FISHING
釣りに興味のないひとに、
何を話せばいいのだろうか?

第6回
カワハギのすすめ

釣りの魅力のひとつは、
垢にまみれた日々から脱出できることにある。

静かな野池でさざ波にたゆたう浮きをじっと見つめる。
髪の毛ほどの糸の先からやってくる魚信に
神経を研ぎ澄ませる。
こうした時間があれば、
浮き世の憂さはたちまち消え失せてしまうだろう。

もちろん、この頃の不景気も釣りとは無縁だ。
特に今は海の魚が好調で、前々回スズキの話をしたけれど、
今度はカワハギが釣れているというお話。

先日、つり人社の編集部を訪れたかの津留崎健氏に、
「いい釣りをしていますか?」と聞くと、

「トウキュウ、トウキュウ」と答えた。

何のことかと思いきや、
カワハギを109枚も釣ったらしい。

カワハギはエサ取りの名人として
悪(?)名が高い魚である。
釣り人が一所懸命ハリにつけたエサを、
何の違和感も与えずにたいらげる。
知らない間にエサが取られてしまうのだから、
これほど口惜しいことはない。
ふつうは10尾も釣ればいい魚だ。

ところが今年はそのカワハギが絶好調。
トップで100枚を超える日も珍しくない。
そして、このカワハギのうまいこと。
あっさりした白身はフグに劣らず、
特に秋から冬にかけて大きくなるキモは
「海のフォアグラ」と言われるほど濃厚な滋味。
こいつの湯引きを泡立て、
刺身にあえて口に放り込めば……、
ここから先は釣り人だけの特権にしておこう。

釣りが上手くなるには、
ねらった魚をたくさん釣るのが鉄則。
釣趣、味覚、ともに最高のカワハギ釣りの腕を磨くなら、
今を逃す手はない。

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●問合先
山下丸
電話0468-42-8856
横須賀市久比里1-3-3

巳の助丸
電話0468-41-1089
横須賀市久比里1-6-1

どちらも京浜急行、京急久里浜駅下車
徒歩約7分。夫婦橋際

1998-12-17-THU

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