ガンジーさん。
いつ途切れるかわかりませんが
今後ともよろしく。

440.入院の前に。

同じ人の文章でも、まったくちがった表情を持つものだ。
ぼく自身でも、これじゃどこにも届かないだろうなぁ、
というような文章を書くこともあるし、
これは通じなくてもいいと覚悟して書くときもある。
表情にあらわれてしまうのだ。

今日の『the親戚新聞』は、
具体的に長女に宛てて、というような
たったひとりを相手にした文章なのだけれど、
他人のはずのぼくらにも、きっとしみる表情を持っている。

今日は、ツッコミ入れられない。

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「行ってきま〜す!」

本日10時...なんて書くと
パチンコやの開店みたいだね。
やっとベッドが空いたので
今日、11月9日午前10時に入院することになったよ。
耳鼻科の病棟に居候するわけなんだけど
途中で部屋替えもありそう。

美長女どの。
お前にtelしたのは
とりたてて用件があるわけじゃないんだ。
つまり..そのぅ..なんとなく声が聞きたかったののよ。
わぁ、テレくさっ!
かってはあれほど威張りちらしていた親父も
お歳のせいに病気がくわわり、なさけないありさまだぜ。
書きたかぁないけど書いちゃう。

人間、ふんぞり返って威張ってあるくもんじゃねぇなぁ。
ましてガンジーの場合、うち弁慶だ。
威張る相手は諸君とタスデ美とイヌたち、
下請けさんに対しても
おとなしい対応で時にはナメられもしたっけ。
糸井さんが言うように酒を飲んだ時だけトラになる。
そんな姿をみたお得意さんはビックリ仰天、
以後仕事の数が減ったっけ。

「実るほどこうべをたれる稲穂かな」
そんな諺を好むくせして実行ができない、
ついに実ることなく人生を The end と
あいなったわけだ。
正直、信用とかそんなものより
策略や手練を好むガンジーだった。
「策士策におぼれる」
こんな言葉だけはよく知ってるだろ?
理屈をならべて相手をケムに巻こうって
あさましい魂胆。
タスデ美はそんなおれを苦々しく思っていたようだ。

でもね、いいわけ言っちゃうけど
こういうヤツが結構いっぱいいるんだぜ。
そして多くは懺悔せずにあの世ゆきさぁ。
ガンジーはこうしてみっともない前科を白状し
諸君への反面教師としての立場を、
はっきりさせられるだけ幸せだぜ。
人間って最後は正直になるもんだなぁ。
坊主のお説教うけたわけじゃねぇのによ。

入院中の親戚新聞だけどさ、
以前のエクシーレにもどすのはキーが打ちにくいので
このノート型を持ち込みたいけどいいのかな?
聞いてみよっと。
電波を使わなけりゃいいと思うけどね。
点滴などの管でしばられるわけじゃないので
送受信は外出帰宅して送るよ。

お見舞いなんかはいらないよ。
ただメールだけくれ。
「ウチにも年末年始は予定があるから
 なるべく早くご命日を知らせろ」とかね。
これがホントの命令だ!

ほぼ日読者の方から続々とハゲまし..
これ以上薄くなりたかないよう〜・・・
のメールをいただいてる。
お節介きわまる100万力のありがたさじゃ。
とくに女性の方からのものは親身にあふれ
身内でもないのにその博愛ぶりにはおどろく。
母性本能ってヤツはすげぇもんだなぁ。
タスデ美のネコ可愛がりもゆるしちゃおう。
生命を生み出し生命をはぐくみ生命をいとおしむ。
女性万歳!


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「タスデ美はそんなおれを苦々しく思っていたようだ」
というところで、あのぼくの知っているガンジーさんの、
いままでに見たことのないいちばん真剣な顔が、
はじめて見えたような気がした。
読むこちらも、真剣になる。

(つづく)


※『出前ガンジー』あるいは『ガンジー水戸黄門』の
企画について。
ガンジーさんの行脚先を募集しています。
詳しくは9月24日付けの『ガンジーさん』
ごらんくださいませ。

2001-11-12-MON

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