ガンジーさん。
いつ途切れるかわかりませんが
今後ともよろしく。

7.お見舞いということ。

次に受け取った『親戚新聞』の内容は、
ほんとうに深いものだった。
家族だけで読むはずの新聞に、
イトイという部外者・観察者が混入したことで、
迷惑にならなければいいのだがと思っていたが、
逆に、もっと書きたいことが増える可能性に、
図々しく期待もしていたぼくだった。

そして、受け取った次の号は、
力のある内容だった。
病人の側から考えるお見舞いについての文章だった。

あ、『親戚新聞』って、“the”がついていたのか?

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◆"the 親戚新聞”日曜版.8/20

「お見舞い」
お母さんから聞いた話

友達の孫が小児癌にかかったと言う  
そして度々見舞いに行くうち
その癌子ちゃんに
”おばあちゃん もう来ないで ” 
と 言われたそうだ。

俺 この気持ち かゆい程わかる。(無理して笑うな!)
”癌子ちゃん!  がんばってね! 
おばあちゃんが 代わってあげたい! 
うぅっ うっ!(泣き)”

こんなことを 毎日繰り返されては  たまらない
幼児に60〜70年を経た人間の心理など  
わかる筈もない

次は俺の経験
検査.検査で 肺カメラをのんだ時の事
手足を拘束され 何が始まるんだろう? 
という不安な気持ちのところへ
老練(?)な看護婦が俺の肩を馬鹿力で押さえこみ
”大丈夫ですよ Yさん!
もし何かあったらすぐに対応できるよう
先生方も待機してますよ  
大丈夫ですよ!しっかりして!”
とわめく。

ぎょっ!何かあるのかな?  
と不安が増幅する   
しかも うら若い看護婦ではない。
婆ぁ の至近距離だ! 
餃子を食ったような息とともに 
その萎びた茄子が
視界いっぱいにひろがってくる
”人殺ろし〜ぃ!”

何れも患者の気持ちを
無視した  自分勝手の行動なのだ。  
お見舞い.激励.慰め.はむずかしいぞ諸君!  
俺のように 絶対に見舞いに来て欲しくない患者も
いるしね。
骸骨のような身体を見られるのは 
屈辱いがいの何物でもない

Anyway 病気にならぬのが一番だ
Have a good day!

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癌爺・ガンジー
163cm・B型・80%マジメです
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最後に、少しガンジーさんのプロフィールが
署名として記されている。
小柄な方なんだなぁ。
「80%マジメです」ほんとに、そうなんだと思う。
とてもよくわかる。

ぼくは、食道ガンで他界した自分の父親を、
思い出した。
こういうことを感じていたんだ、父も、たぶん。

連載の準備をどうするかについて、
整理しきれないままに、ぼくは急いで
この日曜版についての感想を書き、
ガンジーさんに送った。

「ほぼ日」に、これを掲載しましょう。ぜひ。
そういう思いが、さらに強くなっていた。

(つづく)

2000-08-30-WED

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