ほぼ日ハラマキ応援企画 はらよわ男の座談会。 (ジュエリー仕様)
第6回 樹になりたいんです、ぼくは。
ほぼ日 さて、どうでしょう、
タナカカツキさんは
どんな柄のハラマキがほしいですか?
タナカ うん。
ぼくね、ひとつ、
これはほんまにつくりたいと思ってるのが、
大木(たいぼく)って、触るとあたたかいでしょ。
ほぼ日 大木。
はい、ぬくもりを感じますよね。
タナカ なにかこう、
エネルギーをいただけるような、ね。
ほぼ日 ええ。
タナカ やっぱり人間は、
「木みたいな存在」っていうのが
到達点としてあるじゃないですか。
ほぼ日 ‥‥それはどういう?
タナカ 巨木のようになりたい。
ほぼ日 巨木に。
タナカ 木肌。
やっぱ、木目。
ほぼ日 木目‥‥?
木目のハラマキということですか。
タナカ そうそう。
ハラマキで、
自分が完全な「樹」になるような。
ほぼ日 「木」っていうのは、
「樹」のほうですね、「大樹」の「樹」。
タナカ ええ、大樹です。
ほぼ日 そういえば今日の洋服もグリーンですね。
タナカ そうなの。
グリーン、緑、自然、樹。
ほぼ日 はい。
タナカ やっぱり年齢を重ねるごとに
人間は樹に近寄ってるじゃないですか。
ほぼ日 樹に。
タナカ 年輪という言い方もするしね。
ほぼ日 はい、はい。
タナカ しわくちゃになってきて、枝っぽくなってくる。
ほぼ日 ああ‥‥。
タナカ やせてカリカリになって、
杖を持ったりすると、
もう、どこまでが杖だろう。
ほぼ日 境目がわからない。
タナカ 杖なのか、枝なのか。
ほぼ日 ああー。
タナカ 動きもね、樹に向かってるんですよ。
どんどんすくなくなってきて。
やっぱね、樹はほーんま、憧れなんですよね。
ほぼ日 憧れですか。
タナカ そこを目指すべく、
毎日、規則正しい生活をすることから
やってるんですよ、ぼくは。
ほぼ日 最近はそうなんですね。
タナカ そうなんです。
ほぼ日 夜更かしとかしない?
タナカ 結婚して子どもが生まれて
自動的にそうなったんですけど、
やはりいいもんだなあと思ってね。
ほぼ日 規則正しくて静かな生活が。
タナカ そう。いいもんだなあと。
ほんで、そうやって生活してると
いろいろわかることがあるんです。
ほぼ日 それは、どういう?
タナカ 昔はね、
「何か刺激的なことが起こんねえかなあ」
「今日もいろんな出会いがあって、
 思いがけないことが起こんねえかなあ」
と思って出かけてたわけじゃないですか。
自分の知らないところに行ったりね。
とにかく新しいことをしたいと。
「繰り返しは悪だ」みたいな。
ほぼ日 刺激を求めて。
タナカ 青春てそうやと思うんですよ。
そやけど、年相応に、
もう刺激は要らなくなってきたんですよね。
ほぼ日 刺激は要らない。
タナカ 「刺激? つまんねえなあ」って。
ほぼ日 (笑)
タナカ ただね、周りが変化していく姿は
すごくたのしいんですよ。
自分が毎日同じことをやって
あちこち動かなくなると、
周りがよく見えるようになるの。
ほぼ日 へえー。
タナカ だから、定点観測。
定点観測できるようになったんです。
いつもと同じ時間に起きて、
「あ、今日は昨日より明るい」とか。
ほぼ日 ああー、はい。
タナカ 「あ、緑が色づいた」とかね。
ほぼ日 なるほど。
タナカ 自分が止まってるから、
めっちゃ周りが動いてることがわかって。
そんで、
「この感じは樹だ」
と思ったんです。ええ。
ほぼ日 そうですかぁ。
いや、最初は、
どんなおもしろいお話になるんだろうと
うかがっていたんですが、
どうやら、その、本気なようで。
タナカ 本気です。
樹になりたい。
樹に近寄っていきたいんです、ぼくは。
(つづきます)



2010-07-30-FRI

(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN