フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

2006UEFAチャンピオンズ・リーグ準々決勝戦


今年のUEFAチャンピオンズ・リーグで、
少なくもクラブ・チームのレヴェルでは
イタリアのサッカーがヨーロッパで最優秀だと、
決定付ける快進撃がつづいています。
ACミランとユヴェントスが、
すでに準々決勝戦に進んでおり、
インテルが3月14日の対戦で
準々決勝戦に勝ち残る可能性も、
この2チームに負けず劣らずじゅうぶんにあります。

イタリアのふたつのクラブ・チームが、
それぞれ、ドイツのバイエルンとブレーメンを下して
準々決勝戦の抽選会に進んだということ、
(インテルも勝ち進めば、3チームが
 準々決勝戦に残ることになります)
これより前に、こちらは「代表チーム」ですが、
対ドイツ友好試合にアズーリが4対1で勝利したこと、
このふたつは、
イタリアサッカーがドイツサッカーに対して
大きく優位にたったことの確認という意味で、
両方とも同じくらい大変に価値ある結果です。

ACミランと、ユヴェントスはいま‥‥。


ACミランは、対バイエルン戦でチームを引っ張った
インザーギの復帰と、強力なカカの存在で、
UEFAチャンピオンズ・リーグの
優勝候補チームとなりました。

と、ぼくがこう書いてしまうのも、
ACミランの次の対戦相手はリヨンだからなのです。
リヨンは数年に渡ってフランス・リーグに勝利している
優れたサッカーチームではありますが、
プレイの組織化はすばらしいものの、
純粋なテクニック面ではACミランに劣ります。

まさに数日前、ACミラン会長であり
イタリア首相であるベルルスコーニが、
彼のACミランが再び世界を支配するであろうと
明言しています。
彼は、ロナウディーニョを購入するためには
何でもするとも言っています。

「彼は世界一強い選手であり、
 カカのそばに置くには大変に良いと思います。
 このふたりが組めば、
 ACミランをすぐに世界のトップにする可能性がある。
 バルセロナが彼を売ることは考えにくいのですが、
 しかし‥‥」と。

ベルルスコーニがこの言葉を発したのは、
選挙キャンペーンの真っ最中のことでしたから、
ACミランのティフォーゾたちは大満足でした。
インテルとユヴェントスのティフォーゾたちにとっては、
あまり嬉しくなかったでしょうね。

ユヴェントスは、
ブレーメンのゴール・キーパーが試合終了の少し前に
重大なトチリをしてくれたので、からくも勝利しました。

準々決勝戦では、今はユーベにいる
パトリック・ヴィエイラがかつて所属していた
アーセナルと対戦します。

ヴィエイラは、以前の仲間と対戦することについて、
こう語っています。

「運命のいたずらみたいです。
 対戦相手としてロンドンに帰ることは
 最高に感動的だけど、
 今ぼくの頭の中にあるのは
 ユヴェントスだけ。
 サッカーでは過去は大切ではありません、
 大切なのは今だけです」

25年の確執が、いままさに爆発?!


もしユヴェントスが準々決勝戦を勝ち進めば、
準決勝戦では永遠のライバルであるインテルと
対戦する可能性があります。

イタリアサッカーの、この偉大な宿敵である2チームが
ヨーロッパの舞台で対戦したことは、今までありません。
対戦すれば大きなニュースであり、
カペッロとマンチーニという、
25年の間ずっと不仲がつづいている
2人の監督の激突になります。

25年間の確執。すごいでしょう?
そもそもの始まりは1981年、
マンチーニが17才の時にまで遡ります。
その時、彼はボローニャのユースの選手でした。

そして、カペッロの監督するACミランと対戦します。
もちろん、あちらもユースですよ。
カペッロも、監督としての経験を、
まだそんなに積んでいないころでした。

その試合は厳しい激戦となり、
最後にはマンチーニとカペッロの罵り合いになり、
それ以来、このふたりは仲が悪いのです。
お互いに、好感はまったく持ちあっていません。

さて、話をACミランに戻しましょう。
もしACミランが準々決勝戦でリヨンに勝って
準決勝戦でバルセロナと対戦することになると、
こちらもたいへんな試合になります。
カカ対ロナウディーニョ、
シェフチェンコ対エトーの対決になりますからね。
テクニック面でも大きな価値があり、
世界レヴェルのスペクタクルになるでしょう。

さらに先の決勝戦に、早くも
ACミラン対インテルというミラノ・ダービーを
期待している人もいます。
かなり難しいとはおもいますが、
まったくあり得ないとも言えません。

もしそうなれば、イタリアサッカーどころか
ミラノの街こそが、
ヨーロッパのサッカー的支配者になるということです。

訳者のひとこと
ブレーメンのキーパーが
重大なミスをしたくだりですが、
原文では
paperaと書いてあって、
(パーペラ 若い雌のガチョウ)
重大なミスをしたということだよと、
フランコさんの註がありました。
辞書をみたら、「セリフを噛む」のような時も
使われるようです。
ふつうにガチョウと言う時は
oca オーカが多く使われます。
ちなみに、
「トリ肌」は、イタリア語では
【pelle d'oca】(ペッレドーカ)
「ガチョウ肌」になります。

翻訳/イラスト=酒井うらら

2006-03-14-TUE

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