フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

「センシュ・デス」はイタリアの流行語。

「センシュ・デス」という言葉が、
イタリアでは最近はやっています。

もうすでに知られている
スシ、カラオケ、テンプラ、バンザイなどと同じくらい、
定着しはじめています。
これらの日本語が発音されると、意味はともかく、
イタリア人にとっては春風のソヨソヨした響きのように
聞こえるんです。

イタリア人の中でも
日本語の響きのここち良さに慣れてきた人には、
この「センシュ・デス」は一段と甘味に響くようです。

俊輔、バッジョに褒められる。

そう、「センシュ・デス」とは、
日本人サッカー選手のことです。

一番最初の「センシュ・デス」君は三浦知良でした。
彼がジェノアに呼ばれて日本からやってきたのは、
もうずいぶん前のことでしたね。
彼は、あまり興味はもたれませんでしたが、
好奇心の的でした。

でも今や日本のサッカーは、
イタリアで大きなブームとなっています。

中田英寿が来た時には、
ペルージャのティフォーゾたちは熱狂し、
いまだに彼の移籍を惜しんでいます。

その後の中田はローマで
イタリア・チャンピオンのしるしの
スクデット獲得に貢献し、
目下はパルマで若手をリードするほどの大活躍ぶりです。

レッジョ・カラブリアのレッジーナには
中村俊輔が来ました。
彼は短時間で、要求の多いイタリア・サッカーから
注目されるまでになりました。

中村のお陰で、レッジーナは南イタリアきっての
人気チームになったのです。

2月23日、日曜日のことですが、
中村は彼が「サッカーの王者」と仰ぐ
ロベルト・バッジョから、おほめにあずかりました。

ブレシャとレッジーナの試合の後で、
バッジョが中村の能力を(結果は不運でしたが)
祝福したのです。

彼のドリブル、彼の確かなフット・ワーク、
彼の出ていこうとする意欲が、
人々の賞賛を呼びおこしました。

柳沢敦、移籍か?

さて中田や中村の成功を見て、
セリエA組の会長たちが言い始めました。
「日本からほかの選手たちを
 呼ばないってことはないだろ・・・?」

そういうわけで「センシュ・デス」は
イタリア・サッカー界の流行語となったのです。

ここ2年で頭角を表してきたチーム、
キエーヴォが真っ先に動いて、
日本のクラブとコンタクトをとりました。

キエーヴォはイタリアの東北部にある
ヴェローナという、
人口2万人ばかりの小さな町のチームです。

今年のキエーヴォは、
相手がインテルであろうがミランであろうが
たたきつぶして来ましたから、
今シーズンの終わりには、
きっとUefa杯の出場権を獲得するでしょう。

キエーヴォがねらっている
「センシュ・デス」君は
鹿島アントラーズにいる26才のアタッカー、
柳沢敦、です。

キエーヴォのスポーツ・ディレクターである
ジョヴァンニ・サルトーリは、
すでに柳沢のマネージャーとコンタクトをとっており、
イタリアへの移籍に意欲的であるように
みえたと言っています。

近々、鹿島アントラーズの経営陣と、
オフィシャルなコンタクトをとることになる筈です。

そして、中村を来シーズンには
パルマに譲渡することが決まっている
レッジーナに話をもどせば、
まちがいなく誰か次の日本人を入れるでしょう。

「センシュ・デス」が
イタリア・サッカーの辞書に載せられる日は近い!?

訳者の一言
キエーヴォはどんどん出てきていますね。
ヴェローナはヴェネツィアからミラノへ向かって
少し行った所にあります。小さいけど有名。
シェークスピアの「ロミオとジュリエット」は
この町で起きた話がもとになっているとのことで、
ジュリエットのベランダというのが、今もあります。
競技場での野外オペラでも有名です。
翻訳/イラスト=酒井うらら


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2003-03-03-MON

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