フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

イギリスの王子様とお姫様は、
イタリアに移るのだろうか。

ルネッサンス時代のイタリアの王子様たちは
大変に贅沢な暮らしていました。
何軒も家を持ち、偉大な画家たちの絵を集め、
その他の高価なコレクションの数々に囲まれた毎日!!
今だったら高級大型車やアンティックの時計なども
買い揃えたことでしょう。
そういう暮らしを愛する人が、今もいます。

お金持ちでハンサムで有名な、
サッカー界の世界的スーパースター、
デヴィッド・ベッカムもそのひとりですね。

ベッカムの豪華な
暮らしぶりといったら!


彼が豪華な生活のために使うお金の額は
半端じゃありませんが、
彼が本当にアピールしたいのは、
若干27才でそんな暮しをしているということ、
世界の檜舞台での主役であるということだと、
僕は思っています。

UEFAチャンピオンズ・リーグで
イタリアのミランが優勝したものだから、
サッカーの聖地であるはずのマンチェスターの街は、
話題の中心からちょっとそれてしまいました。
この「事件」は、今シーズン一番の
「お騒がせ移籍騒動」の
幕開けになるかも知れません。

皆さん憶えていらっしゃるでしょうか?
「インテルとミランがベッカムの獲得のために、
 狂乱すれすれの条件を準備している」
と、数カ月前に、ここに書いたことを。

両者のうち、ヨーロッパ・チャンピオンに輝いたミランが
この「ベッカム獲得合戦」でも勝ち抜けた格好になりました。
ミランは、超美形で超有名で
イギリスのサッカー界では稼ぎ頭のベッカムを、
世界の王者にするべく、
あの手この手の準備をしています。

ベッカムは今すでに王子様のように暮らしているのです。
例えば彼の車のコレクション・・・ひっくり返りますよ。
■フェラーリ550マラネッロ
■マーティンDB7
■ポルシェ911ターボ
■ベントレー・アルナージェ
■フェラーリ360モデナ・スパイダー
■ジャガーXKR
など、いずれ劣らぬ名車を
17台も持っているんです。
(17台って!! うーん)

その他、イギリスに2軒、
フランスに1軒、計3軒の豪邸を持ち、
マンションも数軒あります。
一流ブランドの時計や
宝石のコレクションも数しれず・・・
(ふう、疲れちゃいますね)

それだけではありませんよ。
彼の奥さんは、もとスパイス・ガールズのメンバーの
ヴィクトリアなんですから。
ヴィクトリア&デヴィッドは
最高にセレブなカップルであり、
ヨーロッパのジェット・セット族の
あこがれの的なんです。

ミランが提示した報酬といったら!


さて、ミランは、そんな彼を欲しいと思い、
追い掛け言い寄っています。
羽目をはずしかねない程の熱の入れようです。

イタリア首相でありミラン会長の
シルヴィオ・ベルルスコーニが
「これでどうだ!!」
と用意したプレゼントは、こんなふうです。

●住居として、2階建ての、
 1000平方メートルを超える豪邸。
 それもミラノのファッション三角地帯、
 つまりサン・バビラ広場と
 モンテナポレオーネ通りと
 スピーガ通りが取り囲む、
 世界のモード・セレブが集まるあたりに。
 
●それから、景色の美しさと豪華別荘の数々で
 有名なコモ湖畔には、
 公園と見まごうばかりの、
 歴史的にも価値ある庭園つきのお屋敷。

●年俸は少なく見積っても1500万ドル。

この素晴らしく高額な年俸を
ベッカムに支払うということは、
附随する桁外れな税金を納める覚悟も、
ミランにはあるということです。

ベルルスコーニは、すでに電話で直接
ベッカムを口説いています。
ベッカムが愛してやまない
「美しさ」ということにかけては、
イタリアはどこにも引けをとりません。
彼を精神的に高めてくれるイタリアに来られる事は、
彼自身も「幸せだ」とはっきり言っています。



ルネッサンス時代にはミケランジェロやダ・ヴィンチ、
僕らのこの時代にはアルマーニ、ミッソーニ、
フェレ、ヴァレンティノなど、
偉大なアーティストを生んだイタリアで豪華に暮らす。
これは、今はモデルとしても活躍する
ヴィクトリア奥様とデヴィッド王子にとって、
最終目標と言っても過言じゃないでしょう。

あとは彼の今いるチーム、
マンチェスター・ユナイテッドを、
どう納得させるか、です。
マンチェスターは、この重要な選手を手放すならと、
5千万ドルを要求しています。

スポンサーのご意向やいかに!?


この5千万ドルという額が、
何を根拠にはじき出されているかというと、
ミランのスポンサーの最大手である、
アディダスやオペルとの相談の結果らしいです。
アディダスはベッカム個人のスポンサーでもあります。

スポンサーの意向というのは重要です。
ミランのユニフォームに「Opel」と書かれているのを、
ご存じのかたも多いでしょう。
何年も前ですが、
バッジョがミランでプレイし始めると同時に、
このドイツの自動車会社の名前が
アジアで一気に広まりました。
バッジョがアジアで大変に有名だったからです。

夢よ、もう一度、というところですね。
スポンサー名をもっと広めるという、
かつてバッジョの巻き起こした現象を、
今度はベッカムが引き継いでくれるだろう、
というわけです。
特に中国、インドネシア、日本などには、
熱心なサッカーファンを凌ぐ勢いで、
ベッカムのセクシーさに「お熱」のお嬢さんたちも
ワンサといらっしゃるようですからね。

訳者の一言
イギリスの作家EMフォースターの
「眺めの良い部屋」(映画になりましたね)
「天使も踏むを恐れるところ」は、
舞台はイタリア、主人公たちはイギリス人です。
少し前の時代の作家ですが、
イギリス人の見るイタリアというのも、
なかなか面白いです。

「天使も踏むを恐れるところ
 愚か者は飛び込む」
というような詩があるそうです。
飛び込んだが勝ち、と思う私であります。
翻訳/イラスト=酒井うらら


フランコさんのくわしいプロフィールはこちら、

フランコさんのホームページはこちらです。(日本語もあるよ!)

2003-06-09-MON

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