ほぼ日刊イトイ新聞 フランコさんのイタリア通信。アーズリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

2009-03-17-TUE

イタリア勢、チャンピオンズ・リーグ敗退。

はぁ〜〜〜。
失礼しました、ため息もつきたくなるのです。
UEFAチャンピオンズ・リーグで、
イタリア勢がイギリス勢に押しつぶされ、
全滅しました。

この1年の間に、イタリア勢は、
何も変えられなかったという結果です。
昨年のUEFAチャンピオンズ・リーグでは、
決勝トーナメント1回戦でアーセナルがACミランを、
リバプールがインテルを乗りこえて先に進み、
準々決勝戦まで行ったASローマもそこまでで、
マンチェスターUに負けました。
その1年後の今年はといえば、
おなじみのアーセナルがASローマを、
マンチェスターUがインテルを、チェルシーがユーヴェを、
すべて決勝トーナメント1回戦で敗退させたのでした。

昨年今年と通算6チームが
決勝トーナメントに進んでいながら、
その6チームともが
準決勝までも進めなかったということは、
W杯では世界チャンピオンのタイトルを持つイタリアの、
代表的なクラブチームの出した結果としては、最悪です。



インテル、身を焦がすような敗北。

なかでも、国内リーグのカンピオナートでは
数年に渡ってチャンピオンである
インテルの敗退は、センセーショナルです。

石油王でもあるインテル会長のマッシモ・モラッティは、
昨シーズンの終わりに当時の監督であった
ロベルト・マンチーニを解雇し、
ホセ・モウリーニョ監督を雇いました。
マンチーニとの契約は2013年までありますから、
給与は支払い続けており、その金額と、
モウリーニョに支払う金額を思えば、
監督を交代させただけでモラッティが支払う費用は
1億ユーロを上回る計算です。

モウリーニョは2004年に、FCポルトを率いて
UEFAチャンピオンズ・リーグに優勝しています。
この功績を買われてチェルシーと契約しましたが、
成績は、イギリス国内で優勝したものの、
ヨーロッパ内では優勝したことはありません。

それにもかかわらずモラッティは、
UEFAチャンピオンズ・リーグが
チャンピオンズ・カップと呼ばれていたころから
44年間も勝てないでいるこの大会で、
モウリーニョとなら変化が起こせると信じていました。

しかし、そこに待っていたのは、
身を焦がすような敗北であり、
インテルは、モウリーニョ監督が来る以前に
逆戻りしてしまったような格好です。

モラッティはUEFAチャンピオンズ・リーグ優勝の夢に
取りつかれたようになっていますから、
次期のカルチョメルカート(サッカーマーケット)では、
また多額のお金を使うでしょう。
昨年は7千万ユーロを上回る出費をしましたが、
今年はそれ以上に‥‥。

昨年の「大きな一撃」は
3千万ユーロも支払って入手した
クアレスマ選手でしたが、彼は、
チェルシーに無償貸与された6ヶ月後に、
早くも失意のうちにインテルに舞い戻りました。
そんなこんなで、今、モラッティは迷っています。
果たして、モウリーニョ監督の望みを叶えるために
1億ユーロほどを使うべきか、
それともまだ契約の切れていない
マンチーニを呼び戻すべきか、と。


マンチーニの思惑は‥‥?

しかし、マンチーニはぜんぜん別のことを考えています。
彼は来年開かれるW杯南アフリカ大会に
「どこかの代表チーム」を率いて
参加したいと思っているのです。
どこの国の代表かということは
彼は明らかにしていませんが、
頭角を現し始めている若い代表チームのどれかが、
真面目なプロジェクトをマンチーニに提示するなら、
彼はまちがいなく受けるだろうと、ぼくは思います。

現在の契約でインテルが彼に支払う報酬の
半分しか出せないと言われたとしても、
たとえば南アフリカ代表や日本代表の方が、
マンチーニはお気に入りだと思います。

ともかく、
インテルが全くの期待はずれだった一方で、
ユーベやASローマも
UEFAチャンピオンズ・リーグから敗退しました。
抱える事情は、それぞれ異なりますけどね。

八百長スキャンダルでセリエBに降格されたり
返り咲いたりで、実に3年ぶりの
UEFAチャンピオンズ・リーグ参加となったユーヴェは、
その苦難の道のりを思えば、
ドログバのいるチェルシーに負けたことも
驚くにはあたりません。
ただ、ネドヴェド、トレセゲ、デル・ピエロにとっては、
これがUEFAチャンピオンズ・リーグ優勝をかけた
最後のチャンスだったでしょうから、
もの悲しさが残ります。

PK戦でアーセナルに負けたASローマでは、
トッティにとって、たぶんこれが最後の
UEFAチャンピオンズ・リーグ出場だったでしょう、
現在ローマはカンピオナートで4位に届いていませんから。
つまり来年のUEFAチャンピオンズ・リーグ出場権にも、
手が届きそうにないということですよ。

涙あり、嘆きありで、
カルチョ・イタリアーノは奈落に落ちた感があります‥‥。


訳者のひとこと

残念でしたねぇ。

ところでASローマは、
3月14日現在でカンピオナート6位ですね。
ジェノアが4位と健闘していますが‥‥。

うららさんイラスト

翻訳/イラスト=酒井うらら



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