ガンジーさん。
いつ途切れるかわかりませんが
今後ともよろしく。

1.最初は、ほんとかなぁ?と思った。

毎日たくさんメールを読んでいるので、
ぼくは、妙な嗅覚を身につけてしまった。
よく読むべきメールは、
最初に、そんな匂いがする。

ただ、これは、嗅覚もなにもない。
タイトルが『“癌爺”と申します。ハイ』で、
書き出しから「癌患者で〜す」だもんなぁ。

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◆“癌爺”と申します。ハイ。

よわい65になる.癌患者で〜す。
5月17日に担当医師から「死刑宣告」をうけ 
執行猶予2ヶ月 とのこと。
さあて残り2ヶ月になにをすべきか?
とりあえずは愛するカミさんの 
再婚相手でも見つけてやろうか などなど 
狂った頭のなかで あっちへ飛び こっちへ跳ねる 
思考を繰り返しながら日が過ぎていきます

そんな時 娘が 
「どうせ短い入院生活をおくるなら 楽しんだら?」 
(What does it mean?)と 
ドコモ.エクシ―レを買ってくれ 
忙しい(probably)仕事の合間に
使い方を 教えてくれました。 
やってみると これが面白くて
完全にハマリ込み 死亡予定日の目前.
7月23日 ノート型を購入 
ただ今 熱中しております 
糸井さんの 「ほぼ日刊」を真似て 
『親戚新聞」なるものを 
一親等親族に 毎朝届けております.。 
とりあえず死ぬことを忘れている わたくし
 ”癌爺” は このところ 
あっちこっちの ホームページを覗いており 
娘の薦めもあって 「ほぼ日」を
楽しませてもらっています。
でも なかに意味のわからない文も多く 
Generation gap を感じますね。 
とまれ 教育.ラジオ.TVと
いつも 一方通行で歩んできた私たち世代には 
このPCという奴は あまりにも面白すぎる。 

そんなわけで ”癌爺”からも
メッセージを送らせてもらいました。 
いつ途切れるかわかりませんが 今後ともよろしく。
諸兄諸姉のご健康を祈ります。
(私のように不摂生をして 後悔しないでください)

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冗談だったら、ずいぶん趣味の悪いということになるが、
読んでいて、ウソをついているように思えない。
特に、「愛するカミさん」に関わる表現などは、
抑えてはいるけれど、長年一緒に歩いてきたという
自信さえ感じる。
ほんとうに、65歳の方なのだろう。
実際に、癌を宣告されたのだろう。
たぶん、ぼくの性格とかを察して、
できるだけ明るそうな表現を選んだつもりで、
少し余計なくらいに陽気に書きはじめたのだろう。

だろう、だろうと推測ばかりしていても仕方ない。
なんだか、こういう状況の人が、
あえて「ほぼ日」を選んでメールを出してきてくれた
ということは、どういう意思があるのだろうか。
無意識かもしれないけれど、
ぼくは、この“癌爺”という人生の先輩の
投げてきたスローカーブを、
ミットの音高くキャッチしてみたかった。

自分の父親が、やっぱり癌で他界したときのことを、
少し重ね合わせて読んでいたということもある。

ぼくは、おそるおそる、失礼にならないように
気をつけながら返信のメールを出した。

(つづく)

2000-08-22-TUE

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