へなちょこ雑貨店。
一寸の虫の五分のたましい物語。

第10回 買い付け報告 その2

毎度ご来店ありがとうございます。

「Beautiful Songs」。
行ってまいりました。
今回は、ちゃんと定休日に。
いやしかし、えらいことに、なっておりましたね。
奥田せんせい、引き出し開けまくりでございました。
ああ。

さて、とろけた脳みそのまま、引き続き、
買い付けについてのご報告とさせていただきます。
先に申し上げておきますが、こういう記事につきものの
「臨場感あふれる写真」は、ございません。
なぜなら、わたしがしくじったからっ。
たくさん撮って来たつもりなのに、撮れてなかったのです。
きょうび、スナップ写真をしくじるなんて、
わたしくらいのものでしょう!
えっへーん。
と、いうことで、申し訳ありませんが、
買い付けの風景などは、
みなさまのあふれる想像力で補いつつ、
お読みいただければと思います。
なにとぞ、なにとぞ。

そうそう、わが大物経営者・オオタケの
この旅のプランをご紹介しましょう。

 1.街なかを車で流し、店のあたりをつける
 2.商品のあたりをつける
 3.一旦ホテルに帰って予算会議
 4.いざ、買い付け

というものでありました。
しかし、これを披露してくれたのは
旅も後半に差しかかった頃です。
つまり、実際には、

 1.街なかを車で流し、店を見つけるなり入り、
   商品を見つけるやいなや、舞い上がって、
 2.即・購入
 3.ホテルに持ち帰って、ご満悦

というものとなりました。
次回は、先に言ってほしいものです。

さて、そんなことを言いつつも仕事は仕事、
なんとかいいものを見つけましょうと、
24時間営業のホームセンターや、
オフィス関連の商品を集めた巨大ショップなどを
ハシゴしていきました。
店内でのわれわれの様子と、
「へなちょこグッズ」ゲット!の瞬間を、
いつもと変わらぬ商品写真を交えてお送りします。

その壱 オフィス系代表


われわれの綿密な分析によると、
アメリカ人の好きな文房具は
「のり」と「修正液(修正テープ)」だと思います。
じゃあ、日本人の好きな文房具はなんだよ、と
言われてしまうと困るのですが、どういうわけか、
アメリカにおいてのこの2つの商品展開は
かなりのもんです。
とくに修正液はひとつのメーカーが
いくつもの種類を出しているほどです。
なにをそんなに間違うのか、
間違うことっていけないことなのか、
じゃあ、ただしいことって何?と
つい強迫観念にとわらわれてしまうほど、
売り場面積が広いです。

でも、だからと言って
ごくふつうの修正テープを紹介したんじゃ
「へなちょこ」の名がすたる。
ここはあえて、こっちでいきましょう。

修正液やテープのように上から「隠す」んじゃなくて、
これを使って文字や絵そのものを消してしまいたい!
そんな衝動にかられる時がきっと誰にもあるはず。
どんな時って、それはこの商品の名前が教えてくれます。

「FOR BIG MISTAKES.」



消しゴムです、でかいダケの。
なんか哲学入ってるじゃないですか。
ピンク色で、ただでかいダケの、こんなやつに
大きな失敗をした自分を
慰められているような気にさえなります。
そんなこた、ないですか。

これはこの旅の名ドライバー、ゴチョウが発見した
「へなちょこグッズ」です。
ものすごい笑みを浮かべて
わたしのところへ持って来ました。
「これどおっ?、これどおっ!?」
なぜ、同じことを2回言う?
しかし、そういうものなのです。
それがへなちょこマジック。
その商品のたたずまいの真顔さゆえに、
こちらの思考や今までの経験がぐにゃぐにゃになる瞬間。
ああ、ゴチョウも知ってしまったのね、このキモチを。

さらに、この商品のメーカー名がまた、
んなバカな、という感じでございます。
「PARADOX SYSTEMS(矛盾した組織)」。
お後がよろしいようで。

続きまして、

その弐 生活雑貨代表

冷房のきき過ぎている巨大ホームセンターで、
ふつうの顔して売られていました。
あまりにふつうなので、
3人揃って一度通り過ぎてしまったほどです。
でもなにか今、目のはしに訴えてくるものが
あったような気がする。
どれだ、どれがわれわれを呼んでいるのだろう?

ああ、そこにいるのはキミか。

ムダにでかいぞ・パッケージ。
写真はホントにこれが
ベスト・トリミングだったのか・パッケージ。

でも、じつはとっても実用的なこの商品。
お名前は「Whale Faucet Fountain」



蛇口から出る水の向きを変えるアタッチメント。
セット方法は、工具をいっさい使わずに
蛇口にはめ込むダケ。
くじらのクチを閉じれば、なんと潮を吹くように
上から水が出ます。
これで歯磨きの時もコップいらず。
おお、コンビニエンス!
ふつうに使いたい時は、くじらのクチを
「まーっ」と開ければいつも通り、下から水が出ます。

ただこれ、ある程度シンクが大きくないと
ダメなんだろうな、という心配が残ります。
なにせ泉(fountain)のように水が出ますからね。

これ、パッケージの裏がまた秀逸なんです。
家族のみんなが使っているようすを
イラストで示しているのですが、明らかにへたくそ。
おかしいんですよ、アングルが。
どこから見たらこんなことになるのか、
さっぱり分かりません。
シンクが立ち上がっているではないか。



それだけじゃ、ないです。
息子、娘、父、母と4人も描かれていて、
それぞれのイラストに、いろいろと活用できるような
キャッチフレーズが添えてあります。
やれ「グラスを洗う回数を減らします!」だの、
「衛生面も安心!――使いやすい!」、
「紙コップの使用量を減らします!」
あげく、「Saves Water!」と来ました。
明らかに水はだばだば出まくっておるというのに。
なにがスゴイって、これだけの活用例を書いておきながら、
4人が揃いも揃って全員同じポーズなのです。
だれ一人、コップを持ってない!
肝心の、水が出ている角度がおかしいことなんて、
たいした問題ではないほどの仕上がりと言えるでしょう。

4つのイラストのまん中では、
「Great for Kitchen or Bathroom!」と大いばりです。

脱帽。

ラストを飾るは、

その参 アメリカン・トイ

現地の方に教えていただいた、
いわゆる「安売りの店」にありました。
そのお店は生活雑貨やおもちゃなど、
売れようが売れまいが「どうでもよさそうな感じ」の
ディスプレイです。
BGMすらかかっていない、照明もやや暗めな、
これまた冷房のきき過ぎている店内。
お客さんの中に観光客の姿は見当たりません。
レジで支払いをした時のお姉さんの反応から察するに、
「英語をろくに理解できない人間」を
接客することに慣れていないほどでした。
よく言えば地域密着型?
そうは言わないですか、こういうのは。

これを見つけた時のわれわれをあえて表現するならば、
「左の脳と右の脳の間が
 開いてしまったような感じ」

でした。
思考停止。
愛のあるツッコミのことばなんて、
こんなザツなやつにかけてやるわけにはいきません。

「Cosmetic Set」



一見、日本でもよく見る「おしゃれセット」です。
プラスチックの指輪やブレスレット、イヤリング、
くしや香水のびんなどが入っています。
しかし、しかし。
それだけでは、おしゃれさんにはなれません。
おしゃれは指先から、っていうじゃないですか。

だからって、だからって。
「マニキュアを塗った指」なんて……。
いや、正確には「指先/第一関節」。
しかも、しかも。
ぜんぶ同じ太さの同じ指。
親指も小指もあったもんじゃないです。
とりあえず10本入れときゃいいだろうってのが
丸出しじゃないですか。



パッケージでほほえむ少女だって、
このおしゃれセットに含まれている「おしゃれグッズ」は
ブレスレットしか身につけていませんよ。
せめてお前くらいは、指、つけんかい。

でも、購入。
こちら、一点ものです。

というわけで、これにて買い付けの
ご報告とさせていただこうと思います。
今回の買い付けは、文房具から日用品、おもちゃ、
遊べる教育本など、およそ120種類ほどをこまごまと、
わたしが入れるくらいの大きさの段ボール
6箱ほどの量になりました。

とくに濃い商品をご紹介させていただきましたが、
当店にはふつうに使えるものもたくさんございます。
たぶん。

この旅のもうひとつの目的である
輸出業務のミーティングも無事終えております。
それに関しましては、
また追ってお話させていただこうと思います。

買い付けを終えたわたしたちは、
ホテルから1時間ほど車を走らせ、
地元の数人の子供たちのほかには
観光客が一人もいないビーチを発見し、
気分はプライベート・ビーチのようでした。
このビーチ、ちゃんとガイドブックにも載っているのに、
どうしてみんな超・有名な
ホニャララ・ビーチに大挙しておしかけ、
芋洗い状態に耐えているのか、
われわれには皆目検討がつきません。
ま、そのおかげでこのビーチがすいてたんですけども。
空は青く、海は透明でございました。
単純な表現ですが、至福の場所に
よけいな形容詞は書けません。

そして今回もまた、ろくに英語を話せないまま
ことが足りてしまいました。
こんな調子じゃ、いつまでたっても
英語を習得することはできないでしょう。
なまけぐせもいい加減にしないといかんな、と
地味に決意表明をしつつ、帰国いたしました。

次回からはまたいつものお話に戻りますので、
お時間のあります方はどうぞよろしくお願いしますです。

※文中、太字部分は、編集部へなちょこ番によって、
 施されたものです。

2000-07-20-THU

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