フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

フィーゴ夫人の決断。


インテルへの移籍を決めた
ルイス・フェリペ・マデイラ・フィーゴ。
彼の決断の鍵は
最愛の妻・ヘレンがにぎっていたようです。
今回は、そんなお話を。

フィーゴをインテルと契約させたかった
妻・ヘレンの思惑とは?!


フィーゴの妻、ヘレンは
7月末にお忍びでミラノに到着し、
スピーガ通りやモンテナポレオーネ通りにある
ファッションのサロンを満喫しました。
ジョルジオ・アルマーニ、オッタヴィオ・ミッソーニ、
ドルチェ&ガッバーナたちにも会い、
そして彼女は「夫のために」決断しました。
彼をインテルと契約させて、
じぶんもミラノに移り住もうと。
ヴェレンシアとリバプールも話を進めていたのですが、
そのスペインの街も、同様にイギリスの街も、
ファッションの中心であるミラノほどには
ヘレンを惹き付けなかったようです。
そんなヘレンは、ミラノでの買い物だけでは気が済まず、
ミラノでの居住地を
スピーガ通りの中心に決めてしまったのでした。

彼女の夫はサッカーの国際的スターです。
彼は33才で、スターとしては
絶頂を少し過ぎているものの、
ヨーロッパ最優秀選手に与えられる
バロン・ドール受賞や、
世界年間最優秀選手に選ばれてから、
まだ5年ほどしかたっていません。
ですから、なんらかのひらめきを
インテルに与えることは、
まだじゅうぶん出来るでしょう。
昨年の彼はレアル・マドリードの選手として
32試合に出場しました。
でも、来シーズンにも正規の選手でいられる
保証はありません。
そんな彼に呈示されたインテルからのオファーは、
1シーズンにつき450万ユーロというもの。
8月2日火曜日、
ルイス・フィーゴはトスカーナ地方にある
マッシモ・モラッティの屋敷に行き、
その呈示を受け入れることにしました。
ちなみにこの屋敷のある
フォルテ・デイ・マルミという街には、
多くのVIPたちが館を構えています。

この日、フィーゴはオファーを受け入れ、
感謝もしましたが、
この時は契約のサインをしませんでした。
なぜなら、まず夫人と
話さなければならなかったからです。

しかし、彼よりも早く、ヘレンは
「夫のために」
インテルと契約することを決めていました。
──ええ、それはたしかに夫のためではありますが、
魅力的なヘレンは
自分もモデルの仕事に復帰したいと望んでいたのです。
国際的ジェット・セッターたちに混じり、
世界トップクラスのデザイナーのショーに出たり、
高級なファッション誌の撮影などをこなす日々。
あの華やかな空気の中に再びもどりたいと、
彼女は思っていたようです。

7月にお忍びでミラノを訪れて
心を決めていた魅力的なヘレンは
マドリードに戻った彼を見るやいなや、
ただ「イエス」とだけ言ったそうです。
彼がなにを話そうとしているのか、
彼女には全部わかっていたからです。

ルイスとヘレンは、マドリードでは
喧噪を離れた生活を送っていました。
ファッショナブルな場所やディスコや、
高級レストランなどで彼らを見かけることも、
ほとんどありませんでした。
でもミラノでは彼らの生活習慣も、
きっと変わるでしょう。

彼らは文句なく、イタリアサッカー界で
最も美しいカップルですからね。

これでインテルは「永遠の敗者」から
脱出できるだろうか?


ヘレン夫人の「イエス」を受けたルイス・フィーゴは、
同じ週の金曜日の朝にミラノに飛びもどり、
インテルとの契約にサインしました。

彼は10人ほどの記者たちを前に、こう言いました。
「ぼくはバルセロナでは幸せだったし、
 レアル・マドリードでも大変に幸せだった。
 ぼくのキャリアの中で
 多くの勝利を納めることもできた。
 そして今ぼくは、
 まだもっと楽しみたいし勝ちたいんだ。
 インテルには、ぼくのカンピオナートの
 第3のキャリアのために来た。
 もちろん金銭が目的ではない。
 1年後にはドイツでのW杯があるし、
 そこでは、ぼくの国、ポルトガルを
 リードして勝ちたいと思う。
 だからインテルは、ぼくの出発地点であって、
 到着地点だとは全く思っていない」

インテルは、イタリアのカンピオナートで
15年以上も優勝していません。
そして今年のマッシモ・モラッティは、
ロナウドやヴィエリを買った時のように、
また大金を使っています。
彼は自分とインテルとが
永遠の負け組とみなされることに、
もう、うんざりなんです。

彼はレアル・マドリードから
サムエル・ソラーリとフィーゴ、
ウディネーゼからはミッドフィルダーのピザーロ、
ブレシャからフルバックのウオーメ、
フラメンコからゴールキーパーの
ジュリオ・セザールを買いました。
彼のインテルは、
どこよりも大盤振る舞いしたチームです。

今度はマンチーニ監督と選手たちが
マッシモ・モラッティの熱意に答える番ですねえ。

はたして、うまく行くでしょうか?

訳者のひとこと

夏休みのみなさんも、
そうでないみなさんも、
残暑お見舞いもうしあげます!
暑いですね〜〜〜。

ネットで聴くイタリアのラジオ放送局の
ある番組で
「イタリアの中で、どこに住みたいか?」
という質問をリスナーたちにしていました。
その答えの中に
「ミラノ以外なら、どこでも」
というのがあって、この放送局は
ミラノにある私設のチャンネルらしいのですが、
ミラネーゼだというパーソナリティーが
大いに受けていました。
でも、そのミラノは今はバカンスで
人が少ないから、居心地がすごく良いとも
彼は言ってましたけど。
翻訳/イラスト=酒井うらら

2005-08-09-TUE

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