「はだか」の作品。 アンリ・ベグランさん、福森雅武さんと、 伊賀の「土楽」で。
 
その6 からっぽになったらなったでいい。     いつもいっぱいでなくってもいい。
アンリ 福森さんには、
跡継ぎの娘さんが
いらっしゃるんですよね。
糸井 ちがう意味で期待できますよね。
福森 ええ、もう自由にやったらいいし。
自分がそう思って潰したら
それはそれでいい。
糸井 福森さんそのものじゃないけど、
娘さんたちのやりたいことはやっぱり、
いま呼吸してることだから、
おつきあいしていて、
ぼくらはやっぱり、気持ちいいですね。
福森 何かの精神が伝わってたら
それだけでいい。
糸井 料理に砂糖は使わないとか(笑)。
一同 (笑)
糸井 お母さんは使うんですよ。
福森 わたしがいないときは使うね。
一同 (笑)
糸井 そういうのもおもしろいんですよね。
育った水のちがいですよね。
両方おいしいんですよ。
福森 飲みましょう。
はははは。
糸井 ほーらきた。
アンリ 泊まってもいいですか(笑)。
福森 いいよ。
ふみこ
さん
いいのかなぁ。
アンリ イタリアのことわざなんですけど、
アルコールは毒で、
ゆっくり人を殺すんですけど、
時間あればいいじゃないですか、って。
一同 (笑)
福森 日本もね、百薬の長とも言うし、
なんとか水とも言いますから(笑)。
そこから物ができてくるんです。
わたしのモットーはね、
主人三杯、客一杯。
アンリ とてもエレガント。
福森 飲むことに関しては人に負けません(笑)。
冬なら、炭入れてね、
硬いチーズを焼きながらウイスキー。
もう最高。
ふみこ
さん
ドイツ人のようですね。
熱いチーズを食べながら、
すごい濃いさくらんぼのリキュール、
キルシュヴァッサーっていうのがあるんですけど、
グラッパのように、ウオッカのように
飲むんですよ。
そのさくらんぼのキルシュっていうのが
ぜんぜん甘くないんで、
それと熱いチーズを食べるんですって。
福森 いいねぇ。
囲炉裏でチーズ焼きながらね、
こうウイスキー飲むのよ。
うまいよー(笑)。
糸井 もう、いきいきしちゃった。
福森 まぁ、そんなもんですよ。
あと10年ですから、あはははは。
糸井 アンリさんは
いっぱい飲んでるんですか、よく。
ふみこ
さん
強いんですけど、自分が好きってことが
わかってるので、節制していますね。
ほんとは、ウイスキー、バーボンは大好き。
わたしはぜんぜん止めないんですけど、
自分はやめるって言って。
買っちゃうと飲んじゃうので、買わない。
糸井 抑えられるんですね。
福森さんの逆ですね。
福森 あのね、昔から日本は
米櫃に米がいっぱいなかったらさびしい。
ウイスキーもいっしょ。
いっぱいなかったらさびしい。
糸井 はははは。
アンリ じゃあ、なくなったら最悪ですね。
福森 さびしい。
アンリ ご自分もからっぽに
なっちゃうってことですね。
福森 でも、自分は、
からっぽになったらなったでいいんですよ。
いつもいっぱいでなくってもいい。
アンリ うんうん。
糸井 アンリさんは
そういう話がわかるイタリア人だから
おもしろいですね。
三浦 これが通じるんやからね。
ふみこ
さん
いまのような話は、
なかなか欧米人には通じないですよ。
アンリはときどき、
日本人よりも、日本人のような発言をしますね。
アンリ (にこにこ)
ふみこ
さん
福森さんは
ろくろ回してるときは
飲まれないですよね、もちろん。
福森 それはないです。
あのね、集中してるときに、
深酒すると、具合悪いんですよ、やっぱり。
集中するときは、深酒すると、
つい先のほうに集中してしまって。
気がね、そっちいかなくなって、具合悪いから、
そのときは、あまり、
人と付き合いをしないようにしてるんです。
人と付き合って、パーティーとかで飲んだら、
三日とか、長いと一週間調子が戻らないから。
ふみこ
さん
一週間は何もつくらないって感じですか。
福森 いやいや作るけれども、
なかなかこうリズムが乗らないっていうか。

(つづきます)
2010-09-08-WED
(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN