フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

インテルの悲しき4月。


おなじミラノの街を拠点とする
ACミラン対インテルのミラノ・ダービーは、
ほかに例を見ないほどの決戦になるのが常で、
会長(インテル側はオーナーのモラッティ)、
コーチ、選手、そして、特にティフォーゾたちを巻き込む
一大イベントとなります。

しかし今回のダービーには、
「現実」というものが「夢や希望」を
大きく超えて、のしかかりました。

先々週ここでお伝えした選挙の結果、
ACミラン会長でもあるベルルスコーニは破れました。
彼は、もはやイタリア首相ではありません。
でも4月14日金曜日のミラノ・ダービーには、
周囲からの要望もあり、
欠席するわけにはいきませんでした。

チームとしてのACミランは、
準決勝戦に勝ち残っている
UEFAチャンピオンズ・リーグのことや、
オーナー会長が選挙で破れたことなど、
考えることがいっぱいですが、
ともかく予想通り、このダービーを制しました。

ダービーの劇的な前夜。


インテルの「ダービー前夜」は、
さらに劇的でした。
先週の日曜日の試合の後、夜、
選手たちは試合に勝ったアスコリの街から、
ミラノに帰ってきました。
ところが、マルペンサ空港で彼らを待っていたのは‥‥
10人ほどのウルトラス(特に過激なファン)だったのです。
彼らは覆面で顔をかくし、
空港の駐車場で選手たちを待ち受けて、襲撃しました。

クリスチャン・ザネッティは殴られて頭を負傷し、
ほかの選手たちは逃げて、その後、警察に守られました。


オーナーであるマッシモ・モラッティや、チームに対する
抗議はさらにエスカレートし、
インテルのティフォーゾたちは
「ダービーに行かない」という抗議の方法をとりました。
今回はACミランがホームの試合でしたが、
すでに売れていた6000枚以上のチケットが
払い戻されたそうです。
彼らがいつも陣取る、あの有名な
「サン・シーロ競技場の北クルヴァ(カーブ)席」が、
4月14日の金曜日には閑散としていました。
(冒頭の写真をごらんください)
平和的な意義申し立てとも言えますが、
ティフォーゾたちとチームとの断絶が
もはや修復不可能であることを表していました。

マッシモ・モラッティは、
マルペンサ空港で選手たちが夜の襲撃を受けた後、
そしてダービーよりは前に、
イタリアサッカー界全体に不意打ちを喰わせる言葉を
テレビや新聞で放ちました。
「私はチームを売る準備ができている」と。

▲コッリエーレ・デッラ・セーラ紙
モラッティ「私は本当に別れたい」

モラッティはインテルにぞっこんです。
でも、遠い過去の1989年からスクデット奪還を待ち、
UEFAチャンピオンズ・リーグでの勝利は
更に昔の1965年から待ち続けているティフォーゾたちの、
たび重なる抗議行動には、
彼はもう耐えられないのです。

モラッティがオーナーになってから11年ですが、
その間に伝統的なライバルであるACミランや
ユヴェントスは様々な勝利を納めています。
スクデットやUEFAチャンピオンズ・リーグ杯など、
それも複数回におよびます。
いっぽう彼のインテルは、
ロナウドがいた時のUEFA杯1個と、
昨年のイタリア・カップ(コッパ・イタリア)と、
イタリア・スーパーカップ(スーペルコッパ・ディタリア)
しか取ってません。

インテルは、昨年夏には
フィーゴとサミュエルを購入しましたが、
なにも変わりませんでした。
インテルはティフォーゾたちを落胆させつづけ、
疲れ果てたモラッティは
今、チームを売ろうとしています。
現在のところ、可能性のある購入希望者は
名乗り出ていませんが、
数週間のうちに、あの古典的な質問、
「いくらですか?」とたずねる誰かが
現れないとも限りません。

たぶんインテルのマンチーニ監督は
解雇されるでしょうが、
すべてが大混乱状況の中にあるので、
今のところ具体化されていません。

それから、インテルには
アドリアーノ問題もあります。
ここ数カ月、このブラジル人センターフォワードは
まずいプレイが続き、ゴールを印さず、
プロのサッカー選手よりは
プレイボーイにふさわしい生活をしています。


▲モラッティ「さようならの前に選択の時は今」
マンチーニ、アドリアーノ、会社と投資

まさにアドリアーノ自身が、ダービーの負けの直後に
テレビでこう発言してしまいました。
「ティフォーゾたちがぼくを望んでいないなら、
 ぼくはここを去ることもできる」ってね。

事ここに至ったとなれば、
レアル・マドリードからチェルシーまで、
多くの大チームがアドリアーノ購入のために
列をなすことでしょう。

オーナーのモラッティはチームを売りたいと言い、
アドリアーノは出て行きたいと言い‥‥
ああ、インテルにとって、
これ以上に悲しい4月なんて想像できたでしょうか?


▲ラ・ガッゼッタ・デッロ・スポルト紙
モラッティ、センセーショナルな方向転換
「はい、今回はインテルを売る準備があります」
マルディーニ「これが、僕の最後のダービーではない」

訳者のひとこと
最初の新聞の、写真に写っている横断幕は
INNAMORATTIと書かれています。
これは「innamorati」惚れている、恋をしている
という形容詞にモラッティさんの名前を
ひっかけたシャレです。

さて、選挙に敗れたベルルスコーニ氏ですが、
違法だったとか、やり直せとか、
ジタバタなさっているようです。
翻訳/イラスト=酒井うらら

2006-04-18-TUE

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