フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

W杯1次リーグ戦


「私たちは、リーグ戦を
 グループ内1位で通過したい。
 そうすれば、トーナメントで、
 いきなりの対ブラジル戦を避けられる」

これは、イタリア代表チーム、
アズーリのマルチェッロ・リッピ監督が、
12月11日にライプツィヒで行われた
ドイツW杯1次リーグ戦
組み合わせ抽選会の直後に、
語った言葉です。


抽選で、イタリアはEグループを引きました。
ブラジルはFグループです。

Eグループの1位とトーナメント戦で
まず対戦するのは、Fグループの2位です。
リッピは、Fグループではブラジルが
1位で通過すると読んでいますから、
アズーリが16強戦でブラジルを避けるには、
グループ1位で通過するしかないのです。
この時点でのグループ1位どうしの
対戦は、ありませんから。

さて、ブラジルのいるFグループには、
他には日本、クロアチア、
オーストラリアがいます。
この中でイタリアと
対戦することになりそうなのは‥‥
日本が有力候補です。
そういうわけで、もっかイタリアでは、
日本を追跡調査し分析せよ、
という展開になっています。

日本を分析せよ!


もしイタリアがEグループ1位通過で、
日本がFグループ2位通過だった場合、
16強戦でのイタリア対日本戦が実現します。

スシ、サシミ、オリガミ、イケバナなど、
イタリアにも日本文化をあらわす
言葉が浸透していますが、
今や「サッカー」も、
これに加えられたというわけです。
(サッカーは、正確には
 「日本語」ではありませんが)

イタリアには、何年も前に、
ジェノアのシャツを着て
三浦知良がやってきました。
彼は優秀なアタッカーでしたが、
イタリアでは、大成功はしませんでした。

その後、中田英寿が来て、
ローマとともにスクデットを勝ち取り、
柳沢敦や中村俊輔が、これに続きました。
彼らは屈強な身体で勝負するというよりも、
想像力と才能のある選手たちです。


イタリアは「日本のサッカー」を、
好意的に受け止めています。
運動的というよりは技術的なサッカーで、
その点がブラジル・サッカーに似ているからです。
そして今や、アズーリの対戦相手になるかもしれない
日本について、イタリアは本気で
調査する必要がある、というわけです。
イタリアのサッカー・フェデレーションは、
この4年間における日本の試合の映像をすべて、
入手したがっています。
マルチェッロ・リッピ監督自身も、
日本を知り、情報を得て勉強したがっています。


リッピ監督に、訊いてきました。


アズーリのリッピ監督は、こう説明しています。

「日本については少ししか知らないが、
 6月にドイツで行われた
 コンフェデレーション・カップで
 健闘したのを、私は見ています。
 ブラジルを相手に素晴らしい2対2を確保したことに、
 私は大いに好感をもっています」

日本がアズーリのライバルのひとつになり、
ドイツW杯16強戦で
日本とイタリアが対戦する可能性を、
マルチェッロ・リッピは、ほぼ確信しているようです。

「アズーリはEグループのなかでは最も強い。
 ガーナ、チェコ共和国、
 アメリカ合衆国はイタリアに劣るでしょう。
 だからと言って1位通過は簡単ではありませんが、
 もしそうなれなかったら、
 それは私たち自身のせいです‥‥」

はい、わかりました。
で、問題のFグループは?

「Fグループではブラジルが完璧に
 優勢だと思いますが、
 2位には、クロアチアやオーストラリアを下して
 日本が来るでしょう。
 日本のサッカーは年々成熟し
 改善される段階にあります。
 最後のW杯ではトルコに敗れましたが、
 それは対戦相手たちより劣っていたからではなく、
 経験不足によるものです」

日本の監督はジーコですが、
チームの成熟は、特にジーコの功績でもありますね?

「彼はサッカー史に残る偉大な選手のひとりで、
 典型的ブラジル・サッカーの考え方や、
 表現の仕方を身に付けています。
 そればかりでなく、
 彼はヨーロッパ・サッカーの経験もあります。
 イタリアのウディネーゼでプレイしたことで、
 彼は、より多くを学んだと思います。
 そして彼の監督する日本は、
 プレイを通して結果に到達するという、
 ブラジル的価値観のゲームをするチームですね。
 私は16強戦で日本と対戦したいと願っています。
 素晴らしい試合になるに違いないですからね」


ただ、イタリアには良くないジンクスもあります。
イタリアでは、
だれも喜んでは思い出さない唯一のジンクス、
W杯においてイタリアがアジアのチームと対戦すると、
ろくな事にならないという良からぬ「伝統」です。
イタリアは1966年に北朝鮮に破れ、
2002年には韓国に破れているのです‥‥。


訳者のひとこと
ええっと‥‥イタリアが、
ブラジルではなく日本と対戦するには、
もうひとつ、日本がFグループ1位で、
イタリアがEの2位でも良いわけですね?
(ひゃあ、恐れ多いですけど)

では、みなさん、よいお年を!!

*フランコさんのイタリア通信は、
2週おやすみをいただき、
1月17日より再開予定です。
翻訳/イラスト=酒井うらら

2005-12-27-TUE

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