フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

パトとバロテッリ、ふたつの希望の星。

ミラノのサッカー好きたちを色めき立たせている、
ふたりの青年がいます。
ひとりは白い肌のブラジル人、
もうひとりは黒い肌のイタリア人で、
ふたりの年齢を合わせても
たったの35歳です。

franco

18歳のブラジル人選手、パト。

まずアレクサンドレ・パトですが、
昨年の夏にACミランにやってきたものの、
この1月にやっと初出場となりました。
デビューして間もないわけですが、彼はすでに
シェフチェンコ、カレカ、ベベト、
そして過去の多くのチャンピオンらに
なぞらえられております。

franco

彼のデビューは対ナポリ戦。
じつに素晴らしいものでした。
サン・シーロ競技場の特別席に陣取る
ベルルスコーニ会長や
オンエア中の全てのテレビカメラの目前で、
彼は見事なゴールを蹴り込んだのです。

それだけではありません。
目を見張るドリブル、
あらゆる方向からの強烈なシュート、
どれをとってもブラジル人ならではの
典型的なテクニックを見せてくれました。

じつは、感動をつぎつぎと観客にあたえる
彼の能力を最大限に引き出すために、
アンチェロッティ監督は
パトのデビュー戦にロナウドとカカを
共に出場させていました。
彼らのおかげで、ACミランは
ボールの周りで90分間サンバを踊りつづけるような
プレイを展開し、ナポリを茫然とさせたのでした。

franco

パトは、彼のイタリアでの第3戦めでも、
ジェノアに対して2本の素晴らしいゴールを入れ、
サン・シーロ競技場の観客たちを更に楽しませました。

子どもっぽい顔のパトの勇ましさを誰もが賞賛し、
彼の甘く優しい笑顔を見たACミランのティフォーゾたちは、
「ロナウド、パト、カカ」という
夢のトリオの準備は整ったと思ったことでしょう。
彼らはチャンピオンズ・リーグ再優勝の夢を、
ふたたび見はじめています。

実際には、ACミランはカンピオナートで
4位に上がることも見込まれるくらいのところにおり、
コッパ・イタリアではすでに敗退しました。
しかし、このブラジル人選手たちが起こすであろう
奇跡に対する信仰にも似た思いは、
ACミランのティフォーゾのみならず、
全イタリアの少年たちのあいだに「パト熱」を
もたらすほどです。
白い肌にACミランの赤黒ユニフォームをまとった
18歳のブラジル人パトは、
すでに偉大なチャンピオンにすら見えます。

franco

17歳のイタリア人選手、バロテッリ。

そしてこれに対するインテルの反撃は、
黒い肌のイタリア人でした。
パトより1歳若い17歳のマリオ・バロテッリです。
彼も登場してすぐに、インテルのティフォーゾたちの
アイドルになりました。

franco

バロテッリは、1990年にシチリアで
ガーナ人の両親から生まれ、
すぐにブレシャ在住のイタリア人家族の
養子になりました。

彼は8歳の時からサッカーを始め、
インテルにやってきたのは3年前のことです。

彼のグランド・デビューは
コッパ・イタリアの試合でした。
レッジョ・カラブリアにおいて
見事に2本のゴールを決めたのですが、
対戦相手がファーストクラスではなかったので、
この時はことさら賞賛はされませんでした。

彼に対する熱狂が爆発したのは、
1月30日、トリノにおいて
インテルが宿敵のユヴェントスと
対戦した時のことでした。

マリオ・バロテッリは、
年明けの試合の中でもっとも待たれていたこの試合で、
とびきり美しいゴールを2本蹴り込んだのです。
1本めはまるでベテラン選手のように冷静に、
2本めはアクロバティックなひねりのゴールが、
ユヴェントスのティフォーゾたちをも立ち上がらせました。
まるで手の皮がむけるほどの拍手が、
バロテッリを包みました。

ミラノのサッカーファンたちは、
このふたりの青年をそれぞれインテルとACミランの
旗手にしようとしています。
スペクタクルなサッカーと夢のような感動が
ふたたび戻ってくることを、
誰もが望み、夢見ているのです。

夢を見ているだけでは
腹の足しにならないのは事実ですが、
夢が人生に元気を与えてくれるのも確かです。

franco

訳者のひとこと

1月30日現在で、イタリアのカンピオナートの
セリエAの順位は
1位インテル、
2位ASローマ
3位ユヴェントス
4位フィオレンティーナ
5位ウディネーゼ
6位ACミラン
(以下、略)‥‥です。

ACミランは現在6位なのですね。
まあ、まだ2月ですから‥‥!

franco

(追記)
 週末の試合で順位がかわりました。
 ACミランがフィオレンティーナに勝ち、
 ウディネーゼがナポリに負けたので、
 ACミランは5位に浮上、
 ウディネーゼが6位に落ちました。

翻訳/イラスト=酒井うらら

2008-02-05-TUE

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