フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

ACミランの2005年。


スモーカーが1本のタバコを吸い終えるのに、
約6分かかるそうですね。
たった1本のタバコが煙となって消える、この6分間で、
ACミランのUEFAチャンピオンズ・リーグ優勝の夢と、
サッカーにおける丸1年間の積み重ねは、
煙となって消えてしまいました。




6分間が試合を決めた。
そして監督をベルルスコーニは‥‥


5月25日の夜に
トルコのイスタンブールで起きたことは、
サッカーファンなら忘れられないでしょう。
あまりに想像外の試合が展開されたのですから。
すべてが信じ難く、誰の目にも記憶にも、
この試合の驚きが残るに違いありません。

後半戦の9分過ぎ、ACミランは
ヨーロッパのクラブチャンピオンを決める試合である
UEFAチャンピオンズ・リーグの決勝戦を、
3対0で勝とうとしていました。
それが、それからたった6分後の15分過ぎには、
リバプールの必死の挽回で3対3になっていたのです。
6分後にですよ、うそみたいでしたね?
しかも、ACミランが圧倒的に優勢と言われていた試合です。


イタリア政府の首相であり、
ACミラン会長のシルヴィオ・ベルルスコーニは、
トルコ政府主脳との会談を
トルコの首都であるアンカラではなく、
イスタンブールで行う手はずを整えていました。
もちろん、この試合がイスタンブールで行われたからです。

そして試合の後、ベルルスコーニは
アンチェロッティ監督に対立する姿勢をとりました。
ベルルスコーニの言い分は、こうです。
「私は試合の直前にチームを訪ね、
 アタッカーやミッド・フィルダーたちが
 どこでプレイするべきかのポジションを明確に説明した。
 残念ながら、うまく行かなかったが、
 私は監督を解雇しないだろう」
つまり、アンチェロッティ監督が
自分の指示通りにしなかった、
だから負けたのだと言いたいのですね。

「監督を解雇しない」という所もポイントですよ。
政府の首相たるものが、誰かに職を世話して
感謝されるならともかく、
誰かから職を取り上げて困らせる
というのは、イメージが悪くなりますから、
できないでしょう。

でも、このベルルスコーニの言葉から漂ってくるのは、
アンチェロッティは解雇こそされないだろうが
辞職しないわけにいかないだろう、という感じです。
もしかすると、アンチェロッティの辞職の理由は
ローマに移るためだったとでも言うかもしれません。

そうなれば八方がうまく納まります。
イタリアの首相であるベルルスコーニは、
「追い出した」という、いやなイメージを作らずに済みます。
アンチェロッティ自身が出て行きたがったのであり、
彼はACミランのベンチから、
ローマのベンチに移るだけなのだから、
職をなくすわけではない、と
ベルルスコーニは言えるのです。

ACミランはロナウド取得を狙っている。


ACミランは20日にも満たない間に、
イタリア国内リーグ優勝のスクデットと
UEFAチャンピオンズ・リーグ優勝を取りそこないました。
スクデットを宿敵ユベントスに持って行かれたことは、
みなさんも、もうご存じでしょう。
そしてベルルスコーニが、来シーズンへの展望としても
何がなんでも持っていたい
「成功の勝者」というイメージは、
このふたつの負けによって傷付いてしまいました。

2006年の5月にはイタリア新政府の選挙が行われます。
これも忘れてはいけません。
ベルルスコーニは成功者として、
政治であろうがスポーツであろうが、
どんな種類の困難も乗り越えられる男として、
自分をアピールしたいはずです。

自分のACミランをもっとビッグにして、
とにかく決定的な「勝ち組」にするためには、
監督を変えることはもとより、
桁外れの買い物キャンペーンに走る心構えだって、
もちろん彼にはあります。
(ちなみに、アンチェロッティが「辞職」した場合には、
 アンチェロッティの助手をしていたタッソッティが
 監督の座につく可能性が高いです。)

ACミランの買い物計画の中には
ジラルディーノが入っていますが、それよりも、
世界チャンピオンであるブラジルのスーパースター、
ロナウドを、ベルルスコーニは、ねらっています。
ロナウド獲得のために
ベルルスコーニがレアル・マドリードに提示した額は
6000万ユーロと言われています。
でも、ロナウドは移籍を承知していないとも
言われていますが。

3年前にロナウドは
インテルに所属していました。
インテルとACミランとは、
同じミラノの街の宿敵同士です。
ロナウドが、かつての仲間を裏切るような移籍を
承知するとは、ぼくには思えません。

でもベルルスコーニは
ロナウドにこだわっているようです。
リオ・デ・ジャネイロ近郊から出て来たロナウドが、
自分にむかって「ノー」と言えるわけがないとでも、
某国の宰相はお考えなのでしょうか‥‥

訳者のひとこと
ロナウドについては、
レアルの側では「彼は売り物ではない」と
答えているそうですが、
自分から安売りしない‥‥ふむ、
あ、仕事の話ですよ、仕事の。
翻訳/イラスト=酒井うらら

2005-05-30-MON

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