フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

2004秋冬ミラノコレクションで。


僕の住んでいるミラノは、
とても美しい街です。
アンティークな魅力にあふれる歴史的な街角、
時を経た石畳にひびく足音は、
まるで月にささげる歌のようです。
月あかりの下、
5世紀以上も前からある古い建物が並ぶ通りを歩くと
夜がこんなにロマンチックなものだったのかと
あらためて気づきますよ。
きょうは、ぼくの街・ミラノから
ファッションの話題をお届けします。



スーパーモデルたちが
ミラノに集まっています!



この街で発表されるファッション・コレクションの数々は、
新しく、よりモダンな美しさを提案することで
アンティークな舞台に新しい魅力を加えてくれます。
2004秋冬コレクションを
ランウェイ上にくりひろげるために、
モデルたちがぞくぞくとミラノに到着しています。
彼女たちの、なんと美しいこと!!

世界中の男たちが(わかりやすいですよね、
男の欲望っていうのは)称賛を送る彼女達ですが、
この時期は、ふつうにミラノを歩いています。
「ふつうの」という意味で、イタリア語では
「隣の家にいるような」と安易な言い方をしますが。
さすがにスーパーモデルたちは、
めったにお隣さんには、いそうもない美しさです。





流行りのバール、たとえば
モンテナポレオーネ通りのCovaや
マッテオッティ通りのSaint Andrewsなどで、
この時期の朝にはよく
彼女たちをみかけます。

昼のファッション・ショーに備えて、
彼女たちの飲むカプチーノは砂糖抜き、
そのほか口にできるものといえば、
フレッシュ・オレンジジュースくらいです。
最近ではもっとシックに、
にがいグリーン・ティーを、というモデルもいますよ。

幸運にも街の通りで彼女たちに出会えた人は、
たとえ車を運転中でも、そちらを見ずにはいられません。
おっと危ない、事故をおこしますよ〜。

でも人がどんなに彼女たちを見ても、
彼女たちは知らん顔です。
彼女たちが夢うつつの目で見ているのは、なに?
たぶん白馬の王子様のことを夢みているんでしょう。
自分たちは21世紀のシンデレラってところでしょうか。
ランウェイに赤いじゅうたんを敷いて
魔法のお城まで連れていってくれる王子様を、
彼女たちは夢見ているようです。
たしかに、すらりとした長身で、
ほどよい恥じらいをそなえた女性らしさのある
彼女たちの美しさは、
王子様にしか手がとどかない感じではあります。
(やっかんでるわけじゃありません。)

そう、まさに王子様というべき、
ブラジルのカー・レーサー
故アイルトン・セナの恋人だった、
伝説のカローレ・アルトも
今年はミラノにもどってきました。
彼女を、そして彼女のあとにつづくであろう
モデルたちを、ファッション関係者が
その目で穴のあくほどみつめています。


カローレといっしょに。う〜ん美しい!


ミラノはすてきです。
でも真冬のこの期間には、
ひときわ美しく魅力的です。
ランウェイ上で発表される服を、
数カ月さきには、
あちらこちらで目にすることになるでしょう。
それを着て美しく、
美しい女性はいちだんと
美しくなっているところを、ね。


ロマンティックでゴージャスな
今度の秋冬コレクション。



さて、今回のコレクションの内容ですが、
まずジョルジオ・アルマーニは
ロマンティシズムと豪華さの道へ進みました。



彼こそはデザイナーのなかで
最も鋭い目をもっているのですが、
「今こそ高級プレタポルテにもどる時です。
 私のこの秋冬コレクションは、
 豪華さと、エリートなクライアントに
 的をしぼりました。
 私はファースト・クラスへもどろうと思います。
 なぜなら、真の女性たちは
 ファースト・クラスでありたいと思っているし、
 そのように自分を見せたいと
 のぞんでいるからです」
と言っています。

プラダも、この傾向にならっています。
シフォンのブラウスや、ポケットの縁を、
ジャケットの裏も、キラキラな石の房でかざりました。
ダマスク織のアンティークな生地でモダンにアレンジした、
帝政ロシア風コートもあります。
高価な石をふんだんに使っていない場合には、
アラベスク風の刺繍で生地に高級感をあたえています。

エンリコ・コヴェリは
ミニ丈のイブニング・ドレスを作りました。
黒地に、カラフルな石をちりばめてあります。

いっぽうロッコ・バロッコは、
ジョルジオ・アルマーニが提案しようとした
高級感からは遠ざかる方向で、
ディスコの夜を意識した
穴あきジャケットを見せてくれました。



アルマーニだって、
高級ばかりに終始したわけではありません。
買いやすい値段のエンポリオ・アルマーニのためには、
すこし異なる提案もしています。
ちいさな三角錐の揺れ動くポケットが、
歩くとゆらゆらするコートなどです。
肩からつづくクラシック・ラインが世界中で有名な、
アルマーニ・ジャケットも、もちろん健在です。

くり返します、
ミラノは、もともと美しい街ですが、
コレクションの期間中には
最高に美しくなります。
特に男性には、
この時期のミラノ行きはおすすめです。
そして、美しさは時をとわず、
つねに魅力的なものです。
きのうも今日も、そして、あしたもね。




訳者のひとこと
イタリア人の平均身長は
高いほうではありませんから、
身長180cmもあたりまえというモデルたちは、
美男美女ぞろいのイタリアでも目立つでしょう。
おしゃれなフランコさん、
コレクションの季節はうきうきだと
思います。
翻訳/イラスト=酒井うらら



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2004-03-01-MON
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