第3回

前回のdarlingに引き継ぎまして
ほぼにちは、ほぼ日ストアの西田です。

さてさて「ほぼ日セーターをつくろう」って
ことではじまった第一回目の会議ですが
とにかくdarling本人が
「今回は早かったなあ〜」って言うくらい
あっちゅう間に「ハラマキをつくるぞ!」って
ことに決まりました。
西田はその会議に参加してなかったんですが
ミーティングがおわったあとに
「にしだ〜、腹巻きつくるからなー」と
うれしそうなdarlingが叫びながら
かなり軽快にやってきたのを覚えてます。
ほんとーにすごい勢いだったんですけど
その時のわたしには「いったい何のこと??」
だって、ちょっとまえにdarlingは
「西田、おサルのセーターがあったらいいよなー」
って言ってたはず??なんですよね。


トノサマが最初に持ってきた
織り見本。ぺらんとした一枚もので、
まだハラマキの形にはなっていません。


でもそのあと
「セーターのはなししてたらこれは
 ハラマキのほうがいいと思ったんだよ〜」って
はなしを聞いて
あ、これぞまさに“ほぼ日会議”だったのね、
と理解したわけです。

そうなんです。
とにかく行方がわからないのが“ほぼ日会議”。
ほぼ日手帳のときも一度は
「じゃあ、いっそサバイバルキットにしちゃおうか」
って話がでたくらいで、
会議しながら一瞬にして
企画がかわっちゃうなんてことは
とってもよくあるはなしなんでした。

そしてdarlingとトノサマくん、アッキィ画伯に
わたしを加えた4人が中心になって
「ハラマキプロジェクト」が発足したのでありました。
でもこれからはちゃんと西田も参加して
舵取りしますのでご安心あれ。

しかしこのプロジェクト、
決まるのも早かったけど、進むのも早い。
会議から2日後にはトノサマくんから
「デパートで腹巻きを買いあさってすでに
 サンプル作成中です」
という頼もしいメールが届いたと思ったら
なんと、1週間後には
“糸を決めるためのサンプル”なるものが
到着しました。

糸? 糸一本見ただけじゃ出来上がりの
イメージはわかんないんじゃないの?
なーんて心配はちっともいりませんよ。
だって、ただひょろっとした糸だけが届いたわけじゃなくて
送られてきたサンプルはちゃんと筒状に編まれてるものや、
すでにおサルのイラストが編み込まれてて
十分腹巻きとしてつかえるものばかりなんです。
サンプルにしとくにはもったいないくらい。


わーっ! ハラマキの形になってるよ!

じっさいにハラマキとして着用できるものは
2〜3点あったんですが
まずは近くにいたモギ木工用ボンドGなんかを
つかまえて試着することにしました。
でもね、もちろん、だまってられないわたしたち。
「わ〜い、おサルのハラマキだ〜!!」
「これ、かわいいよ〜。」と大騒ぎしてるうちに
明るいビルにいた他のほぼ日メンバーたちも
わさわさと集まってきて
「ちょっとかして、かして」
「次まわしてね〜、早くー」と
半分とりあいながらの試着大会が
はじまっちゃったんです。

そのうち、ひとまわりしてもまだ足りない
モギ木工用ボンドGが今度はいきなり頭に
かぶりだしたりして「どう、似合う?」
なーんてやりはじめるし、
あとからやってきたシェフ武井も
太いお腹にこれなら平気でしょ、とはこうとしてる
ハラマキは全然サイズちがいだし。
そうゆうわたしもこれなら
「チューブトップにもいいかもねー」って
着てみたりして、
ハラマキひとつでああ、楽しっ!


わ〜い!


でもそのとき、ほぼ日一冷静なメリー木村が
手がつけられなくなってるみんなを見て言いました。

「ちょっと、いつまでやってるんですか〜?
 みんなでまわしっこしてる場合じゃないですよ、
 これってハラマキの糸きめるための
 サンプルなんじゃないですか。」
 
ははははは。
そうでした、そうでした。
大事なのは糸を決めることだったんです。
すっかり盛り上がっちゃって
本題を忘れちゃってましたが
よーく考えてみればわたしたちって
とにかくハラマキをつくりたいってことはわかってても
どんな糸がいいかなんてちっともわかんないし
やっぱり道しるべ的存在のトノサマくんがいないと
ただ大騒ぎの試着会になっちゃって、
大事なことはいっこうに決まりそうにないんですよね。

で、これはトノサマくんに登場いただくしかないと
判断した西田はまずはトノサマくん電話。
「送ってもらったサンプル見たんですけど
 わたしたちだけじゃただの試着になっちゃって
 とにかく来てほしいんですよー」と
切実な呼びかけをしてみました。

するとトノサマくん、
「いいですよ、いつでも行きますから」
となんとも頼もしい返事。
これで今度はトノサマくんの解説つきで
送ってもらったサンプルを確認することができるんですね。

ということでトノサマくんを交えた
第二回目の会議が翌々週に開催されることになり
今回は送ってもらったサンプルをまえにして
ちょっと真面目に会議がはじまりました。
「この糸だと伸びがわるいんじゃない」
「これは肌触りがそんなによくないよね」
このまえの大騒ぎをやや反省して糸について
冷静なトークを展開していくわたしたち。

しばらく、それぞれにサンプルをのばしてみたり
ちゃんとお腹に巻いてみたりして
その結果、中でもいっちばん肌触りがよくて、
軽くてよくのびる茶色いやつ。
その糸にみんなのポイントは集中して、
darlingからも「おお、これはいいんじゃないか」と一票。


これが「軽くてよくのびる茶色いやつ」!


そしてここでトノサマくんの解説です。
それによると
「これは去年流行った毛糸のパンツに使われてた糸で
 今年も注文が殺到してる糸なんですよ。」
とのこと。
 
パンツ!?
そうそう、じつはわたくし
この糸にみおぼえが・・・、というか
トノサマくんの言ってる
“去年流行の毛糸のパンツ”ってやつを
すでにはいてたんです!
それどころか、そーとー大活躍で
ひと冬どころか、夏でもはいちゃうくらいに
はき心地よくて、軽くて普通に洗濯もできて
ほんとに、いいんですわ、それ。

というわけでみんなでもういっかい
一番人気の茶色いやつをながめたり、
ひっぱったり、はいてみたりして各自検証。

そこで「これにきまりだな」との
ダーリンの力強いひとことがあって
「わ〜い、糸が決まった〜〜!!」となったんです。

でも大盛り上がりのわたしたちをよそに
トノサマくんだけはやや渋い表情なんです。
「ただひとつ問題があるんですよ・・・」

「この糸って今年もそうとう流行ってるらしくって
 なかなか手に入らないかもしれないんです」

「ええーっっ!?」

ほぼ日ハラマキは絶対あの糸でつくりたいのに。

(つづきます)

2001-10-19-THU

BACK
戻る