hawaii
ほんとうにほんとのハワイ。

■Vol.32 ハワイの伝説
Pele ペレ Part2


ハワイの神々のなかでも最も有名で、
いまでも多くのハワイ人が敬意を抱いているのが
火山の女神ペレです。
ペレは、様々なものに姿を変えては
人々の前に現れます。
そのなかでもよく知られているのは
ハワイ人の老婆、若く美しい女性、そして幼い子供など。

私たちハワイ人は、
それらの人間に姿を変えたペレに道で出会ったら
(もちろん、それが果たして本当にペレかどうかは
誰にも分かりませんが)必ず車に乗るよう勧めるし、
もし突然家に訪ねて来られたら、
必ず食べ物や飲み物を勧めます。
そうすると、火山爆発の災害から
守ってもらえると信じているのです。

前回ご紹介したのは、
何年も前に私の父が伯母から聞いた話です。
ハワイには、そのような
“ペレに出会ったという話”はたくさんあります。
「それは単なる偶然で、
 ペレだという証拠なんてないじゃないか」
と言われればそれまでですが、
ハワイ人なら誰でも素直にペレだと思うのです。

ペレはいつも、キラウエア火山が爆発する前に
山をおりて人々に危険を知らせるためにやってきます。
そしてもし、人々がペレに誠意を見せてくれたら、
彼女も誠意で応えてくれるのです。
ペレは、ハワイ人でも外国人でも旅行者でも
分け隔てなく、すべての人の前に現れます。
寂しい一本道にぽつんと立っている女の人がいたら
それはきっとペレです。
そんな女の人を見たら、親切にしてあげるのはもちろん、
決して怒らせたりしないことです。

よく観光でハワイに来た人たちは、悪気なく
溶岩が固まった石をお土産にもって帰ったりしますが、
ペレは彼女の体がバラバラにされることを嫌います。
溶岩の石にはペレの強いマナが宿っているのです。
ハワイでは、溶岩の小さな石は
彼女の指であり、つま先だと信じられています。

しかも、おかしなことに、
ナショナル・パーク・サービスや火山の管理棟では
「火山の石を持ち帰ってから、病気や事故など
 悪いことがたて続けに起こるので、
 石を火山にお返ししたい」という手紙とともに
石の入った小包みが世界各地から送られて来るそうです。

ペレはいまでも火山を司る女神として生き続けています。
風に乗って火山から硫黄の匂いが流れてくると、
人々はペレが彼女の家 Halema'uma'u(ハレマウマウ。
キラウエア火山の火口)にいるのだと感じ、
新しく生まれた島がゆっくりと育っている様子に
ペレの偉大な力を見るのです。
溶岩でできたその島は、まだ海から顔を出していませんが、
すでにLoahi(ロアヒ島)という
名前が付けられています。

さて次回、私がご紹介したいのはマウイという神です。
私の故郷マウイ島は、彼の名前から付けられました。
マウイは心が踊るような
7つの冒険の物語で知られるハワイのヒーロー。
ハワイアンのミュージシャン、
イズリアル・カマカヴィヴァオレも
“本物のハワイのスーパーマン”と、
マウイを讚える歌を歌っています。

2000-09-12-TUE

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