニング・イヴです。

そこで満を持して登場したのは「陳列部長・カジさん」。
彼女は、元・百貨店部門マネージャーであり、
経験豊富な陳列の鬼。
「そんな期待されても困んねんけど」と言いつつ、
大阪よりわざわざ上京してくれました。
オオタケの昔の同僚であり、
ボケとツッコミを1人でこなす、マルチプレーヤーらしい。
仕事はまじめ、性格はおだやか、すらっと長身と、
どうしてオオタケ君と気が合っていたのか大きな疑問が残る
逸材であります。
相変わらず、限られた人脈で突き進む26 two-six。

さぁ、カジ・マネージャーの指揮のもと、
しゃきしゃき陳列作業が進むと思いきや、思わぬ落とし穴。
カジ・マネージャーは、わたしたちに負けず劣らず
「あほグッズ好き」で、
商材の入った段ボールを開けるそばから
「きゃー、これ、欲っすぃー。お取り置きしてー!」を
連発します。
部屋の掃除中、昔の手紙が出てきて
ぜんぜん片づかない人であることを確信しつつ、
「まいど〜」などと言って作業を進めます。

途中、レヂの上にできたスペースに商品、
あるいはディスプレイになるモノを置くか置かないかで、
またしてもオオタケとオガワは
必要以上に大モメとなりました。
双方一歩も譲らず、血を見るまで解決しないのではと
思われたのですが、わたしの
「ぜっっ‥‥たいにイヤ!」という大人げない発言により、
解決。
「なにもそんなにムキになることないのに」
という空気を感じつつもこの一件はオガワに軍配。
というか、オガワがこういうイキオイで
物言いをはじめたときに、がんとして後ろに引かないのは、
長年の付き合いのオオタケが
いちばんよく知っていたというダケなんですが。

ちなみに、なぜそれほどに否定したかと言いますと、
その場所というのはお客さまが外から入って来たときに、
まず目に飛び込んでくる場所なんです。
だから、そこに「なんとなく」商品を
置くわけにはいかないと思ったのでした。
大げさに言うと「店のイメージをある程度決めてしまう」
スペースに思えたのです。
結局当初は壁まる出しの状態でスタートしましたが、
今は当店オリジナルのポスターが鎮座ましましております。
ご来店の際はお見逃しなく。
季節によっても変わるカモしれません。

そんな無駄なバトルを繰り広げつつも、
気がついたら日付は変わっておりました。
便利で長持ちだけど突然消耗しきってしまう、
別名「アルカリ乾電池・ゴチョウ」が
いきなりの電池切れをおこした頃、
商材はある程度収まっており、
いったん解散することにしました。
真冬の午前4時。
人出のない表参道を昇りつつ、次にここを通るときには、
「経営者」になってるんだわ、なんてことを
思ったり思わなかったりしたもんでした。

(つづく)


「PlakSmacker」

歯垢を
GreatWhiteSharkが
アタック!
サメ型歯ブラシカバーは、
そうとう
歯をむき出してます。
とっても磨けそう。
でも、歯磨き粉は
ベリー味。

2000-09-30-SAT

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